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<芸能人のリスクを負わない芸能人>女子アナを見ているとなぜ「腹が立つ」のか?

メディアゴン / 2015年4月11日 7時36分

藤本貴之[東洋大学 准教授・博士(学術)/メディア学者]

* * *

社会には一定層「女子アナ嫌い」とされる人たちが存在しているように思う。一般的には「憧れの職業」「彼女にしたい職業」とされる女子アナであるが、マツコ・デラックス氏のように、公然と女子アナ嫌悪を口にする人も決して少なくはない。

もちろん、憧れの職業についている女子アナたちへの嫉妬ややっかみもあるだろう。憧れと嫌悪は表裏一体であるということなのかもしれないが、根強いファン層がいる一方で、現役女子アナ、元女子アナともに厚いアンチ層が存在し、ネットを中心にゴシップを賑わせている。

人気/憧れである一方で、女子アナという職業が腹立たしく思われる最大の理由を考えてみれば、

 「芸能人になるというリスクを負わずに芸能人をしている狡猾さ」

を敏感に視聴者が感じ取っている、という点にあるように思う。「退路を絶った芸能人というリスク」を負わないどころか、むしろ、大企業のサラリーマンとしての安定を享受している。しかも、それなりの学歴などを持ち「上場企業のOLとしてのステイタス」も確保している。

これは「才色兼備」と言い換えることができるのかもしれないが、いわゆる女子アナでなくとも、才色兼備は他にいくらでもある。しかし、女子アナ以外の「才色兼備」でわかりやすいアンチ層が存在している職業はそうそうない。

女子アナは注目されたがりで上昇志向の強い女性からしてみれば、理想的な職業なのだろう。「歌手になる」とか「女優を目指す」と言われれば、やはりそのリスクを考え、否定的に捉える親も多い。しかし、女子アナであれば、「芸能人的な露出」はしているが、最終的には「大企業のOL」になるのだから、親もなかなか否定はしないだろうし、むしろ応援するはずだ。

もちろん、狭き門であるテレビ局の正社員の、しかもアナウンサー職というさらに狭きセクションに採用されるわけなのだから、本人の努力や能力の賜物もあるだろう。人一倍努力をしてきたことは十分に理解できる。

しかし、それでもなお、同じように大企業、一流企業に就職してゆく他の業種のOLたちに比べ「腹が立つ」のはなぜだろう。当然、そこには「チヤホヤされて!」という嫉妬ややっかみもあるだろうが、そればかりではないはずだ。

そこで筆者が感じたことは、女子アナという職業の曖昧さである。

「芸能人だけど、大企業のOL」という女子アナの特徴は、上昇志向の強い、華やかさとステイタスを求める女性にとっては、理想的な職業である。一方、雇うテレビ局の側からしてみれば、プロダクションや露出方法、ギャラなどを気にすることなく、局の判断で自由に「ほぼ芸能人」を利用することができるのだから便利な存在だ。

もちろん、アナウンサーとしても最低限の教育は施されているのだから、テレビやイベントでしゃべったり、解説したりという業務に支障はない。安心して使うことができる存在でもある。

80年代以降、急激に女子アナのタレント化が進み、古くは有賀さつき、河野景子、八木亜希子(以上フジテレビ)、日本テレビの永井美奈子、薮本雅子、故・米森麻美の3氏にいたっては「DORA」というグループ名で歌手デビューも果たしている。

レギュラー番組を持つ、というすべての芸能人の目標があるが、それを叶えることができる芸能人は一握りだ。しかし、女子アナたちは「アシスタント」とか「司会」といった形でデビュー時から「レギュラー持ち」である。その意味では芸能人としても例外的に下駄をはかされた特殊な存在でもある。

そう考えると、近年、女子アナとは、「テレビ局のアナウンサー職の正社員」というよりも、むしろ「テレビ局所属の正社員の芸能人」ということになるのではないか。この本来の役割と現実の女子アナの存在との乖離。この職業としての曖昧さに違和感を持ってしまうわけだ。

アナウンサーはニュースや情報を正しく伝えることが職務である。民放であっても、公共の電波を使っている以上、重視されるべきは、芸能人性ではなくアナウンサーとしての能力だろう。いわゆる女子アナではなく、「メディアで伝える仕事」として正しくアナウンサーやキャスターになっている女性も存在している。当然、そういった女性アナウンサーが嫌悪されることはない。腹立たしく思われるのは、常に女子アナなのである。

テレビ局としてのビジネスや意向もある以上、女子アナひとりひとりになんら責められるべきところはない。しかし、視聴者からすれば、アナウンサーとしての役回りであったはずの女子アナが、あたかもタレントのごとくテレビに登場するシーンを見ると「腹が立つ」というメンタリティは十分に理解できる。

だとすれば、テレビ局は、初めから「テレビ局正社員タレント」をアナウンサーとは別に採用すべきではないか。もちろん、正社員なのだから、売れなくなっても一方的な解雇はできないので、ドラマなどのちょい役・年配役に起用したり、クイズ番組のアシスタントや情報番組の再現ドラマ、普通のプロダククションには依頼しづらいような芸能仕事などで利用すればよいではないか。生活は保障されているわけで、十分に魅力的な仕事だと思う。

 「女子アナは単なる会社員です。芸能人なんてとんでもない!」

と言うテレビ局関係者も多いだろうが、だとしたら、

 「読者モデル、ミスキャン、ミスコンなど、芸能類似行為を経験した人はアナウンサーとして採用しない」

ぐらいのルールを作ってはどうか。まったく新しい女子アナならぬ「女性アナウンサー」が登場してくるように思う。

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