囚人のジレンマ、トロッコ問題……答えの出ない思考実験は社会にどう影響しているのか?

進路のミカタ / 2018年6月6日 12時3分

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通学の電車やバスで並んでいる時、並ばず横から入れば座れるのに……。そんなことを思ったことはありませんか? でも実際にそうすればめちゃくちゃになってしまうと分かっているので、皆さんはやらないと思います。このように日常生活で感じるさまざまなジレンマ。実はこれに関係する思考実験があることを知っていますか?

■思考実験の代表格「囚人のジレンマ」とは?

高校生の皆さんも生活している上でジレンマを抱えることがあるのではないでしょうか?
行列に横入りする例のように自分の損得感情と社会的影響を考え、葛藤する状態を「社会的ジレンマ」といいます。まずは社会的ジレンマの代表例である「囚人のジレンマ」について紹介します。

囚人のジレンマは、1950年に数学者アルバート・タッカーによって考案されました。その内容は、共犯関係にある2人の容疑者が証拠不十分のまま逮捕されるところから始まります。検事は自白を促すために、2人を別の部屋に連れて行き、司法取引を持ち掛けます。

・本来はそれぞれ懲役5年だが、2人とも黙秘をしたら証拠不十分で減刑となり、2人とも懲役2年になる。
・片方が自白をしたら、自白したものはその場で釈放。自白しなかった者が懲役10年になる。
・2人とも自白したら、判決どおり懲役5年になる。

黙秘を貫けば刑が軽くなりますが、自分だけ自白をしたら釈放です。しかし相手が自白しているかどうかは確認できません。ここでどれを選べば最も利益を得られるのか、というジレンマが発生するのです。

先ほどの文化祭の例だけでなく、日常生活でこのような社会的ジレンマは多く存在します。街にゴミが落ちていない状況もこの一つといえます。飲み終わったペットボトルを道端に捨ててしまえば、荷物が減り良いという考えがあるかもしれません。しかしみんなが同じように捨てていくとゴミが溢れかえってしまうので、ポイ捨てをしない人が多いのではないでしょうか。

■「トロッコ問題」も有名な思考実験の一つ

社会的ジレンマと同様に有名な思考実験の一つに「道徳的ジレンマ」があります。道徳的ジレンマとは、どちらを選択しても良くないことが起こってしまうような状況の中で起こる葛藤のことを指します。具体例として、「トロッコ問題」があげられます。これはどのようなものかというと、

・ブレーキの効かない暴走したトロッコが走ってきて、その先には5人の作業員がいる。そのまま進むと5人の作業員は間違いなく犠牲になる。
・たまたま線路の分岐点に1人作業員がいた。トロッコの進路を変更すれば5人は助かるが、変更した先には1人の作業員がいる。5人を助けるために1人を犠牲にするべきかどうか。

この問題の本質は、ある人を救うために誰かを犠牲にしても良いのか、という点です。そんな問題に誰もが納得する明確な答えを出せる人はいません。人の命を推し計り結論を出すということは非常に難しいことであるがゆえに「トロッコ問題」は何十年も議論が交わされるのです。

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