<お金と同棲>恋人同士の支出管理を一元化すると破局率が下がる?
メディアゴン / 2023年4月24日 7時0分
赤坂 咲
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急激な公共料金の値上げが問題となっている。例年比で倍ならマシな方で、中には数倍といった金額になって支払いに窮している人も多いと聞く。
公共料金の急激な値上げは、単純に「出費増」という経済的な問題だけではない。意外と思われるかもしれないが、同棲中の恋人やカップルなどの間で、新たな火種を産んでいるのだ。
「新たな火種」とは、公共料金の支払いの負担割合である。
同棲は1つの部屋に住むかわりに、家賃や公共料金をシェアして支払うという形式をとるという意味では大学生や留学生などのルームシェアなどと似ている。しかし、同棲はルームシェアと違い、「ほぼ結婚」「プレ結婚」「結婚を前提」といった建前であるため、経費シェアの割合がどうしても曖昧になってしまう。ルームシェアのように、かかった費用を機械的に折半(50%)という手法がとられるケースは稀だろう。
法的には夫婦ではないが、擬似結婚のようなスタイルで共同生活をしているのが同棲だ。つまり、経済的合理性のみを追求した他人同士のルームシェアとは違い、厳密に決めた金額を正確に折半しているとは限らない。場合によって、負担の割合を変えたりして、柔軟(曖昧)にやりとりをすることが多いだろう。
だからこそ、同棲では、出費シェアが曖昧になってしまい、気づくと自分だけが負担が多くなってしまったり、逆に相手に過剰な負担を強いていたり・・・といった予期せぬ不平等が生まれ、それが破局へとつながるケースも少なくない。負担割合をその都度相談して、喧嘩ばかりしている同棲カップルを筆者は何組も見てきた。そもそも筆者がそうだ。
筆者は現在、恋人と同棲をしているだが、同じような問題を発生させて困っている。
まず、筆者と恋人は法的には夫婦ではないので、クレジットカードに紐づいた銀行口座は別々である。よって、あらゆる支払いが別々だ。法的夫婦であれば、ファミリーカードを作り、引き落とし先の銀行口座を1つにできる。しかし、同棲カップル(や非婚家族)はそうはゆかない。
そのため、必要に応じ支払いをするのだが、クレジットカードを出した方の負担が結果的に多くなってしまう。さすがに「ほぼ夫婦」のような状態である同棲中に「月末に精算」のようなことはなかなかやりづらい。実は先日、筆者は家庭の事情で、半月ほど実家に帰省したのだが、その間に発生した同棲家庭の出費は相方が支払うことになった。そのため、先月の支払いの負担割合は、相方が100で筆者が0となり、なんとも気まずい空気となった。「じゃ、来月は君が全部支払ってね」とも言いづらいだろう。翌月、翌々月と、相方は妙にケチになり、さらに気まずい日々が続いた。
この問題を回避する最終的な方法は、結婚して、法的な夫婦になることだ。あるいは、会社(法人)を作って、そこでコーポレートカードを作成して資金源を1つにする、という方法もある。しかし、冷静に考えて、いずれもそんなに簡単なことではない。いや、むしろ非常に難しい。
そこで筆者が選択したファイナルアンサーが「ファミリーバンク(https://familybank.life)」なるサービスである。筆者は、現在絶賛利用中だが、カップル間の支出の不均衡の発生を抑え、お金によるキマズさを生まないためのアプリだ(と、筆者は思っている)。「ファミリーバンク」はお金の管理が杜撰だったり、経済関係な曖昧な同棲カップルには特におすすめだろう。
「ファミリーバンク」の仕組みは非常にシンプルだ。それまでカップルがそれぞれ個人で利用していた口座を1つの「ファミリーバンク」にまとめ、一元化することで、支出源を1つに可視化するというものだ。もちろん、誰がどれだけ利用したか、ということは表示されるため、負担割合も明確になる。「その都度、負担割合を相談」とか「恋人同士で月末に精算」のような気まずいやりとりをしなくてもすむ。
共同生活しているメンバー(同棲の場合は恋人カップル)の生活費の出納管理を1つのアプリで一元的に行う、とイメージしてもらうとわかりやすいだろう。つまり、家計簿アプリとしても機能するわけだ。しかも無料だ。無料と聞くと、何かあるのではと勘繰ってしまうが、クレジットカード決済した時に、支払い先の加盟店から収入があるという。なるほど、それであれば安心だ。
しかし、気になるのは「同棲=法的には他人」でもファミリーバンクは登録できるのか? ということだろう。通常、この手のサービスは「パートナー」の条件が法的な夫婦関係であることが多い。単なる同棲カップルである筆者もその点が不安であった。もちろん、登録申請の欄にも当然「同棲カップル」といった項目はない。しかし「配偶者」の中に、同棲カップルも含まれるとのことで、問題なく登録はできる。まずは一安心。
さて、この手のお便利系の無料アプリで心配なのは、安全面だろう。こういったサービスを聞くとまず頭に浮かぶのが、「口座貸し」とか「バーチャルウォレット」のような、いわゆる「従来型の金融機関ではない企業のサービス」であったり、結局は、消費者金融のような会社がやっているサービスではないか・・・という不安だ。
そこで筆者は直接窓口に問い合わせたところ、ファミリーバンクで利用する口座は銀行で管理されている普通の口座と連携するのだという。つまり、謎の金融口座がつくられるわけではない、ということなのだ。これは安心だ。ちなみに、ゆうちょのみダイレクト口座が必要だそうだが、確認する限り、ほとんどは対応しているように思う。筆者の取引銀行は、学生時代に地元で作ったマニアックな地銀のマイナー口座なのだが(都内ATMでロゴを見たことがない)、ファミリーバンクには対応していた。
同棲カップルや事実婚ファミリーにとってはメリットばかりのこのサービス。デメリットはないのか? ・・・と念の為、粗探しをしてみる。
結果、デメリットはないわけではない。まず、現金を支払いに利用ができない。すべてクレジットカードである。よって、クレジットカードが持てない人や現金主義の人には無縁のサービスだ。ただし、そもそもクレジットカードが持てない人はこのファミリーバンクの審査も通らないだろうし、現金主義の人はファミリーバンクには興味がないだろうから、個人的には問題はないと感じている。
さて、筆者(と相方)がファミリーバンクの利用を開始して一ヶ月ほどたつが、なかなかの利便性だ。お金について、恋人同士で詮索しあうようなことがなくなった。イメージとしては、お金の部分だけはクールなルームメイトなったようなスッキリ感がある。
先日、面白いニュースを目にした。
アメリカ・コーネル大学のエミリー・ガービンスキー准教授が、米国、英国、日本の夫婦を対象に、預金管理事情と離婚率について調査した結果、「共同で使用する預金口座を持つ夫婦は関係が円満」「個別に預金を管理し、出費の度に話し合いで負担額を決めてきた夫婦は離婚率が高い」ことが判明したという。なるほど、その通りだと実感する。筆者も「出費の度に話し合いで負担額を決めてきた」ことが要因となって、何度となく破局の危機があった。(単に筆者が貧乏だから、というわけではない)
コロナ禍で生活スタイルが元に戻りつつある本年。同棲や同居を始めるカップルや人間関係も多いはずだ。そういう中で常にトラブルになるのがお金の管理だろう。特に、私的なお金と共同のお金の線引きが曖昧にある同棲カップルには意外と火種になるトラブル要因だ。ぜひともファミリーバンクでカップル内出納管理を始めてみてはどうだろうか。
(註:記事内の画像は転載許可を受けております)
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