日本人の約80%がWHO基準超えの大気汚染に 長期的な曝露は寿命にも影響
もぐもぐニュース / 2024年9月20日 10時7分
日本では一般的に、大気汚染といえば中国やインドといった国々が想起されることが多いかもしれません。しかし、実際には日本も大気汚染の問題から無縁ではありません。特に都市部では、自動車の排気ガスや産業活動の影響が大きく、大気質に課題が残っています。OECDが2020年に発表したレポート「How’s Life? 2020」によると、日本の人口の約80.6%が世界保健機関(WHO)の基準を超える大気汚染にさらされていることが指摘されています。これはOECD加盟国平均の62.8%を大幅に上回る数値であり、先進国である日本にとって見逃せない問題です。
都市部での大気汚染の深刻さ
特に都市部では大気汚染が深刻です。自動車の排気ガスや工業地帯からの排出物が主要な原因となり、微小粒子状物質(PM2.5)などが高濃度で含まれることがあります。PM2.5は健康に深刻な影響を及ぼすとされ、特に呼吸器系疾患や心血管疾患のリスクを高める要因となります。また、長期的な曝露は寿命の短縮にもつながる可能性があるため、日本でもこの問題に対する対応が急務です。
OECDのレポートでは、日本が大気汚染にさらされる人の割合が非常に高いことが示されています。具体的には、WHOが定めた基準を超える大気汚染に人口の80.6%が影響を受けており、これはOECD平均(62.8%)を大きく上回っています。特に工業地帯や大都市での大気汚染は顕著であり、これが国民の健康や生活の質に悪影響を及ぼしていることが強調されています。
最新の大気汚染度ランキングでも警鐘
このような状況は、OECDのレポートに限らず、最新の調査データでも裏付けられています。スイスの空気清浄器メーカー「IQエアー」が発表した2023年の「世界大気汚染度ランキング」によると、日本は世界134か国・地域の中で96位にランクインしています。前年よりも順位を1つ上げ、大気汚染の状況は悪化しています。特に大気中の微小粒子状物質「PM2.5」の濃度がWHOの基準値を超えており、基準を満たしているのは世界でわずか10か国に過ぎません。
日本の年間平均PM2.5濃度は、1立方メートルあたり9.6マイクログラムで、WHOの基準値である5マイクログラムを大幅に上回っています。この結果からも、日本は大気汚染問題に真剣に向き合う必要があることがわかります。特に都市部での対策が求められていますが、まだ十分な改善がなされているとは言えません。
日本の相対的な清浄度
とはいえ、相対的に見れば日本は他のアジア諸国に比べると、まだ大気の清浄度が高い国であるとも言えます。同じ「IQエアー」のランキングで、日本は汚染濃度の低さでは世界39位にランクインし、アジアでは前年の2位から1位に浮上しました。これは日本が比較的厳しい環境基準を設けており、一定の対策が功を奏していることを示していますが、それでも依然として改善の余地があることは否定できません。
大気汚染への対策と今後の課題
日本政府や地方自治体は、大気汚染問題に対応するためにいくつかの施策を講じています。自動車の排気ガス規制の強化、クリーンエネルギーの普及促進、さらには産業からの排出物削減などが進められています。しかしながら、都市部の大気質改善にはさらなる努力が必要です。特に電気自動車の普及を加速させたり、再生可能エネルギーの使用を増やすといった具体的な政策が重要です。
また、個人レベルでも大気汚染対策を意識した行動が求められます。外出時にはマスクを着用したり、室内での空気清浄機の使用、さらには自動車利用の控えや公共交通機関の活用など、小さな取り組みが健康を守るために役立ちます。
OECDのレポートや2023年の大気汚染度ランキングからも明らかなように、日本は他のアジア諸国に比べて相対的に大気が清浄であるものの、依然としてWHOの基準を満たしていない地域が多く存在しています。特に都市部では大気汚染の改善が急務であり、政府、企業、そして個人が一丸となって環境対策に取り組む必要があります。日本が誇る技術力を活用し、よりクリーンで健康的な空気環境を目指していくことが今後の重要な課題です。
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