「国葬」反対意思表示は正当な権利 -植草一秀
メディアゴン / 2022年9月18日 14時36分
植草一秀[経済評論家]
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国葬論議が収束しない理由は国葬に正当性がないことにある。国葬に正当性があるなら国葬反対活動は鎮静化する。国葬実施強行は誤っている。
五つの理由を挙げることができる。
第一は国葬に法的根拠がないこと。
第二は国葬実施強行が、憲法が保障する「思想及び良心の自由」を侵害すること。
第三は国葬実施が、憲法が定める財政民主主義の原理に反すること。
第四は国葬実施が、憲法が定める「法の下の平等」に反すること。
第五は国葬の対象とされている安倍晋三元首相が旧統一協会と深い関わりを有してきたと見られること。
この五つの理由から過半数の主権者が国葬実施に反対していると見られる。国葬の案内状を受け取った者が案内状を紹介し、欠席の意向をSNS上で公表する。
国葬反対の各種示威行動が実行される。これらの行動は、岸田内閣が憲法に反する国葬実施を強行しようとしているから生じている。主権者が主権者の意思を合法的な方法で表明することを妨げるべき積極的理由はない。
「葬式くらいは静かに送ってあげる礼節を持つべき」の主張を示す者がいるが、本質を見誤っている。国葬実施に正当性、正統性があるなら、国葬を静かに送ることが礼節に適う。
しかし、国葬に正当性、正統性がないなら、主権者が異議を申し立てることが正当だ。葬儀が終わるまでおとなしくする理由がない。「葬儀が終わるまでおとなしくしていろ」というのは、国葬実施を強行する政権の意向にすり寄る茶坊主の言説に過ぎない。
岸田首相は国葬を「敬意と弔意を国全体として表明する国の公式行事」としている。しかし、「敬意と弔意を表明したくない」と考える主権者が多数存在する。この主権者に敬意と弔意を強要しなければ、「敬意と弔意を国全体として表明する」ことは不可能。国葬実施強行は、「敬意と弔意を表明する」ことの強要につながる。
[参考]< 昭恵夫人は「国葬」辞退を>国葬対象とは「象徴・天皇」だけ!
その強要に抗う人々が、国葬反対の意思を表明することは当然のこと。主権者の自由な意思の表明を妨げる根拠は存在しない。そして、岸田首相が主権者国民多数の反対意見を無視して国葬実施を強行するなら、修復不能な傷跡を主権者の心に残すことになる。
国民主権国家において、このことが持つ意味は重大だ。
岸田首相は早晩首相辞任に追い込まれることになるだろう。五つの間違いを内包する国葬実施強行。この国葬に参加する勢力が存在する。国葬に参加する人々は、
1. 行政行為に法的根拠など不要の考えを支持するものであり、立憲主義=法の支配を否定する
2. 思想及び良心の自由侵害を容認する
3. 財政民主主義の原理を否定する
4. 法の下の平等を否定する
5. 旧統一協会と自民党との癒着を容認する
意思を有していると見なすことができる。野党では、維新、国民民主が国葬参加の意向を表明している。共産、れいわ、社民と立民執行部が国葬不参加の意向を表明している。
国葬への対応姿勢差異を野党再編=新・野党共闘構築に活用するべきだ。連合の芳野友子会長は国葬に出席する意向を表明している。立憲民主党の執行部以外の議員は自主判断となる。
立憲民主党の国葬欠席グループ、共産、れいわ、社民が「新・野党共闘」=「真・野党共闘」を構築するべきだ。「真・野党共闘」から連合は除外するべきである。立憲民主党は「国葬派」と「反国葬派」で分離・分割されるべきだ。
「連合」の正式名称は「国際勝共連合」であるとの説が有力。野党共闘から「連合」を切り離すこと。これが野党共闘再構築の一丁目一番地になる。
[植草一秀の公式ブログ『知られざる真実』はコチラ]
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