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<ネット証券戦国時代>NISAをやるならどれ?ネット証券徹底比較

メディアゴン / 2024年9月19日 7時0分

<ネット証券戦国時代>NISAをやるならどれ?ネット証券徹底比較

岡部遼太郎[ITライター]

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2024年は円安と物価高と新NISAの話題から始まったと言っても過言ではない。これまで投資をしてこなかった層が、「儲ける」と言った意味ではなく、むしろ「自己資産の防衛」という意味で投資に関心を持つようになり、それを後押しするように新NISAが投資初心者を大量にオンライン投資に参入させるきっかけになったことは言うまでもない。

日本ではこれまでなかなか投資が庶民に浸透しなかった。どこまで行っても「株式投資は一部の富裕層のマネーゲーム」といった印象はいまだに強いのではないか。一方で、歴史的な円安や戦争等による先行きの不安など、世界経済が混乱をきたしている中、日本でもNISAの普及によって投資への関心が急激に高まった。それに加え、2024年から始まった新NISAによって、ようやく資産への危機管理意識が日本人の中にも芽生えてきたように思える。

2024年4月に発表された野村アセットマネジメントの「投資信託に関する意識調査2024」 によれば、日本人の投資家比率は増加しており、特に、投資信託の保有者比率は2008年の調査開始以降、最高の18%にまで至っているという。特に「投資を始めたきっかけ」として「NISAを利用するため」が最多の36%となり、20〜30代では50%を超えるなど、日本の投資意識も急激に変化している。

例えば、2024年7月に「SBIグループが初めて国内証券口座数1300万口座を突破」というニュースが話題となったが、新NISAによる投資人口の急激な拡大が目に見える形で高まっている。持っているだけで目減りする現金よりも、(どうせ減るリスクがあるなら)増える可能性ある投資へと自己資金を移動させようと考える投資初心者は激増している。

その一方で、数多く存在する証券会社で、いったいどこを選べば良いかがわからない人も多いだろう。素人目に見ても、どこもそれなりのサービスが謳われており、甲乙つけ難いというか、どれも良く見える。

そこで本稿では、初心者がまず目にするであろう「5大ネット証券」と言われるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券の5つを厳正比較しつつ、初心者にとって最良な選択がどこなのか?を探ってみたい。

<比較検討>

筆者は新NISAの話題がメディアで騒がれ始めた2023年に、初めてNISA投資を始めた。地道に毎月積立をしているが、やはり、最初は「何をどうすれば、どこをどう見れば」ということがわからなかった。NISAを始めて1年ほどたった今、ようやく「当時の自分は何がわからず、何を知りたかったのか」ということがわかるようになってきたわけだ。

そこで、本稿では、筆者の経験から「初心者の方はここだけわかれば問題ない」という4項目を厳選したので、そこを比較していきたい。もちろん、筆者自身がまだまだ初心者であることを忘れずにお読みください。

初心者が着目すべき比較基準は、「開設口座数・取引コスト・取扱銘柄数・ポイント還元」の4項目であると思う。まずはここについて比較検討してみたい。

*開設口座数
ネット証券のユーザーの多くは「昔からの投資家」ではない。オンライン投資やNISAなどをきっかけに参入したいわば「初心者投資家」たちだろう。よって、ネット証券の口座数は、そのまま「初心者たちから選ばれている証券」であることがわかる。つまり、わかりやすさやサービスの面から、優位性が高いということを知る基準になる。
まずは最新の口座数ランキングをみてみたい。

 (1位)SBIグループ1,300万口座(43.44%)
(2位)楽天証券:1,100万口座(36.76%)
(3位)マネックス証券:262万口座(8.75%)
(4位)auカブコム証券:173万口座(5.78%)
(5位)松井証券:157万口座(5.25%)
 *5大ネット証券の口座総数:2,992万口座 (※2024年8月本誌調べ)

