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<接客スキルを高めるヒント>接客業のノウハウは「現場の人間関係」がポイント?

メディアゴン / 2014年11月24日 0時8分

尾藤克之[経営コンサルタント]

* * *

接客業は、お客様との距離感が難しい職種です。近すぎれば、「しつこい」と煙たがられ、遠ければ「サービスがなっていない」と叱責されます。今回は、接客スキルを高めるヒントを、研修講師の鍔木良子氏(以下、鍔木)に聞きました。

●シチュエーションを理解して相応しい振る舞いをする

—どのような接客が好印象になるのでしょうか?

[鍔木]まずお客様の立場に立つことが大切です。例えばレストランなどで、満席でも無理やり入店しようとするお客様や、すぐに案内しないと不機嫌になるお客様がいらっしゃいます。

このような時、わずかな気配りで、お客様の感情やお店への印象は変わるものです。例えば、子ども連れのお客様であれば、「待たせてごめんね。もう少しで席に座れるからね」「静かに待ってくれて有難う」などと声をかける気配りがあっても良いでしょう。大切なことはシチュエーションに相応しい振る舞いをすることです。

—分かりやすいシチュエーションはありますか?

[鍔木]飲食店の、食物アレルギーの対応は分かりやすいでしょう。オーダーの際の「苦手なモノはございますか?」という一言には、苦手な食材と食物アレルギーを確認する2つの意味合いがこめられています。

例えば「卵は苦手なので抜いて欲しい」と要望があったら、「卵アレルギー」であることを予見しなくてはいけません。そして、ゆで卵、焼き卵は勿論のこと、マヨネーズ、タルタルソース、ふりかけ、調味料に至るまで、該当する食材すべてがすぐに浮かばなくてはいけません。そのため日々スタッフを啓蒙しておく必要があります。

●活きるマニュアルを作成する

「接客やお客様対応のノウハウはマニュアル化すべき」考える人が多いかも知れません。ところがマニュアルは運用が難しいと、鍔木氏は指摘します。

—運用の難しさとはどの辺りにあるのでしょうか?

[鍔木]接客業の場合、シチュエーションは同じであっても、お客様一人一人のニーズが違うので、どのような接客を求めているか適切に判断する必要があります。マニュアルに縛られ過ぎると柔軟な対応が出来なくなるなどの弊害もありますから、難解なマニュアルはマイナスでしかありません。また、スタッフの仕事に対する意識も各々で温度差がありますから、その辺りの配慮も必要でしょう。

—スタッフの意識とはどのようなものですか?

[鍔木]職責や役割で意識が異なることを理解することです。上司が部下のことを「コイツは使えないヤツだ!」と思っていたら、部下は上司のことを「文句ばっかり言っている!」と思うものです。お互いが仕事を理解していればこのような感情にはならないでしょう。意識のギャップはコミュニケーションロスによって発生することが多いのです。

そして、解決方法がコミュニケーション量を増やすことだとします。ところが、「コミュニケーション量を増やして信頼関係を築くことが大切です」とマニュアルに記載しても、読んだだけでは意味をなしません。マニュアルに記載した内容は、読むのではなく、OJT(On-the-Job Training)で研修として実施しなければ効果が出にくいのです。

—マニュアルの効果的な作成方法が必要ですね?

[鍔木]マニュアルは行動を具体的にしなければいけません。

1. 相手の欠点ではなく、良い所を見つけて10個書き出してください。
2. 1日1回、チームが明るくなる言葉を使って鼓舞してください。
3. 今日の仕事の出来栄えに点数をつけてください。

定性的ではなく定量的にしたほうが良いでしょう。すぐに実行できるヒントを提示して、行動自体を自ら考えるように促せば、実践的なマニュアルに落とし込めるはずです。接客業の場合、人間関係は、お客様に提供するサービスレベルにダイレクトに反映されるので留意が必要です。

—有難うございました。

今回は、接客業にフォーカスして記事を作成したのですが、本記事で紹介しているケースが、接客業に関わらず、多くの仕事でも活用できるケースだと思います。参考にしてもらえれば幸いです。

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