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<今時こんなドラマはない>類型化された人物設定のパターンを考えてみた

メディアゴン / 2015年7月3日 7時0分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

筆者は長く放送作家として活動してきたが、ドラマづくりは経験が少ない。しかし、コントなら多くの作品に携わり、これまで無数の人物設定を考えてきた。

コントの登場人物には、わかりやすいステレオタイプな人物設定がされることが多い。かつてはテレビドラマでもよく類型化された人物設定があった。

そこで、本稿では今時のドラマにはもう見られなくなった「類型化された人物設定」の典型的なパターンをいくつかを考えてみた。誰もが多かれ少なかれ記憶にあるような設定であると思う。

この類型化には、罠が潜んでいる。便利だけど嘘であることも多い。人をグループ分けして、そのグループ全体を同じ性向を持った人だと考えるのは間違っているのに、人は容易にその罠にはまる。

血液型の性格分類などはその典型的な例である。以下にその例を挙げていくが、例えば、

 「東北人は我慢強い」

という類型化は、

 「東北人の中には我慢強い人もいる」

と読み替えれば、それは誤から正に変わるだろう。

・大阪人はこすっからい
・九州人は肝が太い
・江戸っ子は短気

これら地域性に絡むものの大本を作ったのは、1969年(昭和44年)初版、心理学者・宮城音弥(1908〜2005)の「日本人の性格 -県民性と歴史的人物 」に、負うところが多い。

もちろんそれ以前にお国柄と呼ばれる県民性はあった。東京は全国から田舎者が集まるところだから、47都道府県各地の人々を観察できた。つまりこれらは田舎にとどまらず東京に出てきた各地方人を観察してできあがったイメージである。

・姑は嫁をいびる
・嫁は姑を馬鹿にしている
・一人っ子は甘えん坊
・身障者は心がきれい
・若い男はセックスのことしか考えていない
・画家はルパシカとベレー帽を身につけている

文学座の杉村春子先生は、画家役の新人俳優が、稽古にこの格好をしてきたので、烈火のごとくお怒りになられたそうだ。杉村さんの時代からすでに間違っていたのである。

・OLは不倫をしている
・警察署長は天下りで性格が悪い
・妻は絶対夫の文句を言う
・子供は純真
・母の手紙を人前で読まれたら必ず泣く
・学校は校長派と教頭派に分かれている
・美人の女子高生は相当バカ
・おたくの高校生は考えがネガティブ
・めがねを強調している女子は取ると美人
・亭主はかみさんにを財布を握られている
・政治家にはウラがある
・寂しがり屋の少年少女は幼少期に暗い原体験
・新橋で飲んでいるサラリーマンは出世をあきらめている

こういう類型を打破した脚本家として僕が記憶するのは山田太一、向田邦子までである。あの頃は夢中になって「想い出づくり。」(TBS・1981)や「あ・うん」(NHK・1980)を見たものだ。

今は今で、類型を破る作品がどんどん作られているのだろう。

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