まず1位のSBIと2位の楽天だけで、5大ネット証券の総口座数の80%以上を占めている。3位以下は端数的な口座数である。口座数から見た比較は、SBIと楽天両社が頭一つどころか、体一つ以上リードしていると言える。

ではさらに踏み込んで、SBI証券と楽天証券の2トップのどちらが良いのか?という問題だ。ここに悩む初心者は多いのではないか。1,300万と1,100万という数字は悩ましい数のようにも思える。両者の口座数は200万口座ほどであり、口座数からは大きな違いはないように見える。

しかし、ここがポイントである。

冷静に考えてみれば、3位のマネックスは262万口座、4位のauカブコム証券は173万口座なのだ。3位、4位の口座数と同じだけの「差」がSBI証券と楽天証券にある、と考えられるわけだ。実はこの差はけっこう大きい。証券会社一社分の違いなのだ。

*取引コスト

投資初心者ほど気にするのが、取引コストである。つまり、手数料だ。

まず、前提として、SBI証券と楽天証券以外の3社は、基本的には多少なりとも国内株式取引手数料が発生する。例えば、auカブコム証券の場合、NISAに限れば購入も売却もコスト0であり、通常口座に関しては、「1日定額~50万円」であれば手数料は無料だが、「1取引ごと~10万円」の場合は99円の手数料が発生すると言った具合だ。

<マネックス証券>
(通常口座)1日定額~50万円:550円、1取引ごと~10万円:99円
(NISA口座)購入時:0円、売却時:0円

<auカブコム証券>
(通常口座)1日定額~50万円:0円、1取引ごと~10万円:99円
(NISA口座)購入時:0円、売却時:0円

<松井証券>
(通常口座)1日定額~50万円:0円、1取引ごと~10万円:1日の約定代金で手数料が決まる
(NISA口座)購入時:0円、売却時:0円

NISA口座に関しては、各社、話題性に乗った看板商品という位置付けなのか、売買時ともにいずれも0円と無料だ。しかし、それ以外の通常口座では、意外とコストがかかる。まずは話題のNISAで投資初心者の顧客を集め、そのうち通常口座などへとシフトするというケースを想定しているのだろう。

それに対し、SBI証券は通常口座・NISA口座ともに基本的には無料。楽天証券は、条件が合えば通常口座・NISA口座ともに無料になる。このあたりがSBI証券と楽天証券が二強になっている最大の要因なのだろう。二社を比較すると以下のようになる。

<SBI証券>
(通常口座)1日定額~50万円:0円、1取引ごと~10万円:0円
(NISA口座)購入時:0円、売却時:0円

<楽天証券>
(通常口座)1日定額~50万円:0円(ゼロコースの選択)、1取引ごと~10万円:0円(ゼロコースの選択)
(NISA口座)購入時:0円、売却時:0円

ただし、ここにも微妙な違いはある。

SBI証券の場合、電子交付の設定をすれば原則無料だが、楽天証券の場合は「ゼロコースの選択」の場合に限られる。もちろん、選択そのものは難しいものではないが、初心者の投資家にしてみれば、ささやかな違い、ささやかな条件ですら、証券選択にとっては大きな障壁となる。初心者投資家にとっては、丁寧なつもりで提供されているはずの選択でも、結果的に複雑に感じられてしまうことはよくある。

例えば、筆者の周りでも「楽天経済圏と連動しやすいから楽天証券にしたいけどゼロコースの意味がよくわからないので悩んでいる」と言っている人がいた。初めてオンライン投資をする人にとっては、そういう細かい部分が悩みの種なのだ。

そして、投資初心者にとってはもう一つ隠れた比較ポイントがある。

それが「単元未満株」というものだ。株式取引では1株の価格に注意が行きがちだが、いざ購入となると、「取引単元」分の資金が必要となる。つまり「この株は最低〜株単位で購入してね」という購入単位が定められているのだ。例えば、1株500円の株があり、それが1単元100株だとすれば、必要となる資金は、500円x100株であり、最低5万円だ。いうまでもなく、人気の株は株価が高い。そうなると、かなりの資金がなければ人気の株は購入できない。

