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<学校の休み時間のような状態?>「アメトーーク」はもはやトーク番組ではない

メディアゴン / 2015年4月20日 8時9分

高橋維新[弁護士]

* * *

テレビ朝日の「アメトーーク」について、筆者は、トーク番組というより総合的なバラエティ番組と捉えた方がしっくりとくる、と考えている。

さて、先日(4月2日)放映された3時間スペシャルの回は、

1. 勉強しまくった芸人
2. パクりたい-1グランプリ
3. 芸人体当たりシミュレーション

という企画の3本立ての構成であった。

これを見ても、「1.勉強しまくった芸人」は、トークがメインの企画だが、「2.パクりたい-1グランプリ」は山崎弘也(アンタッチャブル)と藤本敏史(FUJIWARA)が人のネタをパクるのが主であって、そもそもトークの部分が全くない。

「3.芸人体当たりシミュレーション」は芸人のリアクションがメインコンテンツで、ひな壇トークの部分は単なるオマケであった。

4月2日の回を見るだけでも、「アメトーーク」は「トークもやってるお笑いバラエティ番組」と考える方が自然なのである。

さて、そんな4月2日の「アメトーーク」の各企画の寸評をしてみよう。以前、筆者も書いたことがあるが、「アメトーーク」でおもしろいのは何かをバカにする企画である。特に「1」のような純粋なトーク企画ではそれが顕著である。

「1」のテーマは、「勉強しまくった芸人」である。ガリ勉芸人がガリ勉っぷりを自虐的にしゃべるのであればおもしろくはなるかとも思われたが、余りそういう方向には流れなかった。基本的には勉強法の紹介に終始していたので、結局そんなにおもしろくはなかった(興味深い点はあったが)。

この企画で一番おもしろかったのは、出川哲朗のポンコツっぷりだった。結局、出川をバカにすることで笑いをとっていたのである。出場した「勉強しまくった芸人」たちは出川に感謝しないといけない。

この手のトーク企画では、最前列の向かって一番左(司会の「雨上がり決死隊」に一番近い位置)にきちんと喋れる芸人を配置して、その人に流れを作る役割を担わせるのが「アメトーーク」という番組の特徴である。

ここに座る芸人は、ガヤに負けずに、客に聞いてもらえるように話のできる腕が必要であるため、有吉弘行、博多華丸・大吉、千原ジュニア、サバンナ・高橋茂雄、ケンドーコバヤシ、小籔千豊、フットボールアワー・後藤輝基みたいな実力派が配置される。逆に言うと、こういう実力派が一人も出せないトークテーマは企画にしない。

本企画でこの役割を担っていたのがオリエンタルラジオの中田敦彦だった。正直言って、あっちゃんがあんなに喋れるのは意外だった

「2」は、基本的には「おもしろい」とされる企画である。なぜなら、本家の「パクられる方」よりも、パクった方がおもしろくなっているからである。

なぜ、本家よりザキヤマやフジモンがパクった方がおもしろくなるのかといえば、2人が強烈な「フラ」を持っているからである。ザキヤマはデブ・ブサイクというフラを、フジモンはブサイクのフラを持っている。この強烈なフラをもった2人がやれば、同じことをやるにしてもおもしろくなるだけの話である。

だから、パクられ元の芸人が2人に匹敵するフラを持っている場合は、パクってもそれほどおもしろくならない。今回の出場者の中の代表例がザブングルとクマムシであって、現に2組ともちゃんとパクられてはいない(ザブングルは外しのボケの犠牲になった側面もあるが)。

あと、2人とも単純にパクるだけでなくて、過去にパクった他の芸人をどんどん混ぜてくる。そこに、笑いの妙味である奇襲が生まれるのである。

2人とも、好きでやっていることであろうが、普段から色々な芸人のネタを見て、ひとりで練習して、どんどん引き出しを増やしているのであろう。

そういう意味では、2人とも非常に勤勉なのである。アドリブは、結局、こういう「引き出しの多さ」で決まる。いまいちパッとしない若手は、2人のこの勤勉さと、何でも臆面もなくパクって客に向かって出していく開き直りを見習ってほしい。自分のネタだけに芸術家的にこだわっているようでは、大化けはしない。せいぜい一発屋として1回当たって消えていくだけである。

とはいえ、MCである宮迫博之も指摘していたが、2人がテレビで騒いでいるのは学校の休み時間のような楽しさがある。そういう馬鹿をやっていれば飯が食えていけるのだから、いい意味で非常にうらやましい。

仮に2人がプロフェッショナルとして嫌々ながらテレビで「バカをやっている」のだとしたら、非常に失礼な発言になるのかもしれないが、どうもそうは見えない。もちろんそうは見せないことも、プロの一つの腕なのだが。

「3」は、おもしろいリアクションや画を引き出せる競技さえ考えられれば、おもしろくなるのは必然である。その競技を考えるのは、作家とディレクターの仕事であって芸人の側ではない。

アンガールズ・田中卓志やロッチ・中岡創一のような、ザキヤマよりも強烈なフラ(場合によっては受け手を引かせてしまうほどのフラ)を持っている芸人をぶつけてやればよいのである。

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