<キングオブコント2021>泣くな蛙亭、おめでとう空気階段
メディアゴン / 2021年10月4日 7時30分
高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]
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「コントは凝縮された劇である」
今回の9組の出場者(ファイナリスト)は、皆、このことを理解している芝居上手だった。そのせいもあって、大変レベルが高いコンテストであった。筆者はデビュー以来、「蛙亭」と「空気階段」を応援し、支持していたが、二組の明暗は分かれた。泣くな蛙亭、おめでとう空気階段と記しておきたい。
一組だけ感心できなかったのは「マヂカルラブリー」で、審査委員長の松本人志が言うように、M-1ネタである吊り革と同工異曲だったことだ。漫才もやるからだろう(それが免罪符にはならないが)喋りすぎる。コントに必ず必要な芝居ができていなかった。
[参考]ガラパゴス化した日本のコントは世界から消えるのか?
蛙亭は、トップバッターだったことを言い訳にはできない。だが、SF設定で、セットを使ったコントで勝負に行った意気込みは大いに買う。面白かった。中野周平もイワクラも見事に演じていた。いずれ大きく花開くだろう。普段はもうちょっと生活に近い状態をずらしてコントの設定にするのが彼らの特色だが、『キングオブコント』のようなお祭りでやるコントとしては構えが小さいと考えたのだろう。でも、筆者は普段の蛙亭がスキだ。
空気階段は、素晴らしかった。一回目も決勝戦も、破綻なく笑えた。一回目がSMクラブの設定で始まったときは「やっちゃった」と心配した。杞憂だった。鈴木もぐらも、水川かたまりもコントだけを専門にしてやってきて、彼らは漫才とコントとはどこが違うのをきちんと体得した。その力溜まって、今回はコントにある高いハードルを一つ越えた気がする。
特に、もぐらの動きは劇場で鍛えられた、面白さを体現する動きだ、動きでは今のところ日本一面白い。体型がそれを倍加しているが、体型ばかりに頼っていないのが良い。まだ、まだ伸びる。まだまだ新しい設定を考えることができる二人だ。本当におめでとう。(吉本興業所属ながら)東京弁でコントができるスターが誕生したことは、大阪漫才が圧倒する笑いの世界で、新しい地平が開かれることが期待できて頼もしい。テレビにつぶされるな。劇場に一週間、昼夜出ずっぱりで全部違うコントをやるようなユニットに成長してほしい。
今回は『キングオブコント2021』全体のショウとしての構成も見事であった。それはおそらく浜田雅功の司会がきっちりしたことに多分に依存している。「結果発表」の声のハリもすばらしい。
山内健司(かまいたち) 秋山竜次(ロバート)小峠英二バイきんぐ)飯塚悟志(東京03)も納得できる人選であった。コントはコントの人が審査すべきであると言う原点を守ったのは的確な判断だ。
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