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なぜPayPayは4年足らずで5000万人を突破したのか?

メディアゴン / 2022年9月30日 7時0分

なぜPayPayは4年足らずで5000万人を突破したのか?

メディアゴン編集部

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すこし前までは、「日本は先進国で唯一残った現金の国」であった。欧米からの旅行者たちにとって、「日本ではクレジットカードが利用できないので、たくさん現金を持ってゆこう」は笑い話の常識になっていたぐらいだ。

一方で、日本人が海外にゆくと、誰もがクレジットカードで支払いをしている後継光景を見て、「なんと恐ろしい」と驚いたものである。レストランやショッピングモールは言うまでもなく、屋台や露天までもクレジットカードを利用できるのだから。

キャッシュレス先進国と呼ばれるスウェーデンにいたっては「現金が消えた国」とも言われ、クレジットカードによるキャッシュレス比率は98.3%である。「現金お断り(キャッシュフリー)」を掲げている店も珍しくない。

そんな日本ではあるが、コロナ禍を契機として、2020年以降の1〜2年の期間で、急速にキャッシュレス化が進んだ。感染予防対策の一環として、直接が手が触れ合うことを回避するために、レジにはクレジットカードリーダーが取り付けられ、2021年に入る頃には、カードを利用した「セルフレジ」も急増した。

最初は「あれ?店員いないの?」と違和感を持っていた人も多かったように記憶しているが、今では店員と客が手と手を触れ合わせて現金を受渡する方がマイナーになってしまったように思う。コロナという怪我の功名なのかもしれないが、恐るべき勢いで日本のキャッシュレス化が進展したと言っても良い。

さて、キャッシュレス決済といえば、その利用の決め手となるのはなんといっても「ポイント」だろう。利用した金額の%でポイントが貯まり、それを現金の代わりに利用することができる。かつては「特定の店舗で買い物をするとポイントが貯まり、そのポイントを店舗での買い物に利用できる」というタイプのカードが主流であった。しかし、日本でもポイントシステムとクレジットカードと融合したことで、日常の買い物がそのままポイントとして還元するようになった。

つまり、キャッシュレス決済によるポイント還元は、ダイレクトに「割引」になっているのだから、ポイント還元率が高いカードや、ポイントを貯めやすいカードがすなわち「使いやすいカード」「人気のカード」になることは想像に難くない。「ポイ活」などという言葉を耳にするようにもなった。

一方で、既存の大手銀行系クレジットカードといえば、さまざまなサポービスサービスが付帯されていることでも知られるが、近年ではポイント還元のサービスに関しては、「改悪」が続いていると言われる。ようは「ポイントが貯まりづらい」「ポイントが還元しづらい」「ポイントが利用しづらい」という話をよく聞く。

その背景にあるのは、近年、急速に登場している、さまざまな新興のキャッシュレスサービスの存在だろう。銀行系カードが独占だった時代から、いわば、戦国時代へと突入する中で、カードのあり方もどんどん変化してゆく。

そんな新興キャッシュレスサービスの中でも、近年急速に勢いを伸ばしているのがソフトバンクが2018年から始めた「PayPay」だ。コロナ禍パンデミックが始まる前年にスタートしたことで、期せずして我が国の急激なキャッシュレス化の波に乗る結果となり、それが快調な滑り出しにつながったのだろう。

プラスチックのカードよりも、スマホでQRコードを読み込むというスタイルは、日本人には適していたように思う。実際、サービス開始から4ヶ月でユーザー数は400万人に到達。2022年8月現在、その数は5000万人を突破した。サービス開始からわずか3年10カ月である。この数値は日本人口の2.5人に1人がユーザーであることを意味する。

ちなみに、日本唯一の国際ブランドのクレジットカードとして名高いJCBカードのユーザー数は1億4000万人と言われる。JCBカードの歴史は古く、1961年にまで遡り、その歴史は半世紀を越える。そのJCBカードと比べても、4年足らずで5000万人を突破してことの「凄さ」がわかるだろう。

この勢いの背景にあるのは、やはり携帯電話事業との融合した展開が急激なユーザー数の増加の要因であるように思う。ようは、「ソフトバンクユーザーがPayPayを使うとお得」というわかりやすい路線と徹底したマーケティングである。

(画像は、許可を得て掲載しています*編集部註)

携帯キャリアとしてのソフトバンクの契約者数は国内ランキングで第3位。携帯キャリアとしての国内シェアは21%で、契約者数は約4700万人となっている。この数値は、PayPayのユーザー数とも近似していることがわかる。

もちろん、「ソフトバンクユーザー=PayPayユーザー」とは限らないが、やはり、グループ企業として特性を生かして、ソフトバンクユーザーにとって、圧倒的に有利な条件で、PayPayサービスを提供し、コアユーザーを構築していることが予想できる。ようは基礎票を4700万票持っている政治家のようなものだ。

具体的にソフトバンクのスマホとPayPayがどのように連動しているのか、について調べてみると、主に以下のようなサービスがあった。(詳細は公式サイトを参照:https://www.softbank.jp/mobile/special/paypay-otoku-2022/)

(1)「スーパーPayPayクーポン」が使える
(2)長期継続特典がもらえる
(3)携帯料金とまとめて支払い可能
(4)携帯料金の支払いにPayPay残高が使える
(5)Yahoo!ショッピングで日曜日に+10%
(6)PayPayモールで日曜日に+10%
(7)Yahoo!プレミアム会員になるとPayPayポイントがもらえる

(1)〜(4)あたりは、携帯キャリアとの連動ビジネスとしては想像の範囲内だが、実際のネットショッピングで10%もポイントが増量する(5)(6)が持つ意味は消費者にとてつもなく大きい。

10%ポイント増量が意味することは、そのポイント分だけ値下げされている、ということだからだ。これはさすがにソフトバンクという大きいグループならではの大技だと言えよう。少しでも安い買い物をしようとネット検索で時間と労力を浪費する手間を考えれば、いきなり10%もポイント増量されているのだから、思わず使ってしまう。

さまざまな企業を要するソフトバンクグループだけに、今後さまざまな還元が展開するのだろう。特に、財布は忘れてもスマホは忘れない、というのが現代の若者層の中心的な感覚だ。財布を持つことすら億劫になって、全てをスマホ一台で完結させたいと考えている人は多いはず。その意味でも、スマホで完結するPayPayとソフトバンクキャリアの融合が持つ意味は大きい。

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