住宅ローン返済中の中古マンション、なかなか売却できません

MONEYPLUS / 2019年4月1日 18時30分

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住宅ローン返済中の中古マンション、なかなか売却できません

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回は、中古マンションがなかなか売却できないという45歳男性からの相談です。ローン返済は月5.8万円ですが、管理費等が月4万円を超えるため、住居費が家計を圧迫。現在、住宅ローン残高と同額で売りに出していますが、このまま売れるのを待っていた方がいいのか、それとも売値を下げて売却を急いだ方がいいのか、悩んでいるといいます。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

4年前に購入した中古マンションを、住宅ローン残高と同額の1,570万円で売りに出していますが、管理費と修繕積立金で4万円を越えるためか、なかなか売却できません。売値を下げて売却を急いだ方が良いのか、現在のままで、できるだけ持ち出しせずに売れるのを待っていた方がいいのか悩んでいます。


もともとは二人で居住する予定でしたが、予定が変わり一人で住んでいます。毎月の住宅ローン返済は5.8万円くらいですので、管理費等と合わせると毎月10万円の支出です。返済は75歳まで続きます。マンション自体は、駅から徒歩10分、3LDK(64平米)で気に入っていますし、現在婚活をしているので再婚の可能性もゼロではありません。


売却を急いでいるのは、現在、契約社員(4月からは無期雇用)で働いているためです。正職員の登用試験が年1回ありますが、なかなか難しい状況です。この先も正職員になれずに契約社員のままなら、事情があって毎月帰省していることもあり、地元に帰ろうかとも考えています。そうなれば、マンションの売値を下げて早期に売却するしかないと思っています。かといって、地元に戻ってもやりたい仕事もありません。雇用形態を除けば、仕事には満足しています。難しい状況ですが、アドバイスよろしくお願いいたします。(※現在の職場には65歳まで勤務可能)


<相談者プロフィール>
・男性、45歳、バツイチ、子供1人(別居)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(マンション)
・手取りの世帯月収:18~22万円
・手取りの年間ボーナス:45万円
・貯金:220万円
・負債(住宅ローン):1,570万円


<支出の内訳(18.2万円)>
・住居費:10万円
・生命保険:1万円
・通信費:1.5万円
・婚活費:1.2万円
・食費:2.5万円
・交際費:1万円
・養育費:1万円


渡邊: ファイナンシャルプランナーの渡邊です。ご相談ありがとうございます。今回のご相談は、現在お住まいのマンションの売却についてですが、住宅ローンが残っている不動産の売却については注意点がありますので、整理してみていきましょう。

住宅ローンを完済しなければ売却はできない

通常、住宅ローンを組む際は、抵当権というものを設定します。抵当権とは、金融機関で住宅ローンを組む際に対象不動産へ設定する担保のことです。金融機関は、この不動産への担保を条件にお金を貸してくれます。分かりやすくいうと、もし住宅ローンが支払えなくなると、その対象不動産を金融機関に取り上げられてしまうということです。

この抵当権を外さなければ、お住まい中のマンションを売却することはできません。抵当権を外すためには、ローンの完済が条件となりますので、住宅ローンが残っているマンションを売却したい場合、自己資金もしくは売却した金額をもとに住宅ローンを完済しないと売却できないことになります。

売却前に確認すべきポイント3つ

住宅ローンが残っているマンションを売却する際の確認ポイントです。

1. マンションの売却価格
2. 売却時の諸費用
3. 自己資金

まず、お住まいのマンションがいくらで売却できそうか、相場を知ることが重要です。インターネットなどで、同じような条件のマンションがいくらで売りに出されているかを確認したり、不動産業者に査定を依頼しましょう。今回はすでに売りに出されているようですが、現実的には住宅ローンよりも低い金額でしか売却は難しそうですね。その場合、売却金額で完済することはできないので、手元の貯金から差額分を準備する必要があります。

また、売却する際には諸費用がかかります。以下が代表的なものです。

印紙税: 1万円
(1,000万円超~5,000万円以下軽減税率適用)
登録免許税: 抵当権抹消登記2,000円、住所変更登記1,000円
司法書士への手数料: 1万円~3万円程度
仲介手数料: 3.24%+6万4,800円(上限)

特に仲介手数料については大きな金額となりますので注意が必要です。今回のご相談者さんの希望金額の1,570万円で売却できたとすると、57万3,480円となります。ローンを組んだ金融機関によっては、繰り上げ返済に手数料がかかる場合もあります。すなわち、仮に住宅ローンの残債と同額で売却できたとしても、約60万円近くを手元の自己資金から拠出しなければなりません。

ローンの残ったマンションを売却する場合の目安としては、以下の通りになります。

マンション売却価格+手元資金 > 住宅ローン残債+売却時諸費用

住宅ローンの借り換えも視野に入れて

今回のご相談の場合、マンションの売却価格がローンの残高を下回る可能性が高いようなので、手元資金がそこまで潤沢でない段階での売却は非現実的かと思われます。売却できない前提で考えた場合、現在の住居費の割合は確かに負担となっていますので、住宅ローンの借り換えも検討してみてください。

返済金額と期間から逆算すると、返済中のローンは金利2%程度での借り入れかと思われます。現在(2019年3月現在)、変動金利だと金利0.4%台の住宅ローンが多くあります。借り換えには、その時の雇用形態や勤続年数、収入など色々と条件はありますが、仮に0.6%で借り換えできたとすると、借り換え諸費用約50万円をローンに組み込んだ場合でも月々の返済が約4.9万円、諸費用を自己資金から拠出した場合だと、月々約4.7万円となり、1万円近く返済額を下げることが可能です。

変動金利ですので、将来の金利上昇リスクを考慮する必要はありますが、諸費用を考慮しても約320万円の利息軽減効果も見込めます。

売却を急がず、このまま保有するのもひとつの手

ライフプランを考える際に、将来の不確定要素が多い場合は、選択肢を多く持つことが重要です。収入や家族構成など、様々な状況の変化に対応する必要があるためです。相談者の場合、現段階でのマンションの売却は難しいことを考えると、今はそのまま住み続けるか、賃貸に出すという選択肢となります。お住まいのエリアなどにもよりますので、マンションを貸した場合の家賃の相場も調べてみましょう。

現在婚活もされており、将来的に家族が増える可能性もあることを考えると、確かに費用的な負担はありますが、今のマンションを保有しておくのも必要かもしれません。ご事情もあり地元に帰ることも考えているようですが、お仕事が決まっておらず住む場所や今後の生活についても明確でないなかで、今のお仕事を辞めてしまうのもリスクとなります。

現在のお仕事には満足されているようですので、今はお仕事に集中し、将来的なマンションの売却も視野に入れながら、将来の結婚やリタイア後の生活に向けて、生活を組み立て、計画的に貯蓄をしていきましょう。コツコツとやっていくことが、将来の選択肢の広がりに繋がります。より具体的に考え最適な選択をするためには、ライフプランシミュレーションの作成をおすすめします。売却したケース、保有したケース、保有したまま賃貸に出すケースの3種類を比較すれば、よりご納得のいく選択肢を選ぶことができます。その時間を惜しまず、しっかりと将来設計をしていきましょう。

(渡邊裕介)

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