大量の謎と伏線を散りばめた大人ドラマのはじまり/『カルテット』第一話レビュー

messy / 2017年1月20日 0時0分

 家庭があるから週末だけ別荘に来るという、結婚3年目、広告代理店勤務の夫を持つ真紀は、金持ちらしいのにじめっとした暗い女で、極度に声が小さく、目は泳いでいます。夫は「君の好きにしていいよ。君は君らしく」と週末のカルテットを理解している、と彼女は説明します。けれどいざ口を開けば核心を突くことを理論的に話しはじめる、謎多きキャラクター。

 トイレであろうがどこでだって寝られるすずめは、中途半端なハーフアップお団子のヘアスタイルで三角コーヒー牛乳ばかり飲んでいて、マイペースでやや不思議ちゃんの印象です。初めて4人が音を合わせる時は靴下を脱ぎ捨てて「はぁ~、ミゾミゾしてきたぁ~」とみすず用語も登場。クセが強いキャラです。



 愉高は軽井沢の美容室に勤務していますが、35歳にしてアシスタントでアルバイトの身。言動は理屈っぽいかチャラいかのどっちかで、どうやら面倒くさい男のようです。“唐揚げにレモンをかけるかけない論争”や「ノーパン」発言ですずめと小競り合いをしていますが、眠り込んだすずめを部屋に運んで寝かせた時は彼女のおでこをそぉっと撫でていました。愉高は何かしらの事情を抱えているのでしょう。怪しげな男(Mummy-D)から逃げている様子です。

 愉高とは対照的に、「ふくろうドーナツ」勤務の会社員である司は育ちがよさそうな真面目系。祖父が著名な音楽家であり、別荘を練習場所として提供した司は4人のまとめ役的存在で、真紀を何かと気遣っている様子が見られました。4人で撮影した画像をパソコンで見る時は真紀だけをズームアップ。もしかして以前から彼女のことを知っていた……? その一方で平日は会社の同僚(菊池亜希子)とも仲良さげです。

 主要登場人物の紹介が終わったところで、ストーリーを進めましょう。軽井沢にあるライブレストラン「ノクターン」では、“余命9ヶ月のピアニスト”ことベンジャミン瀧田(イッセー尾形)が定期的に演奏しているのですが、“余命9ヶ月”って言いはじめてからもう1年過ぎていて、お店側も困惑気味です。真紀によると、ベンジャミンは数年前から名前を変えて全国のあちこちで“余命9ヶ月”と宣伝して演奏しているらしいですが、「嘘ついて舞台に立って客を取るなんてあり得ない! 音楽やっている人間として絶対許せないし!」とブチ切れる者は4人の中に1人もいませんでした。愉高や司なんて「ご病気じゃしょうがない」と寛容なことを言います。自分の演奏を聴きに来てくれた4人をベンジャミンは歓迎し上機嫌、酔っぱらったまま彼らを自宅に招き入れますが、粗末で散らかったアパートの一室からは、好きなことで成功した人間の暮らしとは程遠い暮らしぶりが窺えます。4人は眠ったベンジャミンに布団をかけ、シンクに溜まった食器を洗ってやりました。

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