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なぜ、最近のテレビ番組の「提供スーパー」のまわりは「文字だらけの予告」になっているのか?

メディアゴン / 2014年12月12日 5時36分

なぜ、最近のテレビ番組の「提供スーパー」のまわりは「文字だらけの予告」になっているのか?

高橋秀樹[放送作家]

* * *

最近の民放テレビ番組の「提供スーパー」の周りにでる「文字だらけの予告」がうるさい。何よりもテレビ画面的に汚い。

提供スーパーというのは「この番組は、○○の提供でお送りします」というナレーションとともに表示されるスポンサーの名前だ。提供料を高く払っているスポンサーはちゃんと企業名が読み上げられるが、それ以外は「ご覧のスポンサーの提供……」になる。

この提供スーパー、元々はCM料を払ってくれるスポンサーに対し、局側がサービスで始めたものである。昔は黒や白、青のバックに提供社の名前がごく普通の自体で表示されるだけだった。時代を経ると、それがロゴの字体になり、カラーロゴになってゆく。局側のサービス向上である。

提供ゾーンは視聴者にとってはCMと同じだから、基本的に視聴率が落ちる。そこで製作者側は工夫をした。

提供のナレーションは通常、新人の局アナが「提供読みの仕事」といって、まとめて録音する。そのナレーションを局アナではなく聞き馴染みのある番組専属のナレーターに変えた。

つぎに、提供スーパーのバックの映像を番組の中身の映像に変えた。最初は、そんなことができるんだ、やってもいいんだと、いうのがおおかたの製作者の感想だっただろう。そこで、誰かが気づいた。

提供バックが番組の映像で良ければ、そこに番組のメッセージを入れても良いだろう。

そしてあのうるさい提供バックの予告スーパーが入れられるようになった。「横組の提供」に「縦書」で入る「次はあっと驚く映像100連発」、その前は「あっと驚く映像ではなかったのか」悪態をつきたくなる。

近頃増えたのが、カウントダウン。「本番まであと◯秒」画面がチラチラ動くのでうるさくてしょうがない上に、提供がどこだかわからない。しかし、この手法はあっという間に広まってしまった。

製作者側には製作者側の論理がある。こうやって我々は細部にわたって視聴率を上げる努力をしているのです。スポンサーさんも、視聴率が上がれば、言うことないんじゃないですか、と。

これで視聴率が本当に上がるかどうかは別問題であり、力点は「細かい努力」の方にあるのだと、筆者は思う。きれいな提供スーパーでCMにはいったほうがスポンサーのイメージアップに繋がるのではないのだろうか。

そのうち、スポンサー側にも言い分が出てきた。最近聞いたのは「文字がたくさん写っている映像に提供スーパーをかけないで下さい」というものであった。

おそらく提供名が見づらいということなのであろう。どこからでた要請かは分からないが、営業経由編成から、というのが妥当なところだろう。これは製作側が従う筋合いの要請かどうかは今の仕組みがどうなっているかわからないから、筆者には答えられない。

但し、提供バックに使ってはいけない、映像というのはある。

皇室の映像、契約で縛られている有名スポーツ選手の映像は使えない。人気歌手の映像は日本音楽事業者協会(音事協)に気を使った局の自主規制の側面がつよい。

昔は1社提供の番組というのが、かなりあったが、広告費をテレビばかりに投入していられなくなったためか、だんだん減ってきた。

1社提供のスポンサーと製作側は信頼を醸成しやすく、長く続くいい番組が出来る面もあったので残念である。信頼が醸成されていれば、提供スーパーにかかる、うるさい予告もやるべきなのか、やってもらいたいとスポンサーが思っているのか、ストレートに話し合いができるはずである。

しかしながら、その時、一番、留意して欲しいのは、もちろんテレビを見てくださる、商品を買ってくださるお客様のことなのだけれど。

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