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<「笑点」超えがテレビの使命>今のテレビマンは視聴率日本一「笑点」を超える番組を創ることができるのか?

メディアゴン / 2015年11月29日 8時0分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

「笑点の裏やらない?」と、筆者の尊敬するディレクターが言われたことがある。筆者はたちまちその言葉の背後にあるものをすべて理解したので、諸手を挙げて賛成した。

 「いいですねえ、笑点の裏番組。やりましょうすぐ。やりましょう」

「笑点」は、言わずと知れた、日本テレビ系列で1966年5月15日から毎週日曜日夕方に放送されているバラエティ番組である。しかし、いわゆる「バラエティ番組」というジャンル分けでは少し違う気がする。

昔あったジャンルでいえば「演芸番組」か。それも違う気がする。やはり「大喜利番組」というのが一番ピンと来る。

この大喜利番組は「笑い」の番組としては、日本一視聴率の高い番組である。そんなジャンル分けを越えて、週間視聴率で日本の頂点に立つ番組になることもある。大相撲中継と視聴者層がかぶるので、その季節は視聴率が落ちるがそれでも15%は取るお化け番組である。

よって、「笑点の裏をやる」と言うことには、笑いを主戦場としてやって来た筆者も含めたテレビマンには様々な思いがある。笑点に挑むという気概を僕らテレビマンはいつから忘れてしまったのだろう。

そもそも、「笑点」のような笑いとは何なのだろう。「本当に面白い」と思って観ている人は居るのだろうか。それが長年の50年にわたっての疑問なのである。

例えば、20代後半のはがき職人をやっている知人がいる。シュールな笑いを雑誌に投稿するのが趣味であるこの知人は欠かさず「笑点」を見ている。その理由を聞くと「自分の笑いのレベルが笑点レベルに落ちていないか確認するため」だそうである。ずいぶん屈折した見方だが、それなら、見る理由としてよくわかる。

筆者が聞かされた「笑点の裏やらない?」という問いかけには、「笑点」を永遠に日本一視聴率のよい番組にしておくのは、笑いを作るテレビマンとして負けなのではないか? という意味も含まれているのだ。

「笑点」の裏で、しかも、笑いの番組をやって視聴率で「笑点」を越える。それが、今、笑いをやっているテレビマンすべての使命なのではないか、ということなのだ。

そのときやる笑いがいかなるものであるのか? は定かではない。しかし、「ここで笑って下さい」と、印がつけられたところで、観客全員が気の抜けた笑い声を発するような番組ではないのは確かである。「笑おう」となどと思っていなかったのに吹いてしまった。微笑んでしまったというような笑いである。

・・・と、言いつつも、筆者に「笑点」の裏で笑いの番組をやる目途はちっとも立っていない。だから、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の編成マン・ウーマンの皆さん、NHKと日本テレビの以外の編成局で、野心のある方、ぜひ、お声をおかけ下さい。

ペラ一枚の企画書を持って、すぐに馳せ参じます。どうせゲリラでやる番組ですから、失敗してもあなたの責任にはならないことは請け合います。(なお、NHKが除外されている理由は本稿では言及しない)

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