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野木亜紀子氏、1年かけて「端島」取材 塚原あゆ子監督は新たなCG撮影に挑む「新しい撮影手法の先駆けになるのでは」【「海に眠るダイヤモンド」インタビュー】

モデルプレス / 2024年10月23日 12時0分

― 日本初の鉄筋コンクリート造りの集合住宅があった端島。建物などの印象はいかがでしたか?

野木:今では本当にボロボロになっていますが、コンクリートの塊がしっかり残っていて、そのビジュアルのインパクトがすごかったです。ただ、ドラマとして当時の端島の風景を再現するには、日本中から似ている場所を探して合成する必要があるわけで…塚原さんが「そもそも似ているところがない!」と苦心しています。

塚原:そうなんです。今まで多くの作品でロケ地を探してきましたが、今回は特に頭を悩ませています。広さでいえば、新宿駅ほどの面積にさまざまな施設が凝縮され、約5000人もの人が集まって暮らしていた端島。そんな特殊な場所は現代には存在しないので、どこで撮影するにしても何かを付け足さないと成立しないんです。

◆塚原あゆ子監督、新たなCG撮影に挑戦

― 映像化のハードルがかなり高い作品ですね。

野木:いつもどんなに難しいシーンを描いてもなんとかしてくれる心強いチームなのですが、今回ばかりは本当に難航しているようで。柱書き(台本上で、シーンの場所や時間を指定する箇所)1つひとつに「これは無理だな…」と、無理だらけになったのは初めてのことでした(笑)。

塚原:劇中では島のてっぺんに神社がある設定なのですが、そこでの撮影が1番難しい。同じように島のてっぺんに神社のセットを建てても、背景に映る端島の住居はCGで足さないといけません。さらに、1950年代の“緑がない端島”を再現しなくてはいけないのですが、今の日本に緑のない孤島なんて存在しません(笑)。そんな無理難題を日々どうにか乗り越えています。

― 撮影では実際にどのような工夫をされているのでしょうか?

塚原:現在の端島では廃墟の撮影しかできないので、本作ではCG技術を駆使して再現しています。空撮の画角で端島を再現するときには、セットの一部を映像として貼り付けるようなかたち。島を15個ほどのピースに分けて、「レゴブロック」のようなイメージで円形の島にはめ込んで、それと現代の端島をドローン撮影して全景として見せています。

野木:実景で島のシーンを撮る際も、島そのものを探すのではなく、港や通りなど、パーツごとに必要な部分を探して組み合わせていると聞いて…これは本当に大変なことを始めてしまったなと。

塚原:今回の撮影現場での勝負は、CGを使いながら、いかにリーズナブル&スピーディーに進行できるか。通常は主体をグリーンバックで撮影して、後からCGを合成する手法を使いますが、それには時間も予算もたくさんかかる。連続ドラマの10本の制作スピードには到底間に合いません。なので、今回は現存の端島の寸尺に合わせてCGを先に作って、現場でその角度に合わせて撮影するという方法に挑戦。時間と予算の制約によって、これまで連続ドラマでCGを使ったダイナミックな映像制作を行うのは難しかったのですが、このやり方が上手くいけば、今後の新しい撮影手法の先駆けになるのでは…という淡い期待を込めています。ある意味新たなチャレンジ企画でもあるので、温かく見守っていただけたらうれしいです。とにかく野木さんが次々といろいろと書いてくるから大変で…(笑)。

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