それに対し、1株から購入できるのが「単元未満株」というものだ。初心者とはいえ人気の株を買いたいが、大きな資金を投入するだけの勇気がない人には最適な方法である。もちろん、高額な人気株のためだけのシステムではない。数百円程度からで株式投資ができる、という何とも初心者に嬉しいものなのだ。

さて、この単元未満株が購入できるかどうかも実は初心者にとっては重要な要素だと筆者は思っている。しかし、意外とこの単元未満株に関しては比較しているサイトや情報が少ないのが実情だ。初心者に最適な制度であるが、理解しているのは玄人ばかり、という印象だ。

5大ネット証券ではいずれも単元未満株の取引をやっている。では、懸案の手数料はどうだろうか。手数料比較をしてみたい。

<SBI証券(S株)>
買付:0円、売却:0円、取扱銘柄数:原則、東証全銘柄

<楽天証券(かぶミニ)>
買付:0円、売却:0円、取扱銘柄数:1775銘柄

<マネックス証券(ワン株)>
買付:0円、売却:約定代金の0.275%、取扱銘柄数:原則、東証・名証の全銘柄

<auカブコム(プチ株)>
買付・売却:約定代金の0.55%、取扱銘柄数:原則、東証・名証の全銘柄

<松井証券>
売却:約定代金の0.55%、取扱銘柄数:現物取引に準ずる

まず、こちらもSBI証券、楽天証券の2トップが売買ともに無料だ。他三社は有料となっている。ただし、単純に手数料だけで判断することもなかなか難しい。各社、取扱銘柄数が微妙に異なる。売買共に無料のSBI、楽天を比べると、SBI証券が原則、東証全銘柄である3,900銘柄ほどなのに対し、楽天証券は1,758銘柄となっている。

初心者であるうちは大差ないのかもしれないが、慣れてくれば微妙な差も大きな差になるような気がする。

*取扱銘柄数

次に取扱銘柄数である。

SBI証券は投資信託2,617本、NISAつみたて投資枠247本。楽天証券は、投資信託2,566本、NISAつみたて投資枠238本である。微妙な数ではあるが、SBI証券が優れている。この「微妙な差」もいざ、取引を開始してみると、予想以上に大きいことがわかる。

初心者の1人である筆者にも経験があるのだが、ずらっと並んだ取扱銘柄を眺めていると、意外にも自分の好みや、素人ながらの「予想」なども反映させたくなる。先にやっている友人や知人などからも、けっこう情報が入ってくる。しかも、投資を始めてみると、それまで見向きもしなかった企業情報や株式ニュースにやたらと目が行くようになってしまう。これは誰もが経験することだ。そうなると、取扱銘柄は1本でも多い方が魅力的になってくるのだ。ネット証券各社が取扱商品数の拡大にしのぎを削っていることもうなずける。

さて、初心者目線で書いている本稿であるが、少しだけ玄人っぽいことにも着目したい。

それが「IPO(Initial Public Offering)」である。IPOとは、未上場の会社が新たに株式を上場・公開し、一般の投資家も購入できる「新規公開株」である。よくニュースなどでも耳にすることだが、初値がいきなり爆上がりするなどのメリットがある。
このIPOの取扱数も比較してみたい。(2023年4月~2024年3月・SBI調べ)

<SBI証券>取扱数:90
<楽天証券>取扱数:62
<マネックス証券>取扱数:56
<auカブコム証券>取扱数:24
<松井証券>取扱数:67

ここでも1位は安定のSBI証券であるが(ちなみに、SBI証券は2013年3月期よりトップを継続)、少し意外なのが、2トップをはっているはずの楽天証券が、意外とIPOでは伸び悩んでいるという点だ。逆に松井証券が楽天証券を凌駕し、SBI証券に迫る2位となっている。IPOはなかなか初心者にはわかりづらいかもしれないが、玄人気分で参考にしてほしい。

