<極端に走る素性不明の「テレビ文化人」たち>なぜ、テレビは間違えだらけの言説が跋扈するのか?
メディアゴン / 2015年1月28日 3時47分
高橋維新[弁護士]
* * *
「女は男より劣った生き物である」
「日本人はアメリカ人より賢い」
「稲垣吾郎はこのままいくとテロリストになる」
これらは全部、極端な言説である。極端な言説は、不正確である。というよりも、大体の場合間違いである。上の極端な言説を正確にするには、極端さを少しマイルドにしてやる必要がある。
「女の中には、一部に能力が低い人がいて、彼女より能力の高い男の人もいる」
「一部の賢い日本人は、平均的なアメリカ人より賢い場合がある」
「稲垣吾郎は、今後テロリストになる可能性がゼロであると断言できる人はいない」
こうすると、だいぶ正確になる。正確にすると失われるのは、インパクトである。他者の耳目を引く力が、減退するのである。そういう意味では、極端さと正確さというのは、不可避的にトレードオフの関係にある。トレードオフというのは、「あちらを立てればこちらが立たず」という意味である。
例えば、Yahooニュースの項目の中に、
「日本人はアメリカ人より賢い」
という文言が踊っている場合と、
「一部の賢い日本人は、平均的なアメリカ人より賢い場合がある」
という文言があった場合としよう。内容の是非はさておき、どちらをクリックしてみる気になるだろうか。極端な主張というのは、それ自体にインパクトがあるので、それのみで他者の興味を集めることができる。
逆に、トレードオフの関係にある正確さは減退するので、いざ記事を読んでみると大して意味のないことが書いていたとか、単なる「釣り」だったということも少なくはないだろう。
Yahooニュースのようなウェブメディアに限らず、メディアにはこのような「極端」な言説が溢れている。テレビも、例外ではない。
それはひとえに、時間が限られていることが原因である。1分の番宣で視聴者を呼び込みたいときに、
「一部の賢い日本人は、平均的なアメリカ人より賢い場合がある」
などと当たり前のこと(そのうえ冗長なこと)を言っていたのではまるで効果がない。
VTRの合間合間のコメントで自分の言うことに耳を傾けてもらうには、あまり長いことも言っていられない。
よって、テレビは極端に走る。極端なことを声高に臆面もなく言える人に仕事が来る。正確さに気を配って「おもしろくない」うえに「長い」学者よりも、不正確でも極端なことをバンバンという素性不明の「評論家」が画面上を席捲するわけである。
その結果、テレビの言説は間違いだらけになってしまう。
「極端で間違いだらけのことを言っている人」というようにファニーな扱いができればまだいいが(例えば、「ほんまでっかTV」はそのような傾向がある)、これが真実であるかのように大手を振って歩き始めると非常に問題である。
しかし、視聴者も最近その仕組みに気が付き始めている。テレビは極端でおもしろいけど間違いだらけだということに気が付き始めている。インパクトのあることだけを喧伝するというような古臭い演出は、視聴者にそっぽを向かれ始めている。
ではどうすればいいか。
「正確だがインパクトに欠ける言説」をおもしろく料理してやればよい。正確な言説は、それ自体にはインパクトがないが、それを導き出す過程におもしろさがあることがある。これまでの研究の歴史だとか、統計だとかの話である。これを逐一紹介していくと、非常に(大学の講義レベルの)時間がかかるが、そういうテレビが受ける時代に入っているのではないだろうか。
それこそ、NHKスペシャルのような本気のドキュメンタリーである。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「移民が犬や猫を食べている」と言われた町がいま願うこと
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月18日 18時16分
-
香取慎吾・草なぎ剛・稲垣吾郎、3人で初の音楽番組 “国民的スター”の肩書に本音
モデルプレス / 2024年9月15日 11時13分
-
香取慎吾「新しい地図を広げて7年」投稿にコメ殺到!6時間で2400件超「泣いた」「ついに」
日刊スポーツ / 2024年9月15日 6時0分
-
香取慎吾 SMAP解散直後の会話明かす「いまだに吾郎ちゃん家には行ったことはない…」
東スポWEB / 2024年9月14日 20時9分
-
稲垣吾郎「緊張」香取慎吾「おっはー」草なぎ剛は笑顔…3人初の音楽番組そろい踏み
日刊スポーツ / 2024年9月14日 19時15分
ランキング
-
1もうすぐ8年目、広がり続ける「新しい地図」のエンターテインメント 音楽、舞台、映画、テレビ、CM、おせちのプロデュース…果敢なチャレンジの数々
NEWSポストセブン / 2024年9月21日 7時15分
-
240代男性に「このビルの屋上から飛び降りろ」と…アマゾンの物流センターで働いた筆者が解説 映画『ラストマイル』の“背景”
文春オンライン / 2024年9月21日 6時10分
-
3「西園寺さん」“高畑淳子劇場”に《泣いた》の声多数…不適切発言も何の!ベテラン女優の無双
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 9時26分
-
4黒柳徹子、結婚を寸前でやめた理由 過去の恋愛で得た教訓とは「当時の自分に言いたい」
モデルプレス / 2024年9月21日 13時41分
-
5「犯罪者でも…」不倫“継続”報道の斉藤由貴が19歳で語っていた特殊な恋愛体質
週刊女性PRIME / 2024年9月21日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください