<6.4兆円の負担増>「再生可能エネルギーの買い取り制度」で一般消費者の「電気料金」が上乗せ

メディアゴン / 2014年11月5日 2時21分

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石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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太陽光や風力のような自然エネルギーは、「再生可能エネルギー」(再エネ)とも呼ばれる。再エネはコストが高いのでなかなか普及が進まない。

そこで、「再エネ」で発電された電気を電力会社が一定期間一定価格で買い取ることを義務付ける制度がある。この買取費用は、我々一般消費者が払う電気料金に「再エネ賦課金という名目で上乗せ」されている。

東日本大震災による福島原発事故以来、“原発をゼロにして、再エネに転換しろ!”と叫ぶ人が多くなっているようだ。この“原発ゼロ”と合わせて、“再エネ全量買取”を同時に進めていくと、いったいどんな事態になるのか、試算してみた。作業は至って簡単。

まず、“原発ゼロ”が続いた場合。

経済産業省が10月23日に発表した報告書によると、2014年度の原発ゼロに伴う火力発電焚き増しに係る追加燃料費は3.7兆円で、国民1人当たり3万円の負担増(図表1)。因みに、東日本大震災以降、11~13年度の累積での追加燃料費増は9.0兆円、14年度末までに12.7兆円に達する見込みとなっている。

次に、“再エネ全量買取”が実施された場合。
経産省が9月30日に提示した資料によると、再エネの固定価格買取制度(FIT)に基づく認定量が全て運転開始した場合、再エネ賦課金は年間2.7兆円に上る(図表2)。

これらを合計すればわかるが、“原発ゼロ”を続けながら“再エネ全量買取”が実施されると、総額で年間6.4兆円、国民1人当たり年間5.3万円の負担増となる。これは、消費税3%分を超える額に相当する。

ただ、原子力に関しては、東京電力・福島第一原子力発電所の事故のような「過酷事故」への懸念が常につきまとう。今年8月に政府が認定した東電の再建計画では、賠償額の見通しは5.4兆円。もっともこれは、現時点での見通しに過ぎない。今後、除染や汚染水対策が適正な形で実施されない場合には、増額される可能性もある。

もちろん、原子力についてだけ「賠償額」をコスト算入することには問題がある。実は、発電量当たりの「命」という点だけで見ると、原子力は最も安全で、次いで天然ガス、石油、石炭、水力の順となる。「命」はコスト換算できない。

もう一つ、世界的な問題として「温暖化」がある。今は、温暖化被害額は発電コストに算入されていない。だがこれを加味すると、CO2排出の点で、原子力・再エネは、石炭・石油・天然ガスよりも優位となる。

結局のところ、日本のように資源のない国では、原子力・再エネ・石炭・石油・天然ガスをバランスよく推進していく必要がある。「エネルギー・ベストミックス」ということだ。“原発ゼロ+再エネ全量買取”などというのは、絶対ダメ。

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