なお、この取り扱い銘柄数に関しては投資経験の有無や知識量がその意味や重要性を左右するので、本稿では深追いはせず、純粋に銘柄数の比較だけにとどめる。

*ポイント還元

投資した金額がポイントとして還元されたり、保有しているポイントが投資に利用できたりするなど、ほとんどのネット証券が「ポイ活投資」にはかなり熱心なサービスを展開している。いずれも魅力的なものばかりなので、ここでもやはり「微妙だけど、実はすごく大きな違い」に着目したい。

ポイ活と言えば真っ先に浮かぶのが楽天だろう。楽天経済圏のさまざまなサービスでポイントが使えることが魅力でアマゾンではなく楽天市場でネットショッピングをしている人は著者だけではあるまい。ただし、楽天のような経済圏を持たないSBI証券が後塵を拝しているか・・・といえば、意外にもそうではないところがポイントだ。ポイント還元については、わかりやすく楽天証券とSBI証券の2トップで比較をしてみたい。

SBI証券は、特定のネット通販経済圏と連動していないものの、Vポイントやdポイントなど5つのポイントと連動している。そもそも1億5,400万人のユーザー数を誇るVポイントは、日本最大級の経済圏である。ほとんどの消費者にとって「Vポイントと連動していればそれで十分」と思ってしまうのだ。NTTドコモと連動したdポイントも会員数は約8,000万だ。ポイント連動や還元はもう、これで十分ではないか?と単純に思う人は多いかもしれない。

なお、ポイント還元率に関して、2社で少しまとめておこう。

<SBI証券>
・三井住友プラチナプリファード(500万円以上:3.0%、300万円以上:2.0%、300万円未満:1.0%)
・三井住友ゴールド(100万円以上:1.0%、10万円以上:0.75%、10万円未満:0.0%)
・三井住友カード(10万円以上:0.5%、10万円未満:0.0%)

<楽天証券>
・楽天ブラックカード(2.0%)
・楽天プレミアムカード、楽天ゴールドカード、他の楽天カード(最大1.0%)

ポイント還元率は上記の単純比較以外にも細かい違いはあるので、詳細は各自調べてほしいが、基本的にはSBI証券は還元率が高い。他にも、「投信マイレージ」サービスでは、楽天証券は対象6ファンドに対してポイントが貯まるが、SBI証券については原則全ファンドを対象として投信保有残高に応じてポイントがたまる。ここでもやはりSBIの全方位性が際立つ。プラチナプリファードを保有していれば、最大還元率は3%である。

さて、ここまで来てどこが初心者にベストなネット証券なのか、を考えたい。とりあえずは初心者的には、全体的な比較から、SBI証券と楽天証券の2トップのどちらなのか?という選択になるだろう。

その上で、口座数、取引コスト、取り扱い銘柄数、ポイント還元の4つの項目で比較した結果としては、投資経験豊富な人やネット事情に詳しい人はさておき、ネット投資初心者にとっては、いずれもSBI証券に軍配があがるのではないか。もちろん、その差は微妙であり、圧倒的な差があるわけではない。しかしながら、その微妙な差こそが、200万口座近い差を生んでいるように感じた。

その前提となっているのは、やはり「開設口座数1位」という現実だろう。ネット情報や口コミが消費者に意思決定に圧倒的な影響力を持っている今日、口座開設数はそのまま消費者の満足度と連動している。少しでも不満があれば、鬼の首をとったかのようにSNSやレビューで悪口が書かれてしまう時代に、ユーザー数1位の証券会社が顧客満足度で1位を獲得するのは至難の業だ。
(顧客満足度に関しては本誌記事「<NISAをやるならSBI証券一択?>口座数日本最多のSBI証券が顧客満足度でもNo.1と支持される理由」を参照)

以上、本稿では、5大ネット証券の比較を通して、投資初心者にもわかりやすい評価と解説をした。ぜひ、選択の参考にしてほしい。ただし、最終的には自己判断、自己基準が何よりも重要であることを忘れずに。

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