<紅白初出場?>謎の韓流グループが象徴する紅白の現在
メディアゴン / 2022年11月17日 12時51分
藤本貴之[東洋大学 教授・博士(学術)/メディア学者]
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11月16日、かつて年末の恒例となっていたテレビ番組「NHK紅白歌合戦」で、73回目となる本年の出演者が発表された。「大晦日のNHK紅白」といえば、若者層の中では、その存在こそ知ってはいるものの、ほとんど試聴したことがない幻の番組であり、国民的番組と標榜しつつも「段階の世代」に特化した特殊な番組として知られる。
国民的なテレビ離れが加速する中で、「何を今さら」と感じられつつも、特別な事件であるかのように、11月中旬に仰々しく発表される大晦日の歌番組の出演者。どこにそんなに注目すべきポイントがあるのか? 特定のファン以外の普通の生活者にはまったく理解できないのが「大晦日のNHK紅白の出演者情報」だろう。「恒例」「慣例」というやつなのだろうが、必ず出演者一覧(当落)がこの時期ニュースになる。
さて、「NHK紅白歌合戦」とは、その年や日本を代表する楽曲が歌われる、というコンセプトの番組であることはわかるものの、近年は、選ばれる出演者たちが、そのコンセプトから乖離したラインナップになっていることも、発表と同時に話題になることは多い。実際、「NHK紅白歌合戦」になんの興味もない多くの日本人から見ても、「誰、こいつ?」と疑問を持ちたくなるような出演者は多いだろう。
[参考]<パクリ企業の謎>世界一有名な無名デザイナー三宅順也って誰?
自分で立候補したわけでも、選んでくれとエントリーしたわけでもないのだから、当の出演者たちからすればかわいそうな話だ。しかしながら、日本を代表するアーティストでもなく、国民に広く愛された楽曲でもなく、日本文化を象徴するわけでもない楽曲や出演者が選ばれる一方で、「あきらかに国民的歌手」だったり「誰もが知るレジェンド歌手」が出演者に選ばれない(なぜかこれを「落選」という)状態を見ると、番組の不気味さとともに、その特殊性がわかる。もちろん、それが近年の「NHK紅白歌合戦」の視聴率低下、NHK離れにもつながっていることは想像に難くない。
例えば、今年、初出場にとなった10組の中の韓国系グループの2組。このグループがなぜ選ばれたのか? まったく合理的説明ができない。完全な「謎」だ。
「LE SSERAFIM」(ル セラフィム:韓国人3人、日本人2人編成。2022年5月デビュー)
「IVE」(アイヴ:韓国人5人、日本人1人編成。2021年12月デビュー)
一応、日本の芸能プロダクションとの合弁事業的な体裁にはなっているが、カテゴリとしては韓流である。韓流であることが「謎」なのではない。この2組が今年を代表するアーティストでも、楽曲でもないことが「謎」なのだ。ちっとも国民的でもなければ、紅白歌合戦的なコンセプトによる「大人気歌手」でないにも関わらず、選ばれていることがとにかく不気味なのだ。
そもそもこの2グループの存在が周知されたり、活動開始したり、デビューをしているのが、去年から今年のことである。「受精卵」のような段階からカウントしたとしても、その存在実態は長くても1年だ。韓国でどんなに人気があろうが、日本国内では国民的なヒット曲があるわけでも、レジェンド的な人気を急激に勝ち得たわけでもない。もちろん、韓流ファンは別として、その存在すら知らない人が日本人の圧倒的多数だろう。
一方で、出演が取り沙汰されていたにもかかわらず「落選」となった歌手は、欅坂46、YOASOBI、BiSH、back number、Hey!Say!JUMP、安全地帯、中森明菜、松田聖子・・・と言った面々であり、なかなかの国民的アーティストたちだ。もちろん、人により認識の違いはあるだろうが、「LE SSERAFIM」やら「IVE」やらといった、ビューしたばかりの「謎のグループ」としか言いようなない出演者に比べれば、はるかに紅白的だろう。
もちろん、海外やグローバル展開を意識している・・・という、番組として時流を意識した、などという建前はあるのだろうが、それは「大晦日のNHK紅白」の本来のコンセプトやあり方とは異なる。やりたければ、別番組ですべきではないのか。中長期的に見れば、そもそも韓流として頑張っているアーティストの評価を不当に貶めることにもなり、ブランディング的に彼ら・彼女らの紅白出場はマイナスではないのかとすら思う。
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