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<話題の「パワー系投信」って何?>長期投資でハイリターンを狙う「次のステップ」

メディアゴン / 2024年11月28日 7時0分

<話題の「パワー系投信」って何?>長期投資でハイリターンを狙う「次のステップ」

時田秀一(本誌ライター)

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NISA制度は、投資家にとって資産形成には欠かせない重要な手段の一つだ。NISAでは、投資で得た利益にかかる約20%の税金が免除されるため、投資額から得た利益が手元に残り、課税口座で投資するよりも効率的に資産を増やせる。そのため、この非課税枠をいかに活用してリターンを最大化するかが、現在の投資の主流となっている。

これまで非課税枠での高リターンを狙う手段として一部の投資家に人気だったのが「レバレッジ型商品」である。レバレッジは少ない資金を元手に『てこ』をかけることで、大きな投資を可能にする仕組みで、相場が上昇すれば短期間で大きなリターンが期待できる。しかし、リスクも2倍や3倍に増えるため、慎重な利用が求められる投資方法でもあった。

しかし2024年に改訂された新しいNISAでは長期的な資産形成にふさわしくないものとして、レバレッジ型商品の利用が禁止された。これは、そもそもNISAは家計の安定的な資産形成を支援するための制度として位置づけられており、その趣旨にそぐわない商品とみなされたためである。

このような制約に対して不満を抱く投資家もいる中、注目されているのが「パワー系投信」である。パワー系投信とはレバレッジを使用せず、現物投資でリスクを高めつつ高いリターンを狙う、最近出てきたファンドのコンセプトだ。レバレッジ型商品のように理論的に見て過大なリスクテイクを行うことがないため、長期投資にも適しており、NISAの目的にも適合している。

パワー系投信はインデックス投資よりも積極的に、高いリターンを追求できる新しい投資手段であり、リスク許容度が高く長期的に高いリターンを求める投資家にとって理想的な選択肢である。本稿では、「パワー系投信」の特徴やメリット、なぜ新NISAに適した投資先としておすすめされるのかを解説する。

まず、パワー系投信の最大の特長として、将来のリターンを最大化するために、「火力のある」銘柄に厳選して投資が組み入れられている点が挙げられる。

具体的な投資信託の例として注目されるのが「GeoMax」である。この投資信託は、「アグレッシブなリターン追求」を目指し、テスラやエヌビディアといった成長著しいテクノロジー銘柄を中心に、数々の先進的な企業の株式を組み入れている(2024年9月末時点)。市場での注目度の高い銘柄に対して集中投資を実践しており、火力が高い分だけ、インデックス投資を超える高リターンを目指せる可能性がある。

「パワー系投信」は組入株式のラインナップにも大きな特徴がある。9月末基準の開示情報を見ると、GeoMaxが投資している銘柄には、テスラ、エヌビディア、マーベル・テクノロジー、ASMLホールディング、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)など、最先端の技術革新を牽引する企業が名を連ねている。これらの企業は、AI(人工知能)、自動運転、エネルギー転換といった次世代の成長分野に注力しているため、飛躍的に成長する可能性を秘めており市場での注目度も高い。

たとえば、テスラは電気自動車(EV)のパイオニアであるだけでなく、バッテリー技術やエネルギー事業にも進出し、持続可能なエネルギー社会への変革を担う企業である。また、エヌビディアはAIプロセッサーのリーダーとして知られ、AIやビッグデータ解析に不可欠な高速演算技術を提供している。

これらの組入株式を見れば、GeoMaxの火力のある構成銘柄が理解できるだろう。半導体業界で圧倒的な技術力を誇るアプライド・マテリアルズや、次世代自動車技術に強みを持つオン・セミコンダクターといった企業も含まれ、世界経済の変革を推進する銘柄が豊富に取り入れられている。これらの企業は長期的な成長と拡大が見込まれている分だけ値動きの大きい銘柄としても知られており、まさにパワー系投信という名にふさわしい選択であることがうかがえる。

GeoMaxのようなパワー系投信が一般的な投資信託と異なる点は、その現物投資によるリターンを追求する姿勢である。一般的なインデックスファンドとは異なり、将来期待できるリターンが高いと想定される銘柄に集中投資することにより、結果として成長性の高い企業等が数多く選ばれることになり、全体のファンドとしてのリターンに大きなインパクトを与えることが期待される。現実的に、これらの企業の成長力が株価に反映されることで、長期的な資産形成においてインデックスファンドを凌駕する可能性を秘めている。

パワー系投信の特徴をより具体的に理解するために、インデックスファンドとの数値的な比較を行う。GeoMaxの過去のシミュレーションデータによれば、S&P500指数を100%保有した場合の年率リターンは11.6%であったのに対し、GeoMaxを50%とS&P500を50%組み合わせたポートフォリオでは年率リターンが14.5%に上昇したという。この結果は、同じインデックスを基準とした投資に比べて約3%のリターン向上を意味し、投資家にとって無視できない大きなインパクトを持つといえる。昨今では年率0.1%でも信託報酬が安い方が良いという投資家が増えている中、リターンを年率3%も改善できるならばぜひ検討したいところだろう。

ただ忘れてはならないのは、リスクの観点だ。具体的には、上記のシミュレーションにおいてはS&P500の年率リスクが18.1%であったのに対し、GeoMaxを半分組み入れた場合の年率リスクは25.9%となった。このため、投資効率、すなわちリターン/リスクの比率は若干低下している。それでもリスク許容度の高い投資家にとっては、若干の効率の低下があったとしても年率リターンが向上している点のほうが重要だ。このリターン増加により、新NISAの非課税枠を最大限に活用し、長期にわたる資産形成の力強い基盤となり得るのである。

パワー系投信は、リスク許容度が高い投資家に向けて設計されているため、インデックスファンドと比較しても、その「攻め」の姿勢が際立っている。市場の成長性を取り込みつつ、インデックスファンド以上の成長を目指すこの戦略は、限られたNISAの枠内での資金効率を高め、非課税枠の活用を一層推進するものであることは間違いないだろう。

パワー系投信の魅力は、長期投資を前提としている点にもある。一般的なレバレッジファンドは、毎日デリバティブ取引を実行する必要があるため長期投資に不向きの性質が生じてしまう(デリバティブによる減価と言われたり逓減と言われたりする)が、パワー系投信は現物投資のためそのような心配は少ない。それどころか、投資信託の中で適切に現物投資のリバランスが行われることで、レバレッジファンドとは反対に「安くなった銘柄を買い、高くなった銘柄を売る」ことが期待される。長期で継続可能な積極運用として、パワー系投信はレバレッジファンドとは一線を画すのである。

また、パワー系投信はいわゆるテーマ型投信とも異なる。これまでにも特定のセクターや銘柄群に集中投資する、通常のインデックス投資よりも積極的な運用を行うテーマ型投信と呼ばれる商品は存在してきた。たとえば「半導体関連ファンド」や「FANG+指数に連動する投資信託」もその一例と言っていいだろう。ただしそういった商品もレバレッジファンドのように長期投資には向いていない。なぜなら市場における旬のテーマは常に移ろいゆくものだからだ。20年前に市場を賑わしていた銘柄が現在も中心的な存在であることは稀である。

つまり、特定のテーマや銘柄群に対して固定的に投資を行うファンドは長く保有すればするほど中身が陳腐化するリスクがある。その点、GeoMaxは特定のセクターやテーマに固執せず、銘柄の選定を流動的に行っている。これにより、時代の変化に応じた柔軟な対応が可能で、長期保有による恩恵を受けやすい。たとえば、AIや再生エネルギーといった産業が成長する局面においては、パワー系投信はそれらの分野の銘柄をポートフォリオに適宜組み入れ・組み換えることができ、成長産業に直接的にアクセスできる。将来、異なる産業に注目が移れば、GeoMaxに組み入れられる銘柄も変化していく。パワー系投信が追いかけるのはあくまでリターンの最大化であり、テーマではないのだ。

総括すると、パワー系投信という力強い名称が示す通り、高いリターンを求める「パワフルな」「火力ある」投資信託として、一般的な投資信託やインデックス投資とは一線を画している。筆者は、パワー系投信という名称には直感的でわかりやすい魅力があると感じており、登場したばかりにもかかわらず、早くも一部の投資家の間で注目を集めていることに納得している。この言葉は、今後さらに多くの投資家や企業に受け入れられ、広がっていく可能性が高いと強く感じている。

また、パワー系投信は、投資初心者からベテランまで幅広い層にとって、より積極的に長期投資を実現する新しい選択肢として位置づけられる可能性を秘めている。投資市場には、インデックス投資よりも高いリスクを取って大きな成果を目指したいという投資家層が多く存在する。具体的には、株式の個別銘柄に投資している投資家はみなインデックス投資よりも積極的な投資を行っているのだ。そのため、このパワー系投信という新カテゴリーは他の運用会社にも広がり、同様な商品を開発・導入する動きが予想される。今後、パワー系投信というカテゴリーは、リスク許容度の高い投資家にとって魅力的な新しい投資手法として、業界全体に定着すると筆者は予想している。

2024年の新NISA制度の開始に伴い、資産運用に関心を持つ新しい投資家層が急速に増加している投資市場において、従来のインデックス投資やアクティブファンドと異なる戦略を提供しているパワー系投信は、まさに新NISA時代の一歩先を行く投資として有力な選択肢と言えるだろう。

本誌では、新NISAのスタートをきっかけに注目を集めているパワー系投信について解説した。新たな投資選択肢としてのパワー系投信の動向を追いつつ、今後も最新の情報を紹介していく予定である。

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