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<「めちゃイケ」は子供にウケる番組を作りたいのか?>プロが素人を笑わせる番組ではなくなった「めちゃ×2イケてる」に失望

メディアゴン / 2015年4月6日 3時36分

高橋維新[弁護士]

* * *

4月4日のフジテレビ「めちゃ×2イケてる」(以下、めちゃイケ)は3時間特番だった。メインコンテンツは「テスト」である。

テスト企画は「めちゃイケ」がよくやる天然ボケを嗤うタイプの企画である(他の例としては、「歌へた」がそうであるし、エスパー伊藤やエガちゃんも主に彼らの意図しない部分を笑いの対象とされている。)。

天然ボケなので、偶発的な部分に頼らざるを得ず、蓋を開けてみるまでおもしろくなるかが分からない怖さがある。

受験者を変えながら長いこと続いているが、最早全盛期のようなおもしろさはない。

バカには「おもしろいバカ」と「おもしろくないバカ」がいる(念のために言っておくが、この企画で「バカ」扱いされている人は、頭が悪いわけではなく、物を知らないだけである)。濱口優と山本圭一は間違いなく「おもしろいバカ」だった。2人の解答は、おもしろかった。

ところが、この2人に匹敵するほどの「おもしろいバカ」は今のところ表れていない。今回も、出なかった。普通にあまりおもしろくない間違いが並びたてられただけであった。

テスト自体、濱口と山本がおもしろい企画でしかないのである。山本はもうおらず、濱口の間違い方ももうだいたいパターンが見えているので笑えるものではない。

つまり、このテストという企画自体もう放逐した方がよいのである。

更に気になるのは、毎回順位発表に尺を使い過ぎている点である。今回も、30分以上は単なる順位発表だった。1人発表するごとに残っている全員の顔を2回ずつ抜く演出が入るが、ちっともおもしろくない。CMも何度も入る。トコトン引っ張られる。一昔前のテレビの悪いところが凝縮されているのである。

こういう悪いテレビに対するアンチテーゼ的な番組作りをしていた「めちゃイケ」に、ここまで典型的な悪意ある画作りをしてほしくない。

今回放映された他の企画についても述べておく。

「めちゃギントン」については、前も述べているが、シーズン2という触れ込みで子役タレント(彼らもあくまでタレントである)を大量に入れるようになってから、わけの分からないことになっている。

「めちゃギントン」は、「しりとり侍」「数取団」「色取忍者」というゲーム企画の系譜にあるコーナーである。真面目にゲームをやって、素で間違えた者がきつい罰ゲームを喰らうところにコーナーのおもしろさがある。

とはいえ、そこは何よりもおもしろさを重視するのが「めちゃイケ」であるため、本当に100%のガチンコではない。演者もそれを分かっていたため、ゲームの勝ち負けよりもおもしろさに主眼を置いてゲームをやっていた。

誰かがおもしろいお題を出せば、周りはそれに追随していた。例えば「めちゃギントン」であれば、「ラッパ」というお題に岡村がおもしろい動きと音で答えれば、他の人もしばらく「ラッパ」というお題で続けて、岡村のおもしろい動きと音をマネしていた。

「数取団」であれば、「ゴルバチョフ書記長」みたいなカミそうなお題が出れば、他の人も同じようなカミそうなお題(「ラムズフェルド国防長官」など)を重ねて天丼で笑いをとっていた。100%のガチンコであれば、自分でわざわざカミそうなお題を言うのは避けるはずである。

今の「めちゃギントン」には、いつもの演者の合間合間にこのへんの機微を分かっていない子役が挟まるため、おもしろい流れがぶっつり切れてしまう。誰かがおもしろいお題を出しても、子役はゲームに真剣になる余りこれに重ねることをせず、全く違うお題を出して流れをぶった切ってしまうのである。特に、ししまるはこの辺りの空気が全く読めていないので、見てて可哀想になってくる。

罰ゲームも、相手が子供なのでキツくやることができず(あまりキツくやると視聴者が引いてしまう)、おもしろい画が撮れない。結果、ただただ漫然とプレーされているゲームを見せられるだけになっている。

やっている方は楽しいのかもしれないが、テレビは視聴者を楽しませるもののはずである。数取団が華やかなりしころ巷間であふれていた言説、「アレやるとそんなに楽しくないんだよな。見てる分にはおもしろいけど」というのがめちゃイケの目指しているところだったはずである。今は、(子供が)やるとおもしろいゲームが志向されるという逆転現象が生じている。

もちろん、小学生やそこらの子役にこのゲーム企画の機微を理解せよというのは難しい注文なので、子役の責任ではない。こんなものを導入した大人の責任である。

「めちゃイケ」は子供にウケる番組を作りたいのか? そうではないだろう。

今回の放送の唯一の救いは、「ミヤネ屋」のパロディ、「情報ライブオカネ屋」である。岡村の宮根誠司のコピーは、岡村にしかできない完成度に達していた。このコーナーがずっと中途半端な扱いを受けているあたりに、今の歯車がかみ合っていないめちゃイケが表れている。

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