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<ジャニーズの後継者問題?それとも…>週刊文春がジャニーズ事務所副社長の単独取材を実施した真相

メディアゴン / 2015年2月18日 2時19分

藤沢隆[テレビ・プロデューサー/ディレクター]

* * *

先日、「こんな妙な記事見たことない」という印象をもった「週刊文春」(1月29日号)の記事がありました。

 「ジャニーズ女帝怒りの独白5時間 『次期社長は娘のジュリー。対立するならSMAPを連れて今日から出て行ってもらう!』ぶち抜き10ページ」

という記事です。その号の発売からおよそ一ヶ月、もっと話題になっていろいろと裏話が出てくるのかと思っていたのですが、筆者が想像したほどの大騒ぎとはならなかったないようです。

 「間違いなく芸能史に残る貴重な証言録と言える。1983年以来、約30年ぶりのロングインタビュー。〝目利き〟ジャニー氏の姉である〝女帝〟が自らの言葉で後継問題を語り、SMAPマネージャーを一喝。姉弟が一代で築き上げたアイドル帝国の内実がいま明かされる。」

というリードのとおり内容はほぼ全編がジャニーズ事務所「メリー喜多川」副社長(年齢非公表・弟のジャニー喜多川社長が83才とあるのでご想像を)へのインタビューです。メリー喜多川さんがインタビューに応じるのはとても珍しいのかも知れませんが、天下の週刊文春が巻頭10ページぶち抜きにするほどのバリューがあるのかと首をひねりたくなる内容でした。

そもそもこの記事、発端が妙です。

西麻布のレストランでメリーさんが同じく副社長で娘のジュリー景子さん、女優の大地真央さん、黒木瞳さん、嵐の松本潤さんなどと食事をしているのを週刊文春が突き止め、これがどんな目的の食事会なのか疑問に思ってジャニーズ事務所に質問状を送ったところ、顧問弁護士を通じてメリー氏から取材に応じる旨の連絡を受けた、というのです。

芸能事務所の幹部が女優や自社タレントと食事して何の不思議があるんでしょうか? 普通それを知ったからといって食事会の目的に疑問を持つものでしょうか?

それも単に疑問を持っただけでなく「質問状」を送ったというのですからおだやかではありません。さらにこんなことの質問状に対しジャニーズ事務所からはわざわざ顧問弁護士を通じて返事があったというのですから驚きです。

この食事会の目的、質問状、顧問弁護士というどうにもしっくりしない流れには、何かウラがありそうなアヤシイ香りを感じませんか。

そもそもジャニーズ事務所と週刊文春と言えば、古くはジャニー喜多川社長の児童への性的虐待疑惑で最高裁まで争ったり、最近では関ジャニ∞・ 横山裕さんの同棲発覚報道などいろいろ対立が知られる関係ですから、なおさら記事にある経緯には強い違和感があります。

インタビュー当日はジャニーズ事務所の白波瀬傑専務と男性スタッフ、さらに顧問弁護士2名が記者を待ち構えていた、と記事にあります。副社長であるメリーさん自らが「レストランでの会食の目的は?」という取材を受けること自体が不思議ですが、そんな取材にこれだけの人間が同席するなんて常識的には考えられません。

ならば取材は単に「食事会の目的」なのではなく、専務と男性スタッフが同席しなければならない程度にジャニーズ事務所にとっての重要な問題、それも弁護士2名が同席すべき法的問題にからむ可能性のある問題だったのではと勘ぐりたくなるのがふつうではないでしょうか。

記事によれば

 「会合の目的(中略)その先にはジャニーズ事務所の後継者をめぐる〝派閥問題〟の真相があると小誌は踏んでいた。」

とあるのですが、派閥問題で二人の顧問弁護士・・・、うーん、それでもやっぱりなんか妙ですよね。

インタビューはジャニーズ事務所の後継者問題、とりわけSMAPなどを担当するマネージメント室長・飯島三智さんとメリーさんの長女・藤島ジュリー景子さんとの派閥争いの話になって行きます。ついにはメリーさんがインタビューの席へ飯島三智さんを呼びつけ、飯島さんが否定する中、

 『対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう。あなたは辞めなさい、と言いますよ』

などというキビシイ場面が描かれるのですが、これらの話もどうにも妙な気がします。

まず〝派閥〟ですが、ジャニーズ事務所は資本金80億、売上げ数百億とも言われる企業ですから、それ相応の従業員がいるわけで、それだけの組織なら派閥と言われるようなものがあってもしごく当然です。なぜ当然のことにことさらのように目くじらを立てるのでしょうか。

さらに〝後継問題〟です。ウィキペディアの情報が正しければ、という前提付きですが、ジャニーズ事務所は社長であるジャニー喜多川さんが60%、メリーさんとジュリーさんがそれぞれ10%づつの株を持つ企業ですから、派閥があろうがなかろうが最終的にはジャニー喜多川さんの意志で後継社長は決まります。

飯島三智さんがどう考えようとも派閥云々はジャニーズ事務所の後継問題とは結びつきにくいのは常識ではないでしょうか。

ただし、ジャニー社長とメリー副社長という高齢の姉弟間に後継者問題で確執があり、実の娘であるジュリーさんを次期社長と考えるメリーさんとは違って、ジャニーさんの意中の後継者が飯島さんだというなら話は別です。しかし、今回の記事にはそんな話はかけらほども出てきませんし、週刊文春ともあろうものが「株主構成からして後継者を決めるのはジャニーさんなのでは?」という質問すらしていないようなのです。

このあたりもなんとなくアヤシクないですか?

この話題の後のインタビューはメリーさんの独壇場。

 「ジュリーさんが次期社長なのか次期社長候補なのか」

などというあまり意味のない話や、近藤真彦さんや東山紀之さんなどとの思い出話が延々と続き、最後に記事はこう結ばれます。

 「メリー氏の夫で作家の藤島泰介氏(故人)は、かつて妻をこう表した。《瞬間湯沸かし器型の感情の激しい人だが、実に〝女〟である》 ジャニーズタレントは、この〝ビッグママ〟の底知れぬバイタリティによって統治され、守られている。」

はてさて、天下の週刊文春巻頭10ページにわたるこの大記事はいったい何を書きたかったのでしょうか。ボリュームのわりになんとも釈然としない記事ですが、私以外にも釈然としない方は少なからずおられるようで、ネット上には、

・週刊文春は掴んでいた他のスキャンダルをこのインタビューと取引をしたのでは
・インタビューはメリーさんが娘のジュリーさんに渇を入れるためだったのでは
・飯島さん寄りの傾向が見えるジャニー社長へのデモンストレーションだったのでは
・メリーさんのガス抜きだったのでは

などと、根拠なしの憶測がいろいろと書かれています。事の真相はまったくわかりませんが、この記事の記憶を頭の片隅に残しておくと、〝そういうことだったのか!〟と腑に落ちる日がいつか来るような気がするので、しばらくの間この記事は要保存としております。

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