<借金減額の広告は本当?>債務整理実績多数の弁護士法人ユア・エースのトップに実態を聞く
メディアゴン / 2024年12月17日 7時0分
時田秀一(ライター)
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SNSを見ていて、借金減額という類の広告を目にした人は少なくないだろう。もちろん、広告だけでなく、そういったことをトピックにした映像も多い。それだけ「借金を減らす」や「国が認めた借金減」といったことに関心を持っている人が多いということだろう。
一方でそういった広告を見ていると、疑問を抱くことも少なくない。例えば、「誰でも借金が減る」や「最大で100万円が返金されます」といったコピーを目にすると、本当にそうなのだろうか?と疑ってしまうわけだ。
そこで本稿では、債務整理について、この業界でのトップ弁護士として知られる、弁護士法人ユア・エースの代表弁護士・正木絢生(まさき・けんしょう)氏にその実態と業界事情について話を聞いた。
(以下、インタビュー)
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本誌ライター・時田秀一(以下、時田):SNSでよく目にする借金減額を謳った広告ですが、NHKでも「誇大なネット広告でトラブル相次ぐ」といったニュース報道がされました。実際に、こういったトラブルは多いのでしょうか?また、その実態について聞かせてください。
弁護士法人ユア・エースの代表弁護士・正木絢生氏(以下、正木弁護士):広告を起因にしたトラブルが多いか少ないか、と言えば、正確な数値は持っていませんが、感覚的には「多いだろうな」とは思います。しかし、だからといって広告で宣伝される債務整理というサービスに問題がある、というわけではありません。
時田:広告が悪い、という意味ですか?
正木弁護士:それも正確ではありませんね。そもそも、一口に債務整理といっても様々な手続きがあります。どのような方法で借金を減額させるか。方法によって結果も変わりますし、目指している結果も異なっています。弁護士が扱う債務整理は、大きく「任意整理」「個人再生」「自己破産」の三つです。また、厳密には債務整理とは異なりますが、関連した手続きの一つとして「過払金請求」もあります。
時田:聞いたことはあります・・・が、素人にはなかなか区別がつきません。
正木弁護士:まず、一番件数として多いのが、任意整理でしょう。これは裁判所を通さずに、消費者金融などの貸金業者にわたしたち弁護士が直接交渉して、将来利息をカットしてもらう、という手続きになります。要は、「借りた元金を着実に返済する代わりに、将来利息分を減らせないか」という交渉をするわけです。
時田:なるほど、将来利息がない分だけトータルの支払い金額が減額する、という意味ですね。
正木弁護士:その通りです。借りた元金が減るわけではありませんが、将来利息分をカットしてもらい、さらに、分割払いでの返済を要望するわけです。これだけでも、債務者の毎月の支払い負担は大幅に改善します。
時田:素人は法律知識がないので、自力での交渉は非常に難しいですよね。
正木弁護士:二つ目が個人再生です。これは、裁判所を通じて借金の一部を減額し、減額後の借金を分割で返済する手続きです。これにより、家を手放さずに生活を立て直すことができる場合もあります。自己破産と違って、財産を維持しながら借金を整理できるのが特徴です。 そして三つ目が「自己破産」です。
時田:自己破産も債務整理の一つなのですね。
正木弁護士:はい、自己破産と聞くと人生の破滅のような印象ですが、わりと身近なサービスだったりします。自己破産を裁判所に申し出て、借金を大幅に減らすか、場合によっては全額なくすという方法ですね。どちらかと言えば、これは最後の手段です。
時田:弁護士が扱う債務整理はこの三つだけなのですか?
