給料が変わったときにチェックすべき給与明細5つの項目

MONEYPLUS / 2019年4月15日 11時30分

写真

給料が変わったときにチェックすべき給与明細5つの項目

給料がアップした!と喜んでいたのに、振り込まれた金額を見ると、「それほど多くなっていない」とか、「せっかく増えたと思っていたら、また減ってしまった」と感じてがっかりすることってありますよね。

給料のことは、上司や同僚には聞きにくいので、モヤモヤしながらもそのままにしている人も……。でも、モヤモヤをそのままにしておくと、働く意欲が減ってしまいかねません。大丈夫、その理由は給与明細をみればすべてわかります。

今回は、給料(給与額面)があがったのに、なぜか手取りが増えていないと思ったときにチェックするところを、給与明細表を参考にしながら解説します。


【控除】の欄をチェックしよう!

給与明細例給与明細例 筆者作成

まずは給料(給与額面)と手取りの差額に該当する「控除」の欄(図の3)からチェックしましょう。控除欄の金額はすべて手取りを減らすものです。

チェック1 社会保険料が上がっていないか(図のA)

健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険を総称して社会保険といいます。

その内、健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料は、毎年4月・5月・6月の3カ月間の支給額合計の平均額によって、9月分以降の保険料が計算しなおされます。これを「定時改定」といいます。(言葉は覚えなくても大丈夫ですが計算の仕組みは覚えておいてください)

この3ヵ月間の平均額が、固定的な給与が変動になったために以前より大きく変わった場合は、保険料の改定が9月分からではなく、2ヵ月前倒しになって7月分から変更になります。これを「随時改定」といいます。

随時改定は4月・5月・6月という時期に関係なく、固定的な給与が変動になった場合に対象となります。例えば1月から固定給の変動により支給額合計が大きくアップした人は、5月の給料(会社によっては4月の給料)から社会保険料が上がることになります。

固定的な給与とは、基本給や通勤費、役職手当など毎月金額の変動のないものをいいます。

雇用保険料は基本的には毎月給料支給の都度、支給額合計によって計算されているので、支給額合計があがれば雇用保険料はあがります。こちらの計算にも通勤費も含むので、通勤費が増えた場合でも雇用保険料が増えることになります。

チェック2 所得税 扶養の変更はないか(図のB)

所得税は毎月概算として自動的に計算されています。所得税は総支給額から、非課税通勤費など課税されない手当と、社会保険料を引いたあとの金額を、扶養している親族の数によって定められている「給与所得者の源泉徴収税額表」にあてはめた額が給料から引かれます。

先ほどの給与明細から計算すると、

支給額合計385,302円-非課税通勤費4,500円-社会保険料57,966円=322,836円
が課税の対象となって、扶養している親族がいない場合は所得税10,140円となります。

そのため、扶養していた子どもが就職した、扶養していた配偶者や親族を扶養しなくなったなど、扶養人数が減れば所得税はアップします。反対に、扶養している子供が16歳になると、それまでは所得税法上の扶養親族でなかったものが扶養親族となるので、高校進学した子どもがいると所得税はさがります。

参照:「給与所得者の源泉徴収税額表」国税庁ホームページ

毎月の所得税はあくまでも概算で引かれています。それを12月に「年末調整」することによって正しい所得税が計算されて、12月(会社によっては翌年1月)の給料で精算されることになります。

次にチェックすべきは?

チェック3 住民税 昨年のふるさと納税が反映しているかチェック(図のC)

前年の所得から市町村が住民税の額を計算して、翌年5月ごろに金額の通知がきます。それを6月~翌年5月の1年間に12分割で支払うことになっています。つまり住民税は後払いということです。住民税額の通知書が勤務先に来て、それをもとに給与から天引きされることになります。

住民税の通知書でチェックしたいのは、所得や所得控除の欄に加えて、税額欄の中の「税額控除額」の欄です。前年にふるさと納税をして、ワンストップ特例制度の利用、または確定申告をした方なら、必ず「税額控除額」の欄に数字が入っています。

もし、寄附の上限を計算してふるさと納税をしたのに、控除額が合わない場合は、手続き漏れや手続き忘れも考えられます。万が一忘れていても、5年以内であればさかのぼって確定申告(還付申告)できるので、必ず確認しましょう。

この住民税通知書は源泉徴収票と同じぐらい大事なものです。直近の源泉徴収票と一緒に大切に保管しておいてください。

決定・変更通知書(市町村によってフォーマットは異なります)
出典:「給与所得等に係る特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」総務省ホームページ

【支給】の欄をチェックしよう!

次に確認するのは「支給」の欄です(図の2)。支給欄の数字は手取りにプラスになるものです。

チェック4 企業型確定拠出年金選択制が導入されている場合(図のア)

勤務先が「企業型確定拠出年金」制度を導入していて、さらに「選択制」である場合に考えられるケースです。企業型確定拠出年金とは、退職金制度の一環として、毎月決まった掛金を企業が拠出し、そのお金を従業員が自身で運用しながら老後資金を積み立てていく制度です。

選択制は掛金を手当として毎月受け取るか、確定拠出年金として受け取るか、どちらにするかは従業員が決めることになっています。もし手当として受け取る場合は、図のようなライフプラン手当(会社によって手当の名称は異なります)が支給されますが、確定拠出年金を選択した場合はその手当はなくなります(または減額となることもあります)。

いままで確定拠出年金をしていなかったけれども、今年度から始めることにしたときは、その掛金分だけ手当が減るまたはなくなることになります。

チェック5 残業時間や休日出勤時間の変化(図のイ)

ポピュラーではありますが、一番手取り額の上下に影響を与えやすいのは、残業時間や休日出勤時間の変動です。例えば、3月に所定時間外の労働が多かったけれど、4月以降少なくなったときは、4月に基本給があがったとしても手取り額が変わらない、もしかしたら減ってしまうこともあります。

このように残業や休日の労働に対する手当は、当てにならないお金です。このような手当については生活費の基盤と考えず、貯蓄などに回せる余裕資金として家計を考えるのが賢い家計運営の第一歩です。


大切なことは、「給与明細に興味を持つ」ことです。

手取り額が「なんか増えたなあ」「なんか減ったなあ」ではなく、毎月、ひとつひとつの項目の数字が前の月と比べて変更がないかチェックをするのが大切です。変更があった場合は、会社の規定が変わっていないか、社会保険料率などの変更はないか、個人の状況が変わっていないかを考え、それでもわからない場合は遠慮せずに人事担当者に聞いてみましょう。

自分の大事な「時間」「身体」「精神」を費やしている対価が給料です。その内容に納得ができなければ、働く意欲も失われてしまいます。チェックをすることで、社会保険や税金の制度への理解も深まるので、これを機に、給与明細チェックの「通」になってもらえればと思います。

(小野みゆき)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング