メディアが触れない日本の真実-植草一秀
メディアゴン / 2021年11月3日 10時25分
植草一秀[経済評論家]
***
鳩山友紀夫元首相、孫崎享氏、前川喜平氏との共著『出る杭の世直し白書(ビジネス社)の書評を独協大学教授の森永卓郎氏が『日刊ゲンダイ』紙に寄稿くださった。心より感謝申し上げたい。
森永氏は政治権力に忖度する偏向メディアのなかで生き残る、数少ない正義を語る硬派の識者。共生の哲学に基いて経済社会と論じる貴重な学者。森永氏が掲載くださった書評を紹介させていただく。
「本書は、鳩山友紀夫、孫崎享、前川喜平、植草一秀の対談をまとめたものだ。私は、4人とも直接、話をしたことがあるのだが、とても優秀で切れ味鋭い論客だ。ところが、彼らはあまりテレビ番組に出てこない。その理由は、彼らが政権に忖度せず、利権に斬り込んでいくからだ。本書では、その特長が、存分に発揮されている。歯に衣着せぬ自由な物言いで、感染症対策、外交、脱原発、経済政策、教育など、幅広い分野を語りつくす。普段から中途半端な奇麗ごとばかり聞かされている私には、彼らの議論は、胸のすく思いがする。
例えば、政府の感染症対策は、後手後手、小出し、右往左往だと批判する。もちろん対案もきちんと示している。①徹底的な検査、②陽性者の行動抑止、③情報開示をしたうえで、④生活保障と⑤病床確保をする。このやり方は世界の常識だ。
ところが日本政府はいまだに大規模検査やロックダウンを拒否しつづけている。なぜそんなことをしたのか、本書ははっきりと利権だということを示している。また、コロナ対策で73兆円もの補正予算を組んだにもかかわらず、その多くが利権を持つ人を潤わすことに使われた。予算をすべて1人10万円の給付金に回せば、5回実施できて、8兆円のお釣りがくる。それと引き換えに巣ごもりをしてもらえば、コロナの被害はずっと小さかったはずだが、そうした対策は取られない。給付金は、利権になりにくいからだ。脱原発が進まない理由も、原子力ムラの利権を守るためだ。鳩山政権のときに電源の50%とする方針を示したことについて、本書で鳩山氏は「完全に誤った」と反省し、脱原発と同時に脱炭素を実現するための方策を具体的に提言している。
著者の4人に共通することは、時代の変化に合わせて主張を柔軟に変えることができることだ。前例踏襲を金科玉条として、一度走り出したら、間違いが明らかになっても、猪突猛進の官僚や政治家とは、まったく異なるのだ。いずれにせよ、彼らの本音トークをたっぷり聞けるのは、書籍のなかだけだ。ぜひ多くの人に日本の真実を知ってほしい。」
私は鳩山友紀夫元首相、前川喜平元文部科学事務次官に日本の新政権樹立を牽引していただきたいと思っている。前川氏は選挙に出ることを強く固辞されているが、政治の世界では「なりたい人」より「なってほしい人」に活躍していただきたいと思うのが人々の心。
日本政治刷新は夢物語ではなく、現実に掴み取ることのできる目標だ。足りないのは優れたリーダーと的確な戦術だ2014年と2017年の選挙結果を分析すると政治刷新のための戦術は明確になる。
投票率は2014年が52.7%、2017年が53.7%。
2017年は全有権者のうち、24.7%が自公へ、28.0%が非自公に投票した。
2017年は全有権者のうち、24.6%が自公へ、25.2%が反自公(維新を除く)に投票した。
つまり、有権者の半分が選挙を棄権し、選挙に行った有権者の半分弱が自公に、半分強が反自公に投票した。
しかし、議席の占有率では、
2014年は、自公が68.4%、非自公が31.6%
2017年は、自公が67.3%、反自公が30.3%
だった。投票数で非自公、反自公が自公をやや上回っているが、議席数では自公が7割、非自公、反自公が3割という結果になっている。理由は単純明快。選挙が小選挙区を軸に行われており、非自公、反自公が複数候補を擁立すると自動的に自公が勝利してしまうため。反自公勢力が候補者を一本化するだけで互角の勝負になる。もう一つの決め手が投票率。
2009年の総選挙では投票率が69%にまで高まった。
政治刷新の期待が膨らむと投票率が上昇する。投票率の上昇分は圧倒的に反自公に有利に作用する。したがって、反自公候補を一本化し、投票率を高めることができれば、政治刷新は確実に実現すると言える。
[植草一秀の公式ブログ『知られざる真実』はコチラ]
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