<短すぎる賞味期限>8.6秒バズーカ「ラッスンゴレライ」は笑いにとっては死に至る劇薬
メディアゴン / 2015年2月9日 2時21分
高橋秀樹[放送作家]
* * *
「ラッスンゴレライ」とはやし立てるお笑いコンビ「8.6秒バズーカ」が受けている。今、世間では、これのような芸風は「リズムネタ」と呼ばれているらしいが、このリズムネタは、笑いの人にとっては「死に至る劇薬」であるように思う。
心理学の分野には「単純接触効果」という言葉がある。これは、別に気にならないものや、ふだんなら無視してしまうようなものでも、何とも目にしたり耳にしたりしていると親しみや、嫌悪感などの関係性ができてしまうという考え方のことである。
今流行りの「リズムネタ」はこれに当たるのではないだろうか。「ラッスンゴレライ」を聞きつけていると知らずに口ずさんでいたりするのである。この影響力は世の中の15%位に広まるまでは、その流布のスピードは非常に遅い。
ところが、15%を越えると急速に弾みがつく。もの売れ方でもそうだ。たとえば、スマホの所持者は15%になるまでは非常にゆっくり増えてゆく。ところが、所持者が15%になったとたん、急カーブを描いて所持者は100%に近づいてゆく。リズムネタもまたしかり。
ただしリズムネタは100%にはならない。60%位で飽和状態になる。飽和状態になってからの滞空時間はまあ、1年くらいだろう。
では、何故そうなるのか? その答えは簡単だ。
リズムネタの中に入れ込まれている「しゃべり」が、実は、よく吟味すると「ちっともおもしろくない」からだ。リズムにだまされてしまい、聞く方はおもしろいと勘違いさせられているだけなのだ。昔はこれを早口でごまかすと言う手法で漫才師がやっていた。1980年代の漫才ブームを支えたB&Bがその典型である。
「8.6秒バズーカ」のリズムネタを以下に引用してみよう。
8.6秒バズーカです! お願いします! ラッスンゴレライ♪ラッスンゴレライ♪フゥー! ちょっといきなりなんですのー♪ とりあえずやるから着いてきて!ゴー!ラッスンゴレライ説明してね♪ いや、ちょっとまってー♪ちょっとまってー♪おにーさーん♪ ラッスンゴレライってなんですのー♪ 説明しろと言われましても意味わからんからでっきまっせーん♪ ラッスンゴレライ♪フゥー!ラッスンゴレライ♪フゥー!今日の晩飯ラッスンゴレライ♪ いや、ちょっとまってー♪ちょっとまってー♪おにーさーん♪ラッスンゴレライって食べ物なん?♪でも晩飯ゆうてもジャンルは広い♪肉魚野菜どれですのー♪ ラッスンゴレライ♪フゥー!ラッスンゴレライ♪フゥー!飼ってる犬がラッスンゴレライ♪ いや、ちょっとまってー♪ちょっとまってー♪おにーさーん♪嘘はついたらいけませーん♪飼ってる犬がとか言ってますけどおにーさーん犬こうてへんやーん♪
少し長めに引用したが、これだけ長くても笑いは、笑えるところは一つもない。
「リズムネタ」をやる芸人は、近年、頻繁に出ては・消えて、を繰り返している。
・レギュラーの「あるある探検隊」
・藤崎マーケットの「ラララライ♪ラララライ♪」
・エド・はるみの『○○グゥ〜』
・小島よしおの「そんなの関係ねぇ」
・いつもここからの「どけどけ〜どけどけ〜邪魔だ邪魔だどけどけ〜どけどけ〜」
・オリエンタルラジオの「武勇伝デンデンデデンデン、デンデデン」
これらの芸人は、「リズムネタから離れた時」が勝負でる。離れてなおフリートークの技を持っているかどうかがテレビで使われるかどうかの目安となるからだ。
リズムネタのようでいて、リズムネタでないコンビも居る。
・テツandトモ「なんでだろ、なんでだろ、なんでだなんでだろ」
・COWCOWの「あたりまえ体操」右足を出して左足出すと…歩ける。
前者の「リズムネタ芸人」と後者の「リズムネタのようでいて、リズムネタでない芸人」のどこが違うか? これは、民謡に例えれば、リズムネタは「お囃子だけを抜き出した者」であり、後者は「民謡の本歌部分をやっている者」とでも言えるかもしれない。
「リズムネタ芸人」は「ハイ、キタカサッサー、ヨイサッサ、ヨイナー」といったような、民謡の「お囃子」の部分だけでやっているのであり、ネタはいらない。それに対して、「リズムネタのようでいて、リズムネタでない芸人」とは、民謡の「本歌」の部分も歌い、歌詞につづけて、その理由もきちんと笑いに昇華しているのだ。
「リズムネタのようでいて、リズムネタでない芸人」の大先輩といえば、トニー谷さんとか、牧伸二さんが居る。
「♪あ〜あ やんなちゃった、あ〜あ おどろいた。
フランク永井は低音の魅力 神戸一郎も 低音の魅力 水原 弘も 低音の魅力
漫談の牧伸二 低能の魅力 あ~あ やんなっちゃった あ~あ おどろいた」
本歌をネタにする方は寿命、賞味期限は実に長い。
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