正木弁護士:より正確には同じような類の手続きもあるので、厳密に三つ限定というわけではありませんが、大きくはその三つです。ですから、どのような手続きを選択するかによっても、わたしたち弁護士が提供できるサービスもやり方も、想定される結果も異なります。もちろん、弁護士費用も異なります。予想以上に複雑で専門的なものなので、なんの説明もなく、漠然と「借金減額」といった広告を見ただけでは、そこまではわからないですよね。
時田:そういうことの説明不足がトラブルの要因だとは思います。加えて、弁護士事務所による債務整理の広告を見てきた依頼者が、「借金が減る」はずが、むしろ弁護士費用を入れると、トータルの支払いは増えてしまった、といったクレームも発生しているとニュースで見ましたが、実際はどうなのですか?
正木弁護士:債務整理を弁護士に依頼したところ、結果的に債務者が支払うトータルの金額が増えてしまう・・・ということは、仕組みとしてあり得ます。
時田:どういった仕組みでしょうか?
正木弁護士:もちろん弁護士が何か悪いことをしているというわけではありません。多くの場合が、ちゃんと借金自体が減額しています。
時田:ではなぜ、それがトラブルになるのですか?
正木弁護士:弁護士費用を見落としているためです。弁護士に依頼して減らせた借金の額よりも、支払わなければならない弁護士費用の方が高ければ、トータルでの支払いは増えてしまいます。当たり前と言われればそうですが、そういうことが過剰にネガティブなニュースとして取り上げられているように思います。
時田:弁護士費用と減額金について、ご依頼者の方は理解していない人も多い?
正木弁護士:多くのご依頼者様は初めて弁護士を利用する人であるため、「弁護士に依頼する」ということ自体に慣れておらず、「借金を減額するためのコスト」について見落としてしまうケースはあると思います。ですから、わたしたちの事務所では、丁寧に説明し理解してもらった上で、依頼を受け付けます。
時田:そういうことを丁寧に説明しないような事務所は多いのでしょうか?
正木弁護士:多いか少ないかは分かりませんが、そういうトラブルがニュースになるということは、少なからず存在しているのだと思います。弁護士事務所としては返金額の大小にかかわらず、手続き費用をいただくかたちになるので、その費用が高いケースはあると思います。
時田:正木先生の弁護士法人ユア・エースではどんな状況でしょうか?
正木弁護士: さまざまなご依頼者様がいらっしゃいますので、まったくクレームやご意見をいただかないということはないですが、かなり丁寧に手続きしているので、ご安心いただいております。むしろ、トータルの支払いが増えるとわかっていても、ご依頼してくださる方もいます。
時田:トータルの支払いが増えても依頼してくるのですか?なぜでしょうか?
正木弁護士:債務整理について、その仕組みから丁寧に説明するので、その結果、ご自身が納得した依頼ができるからだと思います。例えば、減額した金額よりも弁護士費用がトータルでは多い場合でも、毎月の返済額を減らせる、というメリットがある場合などです。仮に今、毎月3万円を返済しているとします。そしてそれが自分の生活にとって重荷になっていると。しかし、債務整理をすることで、毎月の返済が1万円になるとします。そうすると、トータルの金額が増えてしまったとしても、毎月の負担から解放されます。さらに債権者からの催促というストレスから解放されることも大きいです。したがってトータル支払い金額が増えているというデメリットを理解した上で、依頼してくれます。
時田:もし、そういった仕組みが理解できていなければ、「なんで支払い総額が増えているんだよ!」と当然なりますよね。
正木弁護士:そうでしょう。しかし、ちゃんと説明をして、債務整理の仕組みを理解してもらえれば、支払い総額が増えたとしても依頼してくれるケースがありえるわけです。問題になっているような事務所は、そういった説明の方法やご依頼者様とのコミュニケーションに課題があるのかもしれません。
時田:いい加減で杜撰な事務所が存在していることは事実として、なぜそういった事務所が存在してしまうのでしょうか?
正木弁護士:弁護士事務所の仕事は、どうしても一般企業とは異なる部分が少なくありません。決して安いわけではない弁護士費用のはずですが、それこそ、依頼しようと電話しても対応できる時間が限られていたり、弁護士がいない・・・といった場面に出くわすこともあったりします。
弁護士の業務は、調べたり、聞いたり、話したり、そして考えて、解決策を模索し、書類を作って・・・という繰り返しなので、一人の弁護士は一つの仕事にかける業務量は非常に多いです。その結果、業務管理がしっかりしていなかったり、対応のマニュアル化が十分でない事務所だと杜撰な対応を起こしてしまいがちです。
時田:そのような弁護士事務所は多いのですか?
正木弁護士:日本の弁護士業界の問題として、少なくはないと思います。
時田:ユア・エースではどうされていますか?
正木弁護士:はい、少しでも丁寧に、そしてしっかりとクライアントのサポートを徹底しています。結局、態度と結果で理解してもらうしかありませんから。専門分野であるだけに、違いを見せるだけでなく、ご依頼者様とどう対峙して、信頼感のある関係を構築できるかどうかにもかかっています。
時田:そういう意味では、弁護士としての手続きや処理のスキルだけでなく、依頼者とのコミュニケーションのスキルも重要ですよね。
正木弁護士:わたしたち弁護士法人ユア・エースには、23名の弁護士が所属しています。ご依頼者様との良好な関係を構築する仕組みづくりを徹底しています。統一的なトークマニュアルを作ることで、どの弁護士が対応しても、「事務所として伝えなければいけないこと」を必ず伝えることがきるようになっています。どの弁護士でも情報がぶれない、という部分があるだけでも、信頼感は飛躍的に高まると感じています。これはいわゆる「顧客満足度」への配慮ですね。
時田:顧客満足度という言葉を弁護士の先生から聞くと、すごく新鮮ですね。
正木弁護士:弁護士とはいえ、数あるサービス業のひとつにすぎないので、顧客満足度への配慮は何よりも重要です。これは、わたしの経営者としての企業理念です。弁護士といえども、サービス業であることを自覚しなさいと、ユア・エースの弁護士たちには徹底させています。
時田:顧客満足度を企業理念として徹底している弁護士事務所は、なかなかないのでは?
正木弁護士:はい、多くはないかと思います。しかし、ビジネスとしては、その点は差別化のポイントだとも思っています。
時田:弁護士事務所として、顧客満足度に着目した理由を教えてください。
正木弁護士:そもそも、わたしが弁護士を志した理由の一つが、企業のような大きい存在ではなく、小さい個人を救っていきたいという思いがありました。ひらたく言えば「個人に幸せになってほしい」といった思いです。そのために弁護士は何ができるのか。ご依頼者様の立場で見れば、顧客満足度を高めていくのは当然のことです。また、顧客満足度を高めることは、サービスを提供するわたしたち弁護士の側にもメリットがあると考えています。具体的には、ユア・エースで働く弁護士・事務員にとって、ご依頼者様が満足してくれることで、自分の仕事に意義を感じるようになりますし、その自負は良質な仕事を継続させるためにも重要なモチベーションになります。それは結果的に、サービスの質的向上にもつながります。ご依頼者様と自分たちの両方を満足させるビジネスにしたいですよね。
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(以上、インタビュー)
借金減額、国が認めた借金救済制度・・・お金と法律にまつわるさまざまな広告がSNSには乱れ飛んでいるが、玉石混合、消費者の側で慎重なチョイスと見極めが重要だ。
一方で、弁護士法人ユア・エースのように、債務整理を得意として、国内最大級の専門的な弁護士集団を作り上げているような良質な存在がいることもまた事実。正木弁護士自身、トラブルの多い分野の中でジレンマを抱えつつ、いかに安心できる良質なサービスを提供できるか、という点に「顧客満足度」という言葉をつかいエネルギーを割いている。
本誌では弁護士をSNSと弁護士、広告と弁護士という注目のトピックに関し着目して今後も取材記事を出していく予定である。「数あるサービス業のひとつ」と言う弁護士法人ユア・エースの代表弁護士である正木絢生氏のインタビューも引き続き行いたい。
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