自民党裏金事件と「マルサ」
メディアゴン / 2024年4月15日 1時31分
山口道宏[ジャーナリスト]
***
故・伊丹十三監督(脚本)が、今回の自民党裏金事件を知ったらなんと言ったか。
映画「マルサの女」は、脱税許すまじ! と立ち向かう、ある女性査察官の熱き戦いを描き話題となった。「マルサ」には伊丹の妻でもある俳優の宮本信子が演じ、なかでも激しい雨が降るなか、清掃車を追いかけて脱税隠しの内偵にゴミ袋を引っ張りだし、その中身を懸命に漁るシーンが印象的。「証拠」に繋がるものはないかと、地を這うような調べは圧巻、それは好演だった。
ところで、その国税局査察部(通称「マルサ」)は、消滅したのか?
今回の自民党裏金事件では存在自体みえてこないのが不思議だ。というのも「マルサ」が出動したという話は、とんと聞かないから。
[参考]検察庁が「ジャンヌ・ダルク」になれない理由
端から腰が引けている? 政治家には弓を引かないという不文律が成立なのか。安部政権での「森友・加計・桜事件」における国税当局の忖度を当時のメディアは糾弾したが、その行政不作為のDNAはいまも健在のようでむしろ心配だ。どこからか圧力がかかっている?
庶民レベルの確定申告で「1円たりとも見逃さない」という税務署員の一途な仕事ぶりとの相違は甚だ大きい。ああ国税も検察と一緒かしら、の嘆息は穿ちすぎだろうか。
念押しをしておこう。今回の自民党派閥による裏金づくりは所属する政治家個人の雑所得。だから課税対象は明らかで、収入を不記載だった85人は全員が「政治資金規正法違反」だ。しかし、いまだ申告の「修正申告」(税理士はいう。「修正」ではなく初めての申告にすぎないと指摘する)の後始末もウヤムヤのまま。「脱税の国会議員を食わせるため我ら庶民が真面目に納税なんてこりごり」と思うほうがまっとうだ。
ニッポン人は「納税」とは憲法で定められた国民の3大義務のひとつと学んできた。
「適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持を目的として、全国に配置されている国税査察官は、厳正な査察調査に基づき、悪質な脱税者に対する刑事責任の追及を行っています。」(国税庁サイトより)
会計検査院が「税金の無駄遣い」を許さないと同じく、国税は「脱税を許さない」のが最大の仕事だ。いまからでも遅くない。得意のガサ入れで85人への「マルサ」の内偵が待たれる。
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