<「もう見飽きたよ」という視聴者の権利>「1出演者、2スタッフ、3視聴者」がテレビ番組に飽きる順番だ
メディアゴン / 2015年9月14日 12時0分
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
人間は「飽きる」という崇高な精神活動を持っている。だから当然、テレビ番組にも「飽きる」。
もし、人間が「飽きない」としたら、今のテレビは「恐ろしいこと」になっていると容易に想像がつくだろう。
例えば、バラエティ番組を例にとって「飽きる」ということを考えてみたい。一番に「飽きる」のは出演者である。なにせ、演者が最も濃密に番組に関わっているので、飽きるのも早い。濃密さと、飽きやすさは正比例するのである。
おそらくタモリさんは飽きていたが(本人ではないのであくまで推測だが)、タモリさんは暇つぶしの見つけ方のすごく上手な人だったのではないかと思う。番組を生放送でやりながら、誰にも気づかれず自分一人だけでできる暇つぶしを見つけて番組を続けていたのではないか。ただし、そうであったとしても筆者としては、それを否定しない。
次に、飽きるのはスタッフ、最後に飽きるのは視聴者である。この順番は演者とスタッフに余裕を与えてくれるということを意味する。視聴者が完全に飽きるまでは、まだ視聴率を維持しているから、その間に飽きないように番組を改造すればいいのだ。
だが、この改造がなかなか難しい。演者もスタッフも自分がもう飽きているのにも関わらず、「変えること」を躊躇する。そもそも「変えるためのアイディア」が思いつかない。結果、「ただ、変えることを目的とした」「変えるための変更」が行われてしまう。このわかりやすい例が、サブキャラクターの投入である。
こういう状態になった時は「番組を終わらせてあげればいいのに」と、長くテレビ業界に関わってきた筆者としては強く思う。
「半年休んでまた、番組やりましょう」と、演者に言えばいいのである。お金を得ることだけを目的に番組をやっている演者以外なら「そうしましょう」と納得してくれるはずである。しかし、「また、番組やりましょう」という言葉にも、往々にして嘘が潜んでいることはちょっと悲しい。
繰り返すが、人間は「飽きる」という崇高な精神活動を持っている。
それには誰も抗えない。
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