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<粘菌で創ったカーナビは性能がイイ?>頭脳が無くても考えているように振る舞う粘菌

メディアゴン / 2014年12月4日 19時30分

水留章[テレビ番組制作会社 社長]

* * *

「ねんきん」と言っても老後の蓄えを心配する人の方が多いと思います。今頭にあるのは「粘菌 」の方です。粘菌の研究では 南方熊楠や昭和天皇が有名ですね。

中垣俊之氏(公立はこだて未来大学)が書いた「粘菌偉大なる単細胞が人類を救う」(文春新書)という新書がとても面白い。中垣さんは「粘菌」の研究で2008年2010年と2回の「イグノーベル賞」を受賞しています。

粘菌は単細胞生物ですが、単細胞という言葉が従来の広辞苑的な意味では「単純、複雑に比べて劣っている、愚鈍」となります。しかし、中垣さんは、長年粘菌の研究の中で、「primitive(原始的)だがintelligence(知性)がある」という一見逆説的なことを明らかにしました。

例えば、粘菌を迷路の中で増殖させていき、二つの迷路の出入り口に餌を置くと、見事に二つの出入り口の最短経路に迷路の中で形を変えるそうです。

また、関東平野の地図上に粘菌を満遍なく繁殖させた後、地図上の山や川に光を当て、その部分での粘菌の繁殖をしにくくすると、明治以来の鉄道網と同じ形になるといいます。

さらに、その粘菌のアルゴリズム(問題を解くための手順を定式化した形)を利用すると高性能なカーナビシステムが出来るそうです。それは「最短の理屈」だけでなく、一箇所が何かの都合で途切れた時の迂回路をすぐに作れるネットワーク図を粘菌が示すからだそうです。経済性だけでなく対故障性も考慮できているというわけです。

現代の科学技術は、分析的手法には大変優れてきた歴史を持っています。しかし、ある局面を見て「ざっくりとその大要つかむ」という技術に関しては、苦手としてきたのではないでしょうか。例えば、富士山を見て、それを三角形や台形としてまず認識して、それから必要に応じて細部を分析していく・・・という方法。こういった場合の「最初の一手」を粘菌が得意にしているのです。

つまり、パッと見て状況をつかむ技術ですね。粘菌とは「大局観」とも言えるかもしれません。

しかし中垣さんが書いているように単細胞生物の面白さは、単なる物質が集まるだけで”生きたシステム”に化ける事ですね。

この話を友人にして「粘菌は頭が良いなぁ」と言うと

即座に

「粘菌に頭脳はありません」

「粘菌は考えたのではなく反応しているだけなんです」

と言われました。

「でも………」と言うと

「思考は所詮、細胞の反応でしかないわけですから、単細胞といっても立派な細胞ですからそのくらい出来ても当たり前です。

もっと訓練すれば粘菌踊りも見られるかもしれませんょ」

「!?」

「嘘です」

頭脳のある人を、からかってはいけません。

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