<太鼓芸能集団「鼓童」に圧巻>日本に受け継ぎ発信すべき素晴らしい芸能や文化的な財産がある

メディアゴン / 2014年12月4日 19時54分

齋藤祐子[文化施設勤務]

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太鼓芸能集団「鼓童」。はじまりはよくある民俗芸能の太鼓パフォーマンスだった。佐渡の伝統芸能である迫力ある太鼓は、その原初的なリズムと圧倒的な迫力で聞く人を魅了してきた。

ミューザ川崎でのシリーズ「ワンアースツアー」を見てきた。海外での音楽祭向けのシリーズらしく海外でもかなり演奏されているようだ。

海外を意識して、衣装も太鼓につきものの「はっぴに鉢巻」といった泥臭いものではなく、モダンバレエのようなモノトーンのすっきりしたもの。楽器も、和太鼓を中心に銅鑼やティンパニ、篠笛、チャッパやジャンガラといった歌舞伎音楽で使われる小さなシンバル類までを駆使している。

一見するとバリの民俗音楽か、無国籍風アジアンテイストの高級リゾートホテルでのロビーコンサート、とでも言ったらいいのか。非常に洗練された印象で、汗をかきながらはっぴ姿でばちをふるう男臭い太鼓パフォーマンスという先入観を持っているとびっくりさせられる。

また、大小の楽器をドラムセットのように組み合わせて演奏するなど、異ジャンルの演奏家たちとの共演から様々なことを吸収しているようで、演奏方法や見せ方にも和太鼓にとどまらない広がりが感じられる。

坂東玉三郎が芸術監督に就任してからは、演出にも、歌舞伎をイメージさせる布を使った場面展開がはいり、簡単なものでありながらこれが効果的だ。衣装の工夫やダンスをとりいれること、コンサート全体を一つのイメージでつなぐこと、などなど、コンサートとしての組み立て方にもきちんとした配慮とセンスを感じる。

チラシを見ると、子供たちや初心者向けの太鼓ワークショップや、次世代の演奏者の育成までをこなしているようだ。こうなると欧米のオーケストラの活動に近い。

オリンピックを前にして「何が日本オリジナルのおもてなしになるのか? 日本の魅力は何か? 世界に発信する文化コンテンツは何か?」といった議論もされる昨今、鼓童の活動はそのひとつのモデルにもなる先進的なものだろう。伝統芸能、民俗芸能をアピールする洗練された行き方である。

とはいえ、大太鼓の持つ心臓にダイレクトにひびくリズム感や原初的な迫力も減じてはいない。最後の曲では、大迫力の大太鼓の連打に思わず興奮すること間違いなし。

終演後、興奮して目を輝かせて舞台にかけより、大太鼓を眺める子供の姿を会場で見かけた。日本にはまだ、受け継ぎ発信すべき素晴らしい芸能や文化的な財産がある。

オリンピックを機に、多くの伝統芸能が新たな光を浴び、誇るべき文化コンテンツとして光があたることを祈念したい。

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