米国支配勢力が演出する政治劇 -植草一秀
メディアゴン / 2021年9月19日 2時14分
植草一秀[経済評論家]
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自民党の党首選が実施されて河野太郎氏が新しい党首に選出されると改革が進むかのような幻想が振り撒かれている。しかし、ものごとの本質を見誤ってはならない。現代日本政治の本質は米国の日本支配勢力に支配される政治。
米国の日本支配勢力が求める日本政府の要件は二つ。
対米隷属の維持
市場原理主義の維持
この二つの要請を満たす政権であれば誰が首班になってもよい。一つの政権が長く続くと必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する。米国の日本支配勢力にとって日本国内で人気の落ちた政権は庇護の対象でない。賞味期限の切れた政権は廃棄される。したがって、常に次の首班候補を発掘してメディアを操作して浮上させなければならない。
CIAによる日本政治コントロールが続いている。河野太郎氏を支持する顔ぶれを見れば本質が見える。橋下徹氏と竹中平蔵氏が河野陣営の裏側に位置する。河野太郎氏は対米隷属の堅持と市場原理主義の貫徹という米国の日本支配勢力の要請に隷従することを宣誓して首相候補にノミネートされたと考えられる。
しかしながら、女系天皇容認や原発廃止の主張をいとも簡単に取り下げたように強い信念の持ち主でない。ポストだけが行動の目的である。したがって、河野政権が誕生して期待できることは多くない。少なくとも河井克行・案里夫妻事件、森友事件、加計事案、桜事案を解明することを宣言することが求められる。最低限必要な宣言さえ河野氏は示すことができていない。
米国の日本支配勢力は日本でリクルートしたエージェントを活用して世論操作を懸命に行っている。賞味期限の切れた安倍・麻生体制の存在意義は消滅している。ただひたすら、米国に隷従する日本、市場原理主義の貫徹を忠実に遂行する新しい顔が必要なだけ。今回の党首選の特徴は直後に衆院総選挙が控えること。菅体制で総選挙に突き進めば政権さえ失う局面だった。菅氏を退陣させて党首選大宣伝活動を展開し、新内閣が発足した直後に総選挙を実施すれば与党の議席減を最小に抑制できる。
このシナリオに基いて現実が動かされている。選挙での最重要戦術は野党の分断。共産党のイメージを貶めるプロパガンダを流布して「共産党と共闘するんですか」と叫ぶ。狙いは反自公勢力を二つに割ること。共産党と共闘しない勢力を伸長させるため、共産党と共闘する勢力に投票しない有権者を増やすことができればいい。小選挙区を軸にする選挙制度では反自公勢力が複数候補を擁立すれば与党候補が勝利する確率が俄然上がる。そのために、共産党誹謗中傷キャンペーンが展開されている。日本で選挙が近付くと北朝鮮が必ずミサイルを発射する。北朝鮮も米国の支配勢力の指揮下に置かれているのだと考えられる。
八代英輝氏はテレビ報道で「共産党はまだ暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」というデマを流した。このデマについて八代氏は謝罪していない。共産党は1955年の日本共産党第六回全国協議会(六全恊)で過去の武力闘争路線を放棄。もちろん、党の綱領に暴力的な革命の記述はない。政府が「共産党を破防法に基づく調査対象団体」とし、「暴力革命の方針に変更はないものと認識している」との「見解」を表明していることが誤りの元。明確な根拠なく政府が憶測で公党を誹謗中傷することは憲法違反の言論弾圧、政治的自由の侵害である。
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