安倍晋三首相:米議会上下両院合同会議の演説は「スピーチライター・谷口智彦氏」の存在に注目したい
メディアゴン / 2015年5月2日 11時35分
岩崎未都里[学芸員・美術教諭]
* * *
安倍晋三首相の米議会上下両院合同会議の演説が話題になっていますが、注目すべきは演説の内容そのものよりは、原稿のスピーチライターである内閣官房内閣審議官の谷口智彦氏の存在です。
谷口氏は、「日経ビジネス」の記者出身で2013年2月より第二次安部政権にて現職に就任しています。ちなみに東京オリンピック招致の原動力となったプレゼンテーションも彼が手掛けた仕事です。
スピーチライターという存在に筆者が関心を持ったのは、6年前の2009年にアメリカの大手ケーブルテレビHBO制作の「BY THE PEAPLE THE ELECTION OF BARACK OBAMA」(邦題「バラク・オバマ大統領への軌跡」)を見てから。
この映画の中で驚かされたのは、オバマ大統領の主任スピーチライターであるジョン・ファヴロー氏が当時26歳であったということ。そしてホワイトハウス近くのスターバックスで大統領と直接に連絡を取り合い、草案を作成していることでした。
「気分転換に1~2時間毎に違うスターバックスへ移動しながら書くんだ」
とファヴロー氏はコメントしていましたが、職務内容が非常にナイーブで危険なものでしょうから、「お気に入りの決まったスタバで缶詰になって書いてる」ことなどある筈はなかろう、と思ったのを覚えています。
未だ日本では時の首相の所信表明演説ほか、広島平和式典など世界が注目する式典演説など様々な演説の度々「ゴーストが書いた演説ではないのか?」などの批判を目にすることは珍しくありません。
もちろん、「スピーチライター」は「ゴースト」ではありません。演説というものは国ひとつの将来がかかる仕事であり、首相という立場でも一個人の思想のみで書けるものではありません。周知の通り、首相の職務内容は多岐に渡り、30分の演説ひとつの文書作成だけに、大きな時間をかけることはできないはずです。
今や、政治家だけではなく、上場企業などにおける経営者にも「スピーチライター」は必要不可欠であるように思います。「スピーチライター」の役割とは、クライアントとビジョンを共有できており、俯瞰で現状分析ができ、将来の利害関係まで考慮したうえで、問題点を予測し先回りして代案まで用意し、素早く文書化することであると筆者は考えます。彼らの作成した演説原稿の絶妙な表現能力にも唸らされます。
筆者は今後も、世界情勢に鋭いバランス感覚を持つ谷口氏のスピーチライターとしての仕事に注目していきたいと思います。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
バイデン氏、イスラエル首相と会談見通し 7月訪米時=当局者
ロイター / 2024年7月3日 13時47分
-
日中韓「三国協力事務局(TCS)」、参加国広げることが必要
Japan In-depth / 2024年6月25日 14時19分
-
マクロンは「英雄」ドゴールに自分を重ね合わせた?...レジスタンス記念式典で何を思ったか
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月24日 12時20分
-
ガザ紛争、誰が統治するかがポイント
Japan In-depth / 2024年6月11日 13時45分
-
米、イスラエルとの首脳会談明言せず ネタニヤフ氏訪米時
ロイター / 2024年6月10日 12時26分
ランキング
-
1河野太郎氏、やから発言釈明 「言葉の選び方は慎重に」
共同通信 / 2024年7月3日 20時0分
-
2潜水艦修理契約で不正か=川崎重工、海自に金品提供疑い―防衛省
時事通信 / 2024年7月3日 19時51分
-
3旧優生保護法の違憲判決を受け加藤こども政策担当相が今後の対応を発表
日テレNEWS NNN / 2024年7月3日 23時9分
-
4「64歳まで国民年金納付」案見送りへ、負担増に国民理解を得にくいと政府判断
読売新聞 / 2024年7月3日 13時42分
-
5知床沖観光船沈没事故で乗客家族らが損害賠償を求め運航会社と桂田精一社長を提訴「亡くなられた家族と残された家族の尊厳の問題」
北海道放送 / 2024年7月3日 18時5分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください