「ヨイトマケの唄」も放送禁止だった 自主規制が名曲を殺す音楽業界

メンズサイゾー / 2013年1月6日 8時0分

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 昨年末のNHK紅白歌合戦で美輪明宏が披露した名曲『ヨイトマケの唄』が、ネット上で話題になっている。1964年に生まれた同曲は、戦後の激動の時代を貧しく苦しくとも互いにかばい合って生き抜いた母子の絆を描いた歌。黒のシンプルなスーツの“男装”で現われた美輪が、身ぶり手ぶりを交えて歌いきると会場は水をうったように静まり、その圧巻のステージに多くの人々が感動した。

 ネット上でも反響は大きく、Twitterでは絶賛の嵐が巻き起こり、普段は罵詈雑言であふれている「2ちゃんねる」も紅白のスレッドが美輪を褒めたたえるコメントで埋め尽くされた。リアルタイムで聴いていた世代はもちろん、曲の存在すら知らなかった若い世代の心も動かしたようだ。1月1日午前のGoogle急上昇ワードランキングで「ヨイトマケ」が1位になっており、goo音楽歌詞デイリーアクセスランキングでも同曲がトップに立っている。

 同曲は紛れもない名曲であるが、「放送禁止歌」の代表的楽曲という側面も持っている。題名や歌詞に「ヨイトマケ」」「土方」といった差別用語とみなされる言葉が含まれており、かつては日本民間放送連盟によって「要注意歌謡曲(通称・放送禁止歌)」に指定されていた。要注意歌謡曲は差別用語のみならず、わいせつ性や政治的配慮、暴力表現、果ては「過激すぎる」という曖昧な理由でも指定され、ピンク・レディーの代表曲『S・O・S』も冒頭に救助要請のモールス信号がサンプリングされているという理由で一時放送禁止扱いになっていた。

 この制度は1983年に廃止されたが、その後も現場の事無かれ主義が招いた「自主規制」という実態のない呪縛により、民放では『ヨイトマケの唄』が封印されてきたという事実がある。だが、2000年に桑田佳祐がテレビ番組でカバーを披露し、若い世代を中心に「桑田が歌ったあの歌は何だ?」と大きな話題になると解禁ムードに。同年にNHKで美輪本人がフルコーラスを歌唱し、民放各局でも流されるようになった。

 近年、こういった「放送禁止歌」にスポットが当たり、今まで接する機会がなかった世代から大きな反響が巻き起こるというケースは増えている。

 放送禁止歌の代名詞といえるフォークの神様・岡林信康の『手紙』(1970年発売)は、部落差別によって恋人と引き裂かれた女性の心情を歌った名曲だったが、タブーを扱っているとして放送禁止となった。以来、メディアで流れることはなかったが、ドキュメンタリー作家・森達也氏が自身の番組「放送禁止歌」でフルコーラスを流し、その美しいメロディーと心に響く歌詞に初めて触れた若い世代に強烈すぎるインパクトを与えた。

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