お金を「減らさない」ことも重要である

MONEYPLUS / 2019年4月17日 7時0分

写真

お金を「減らさない」ことも重要である

連載「お金の育て方」では、タイトルの通り、これから資産運用を始めようと思っている人や、既に始めてみたけど何を学べばいいかわからない初心者に向けて記事を書いています。これまでは主に資産運用を開始するにあたって、知っておいた方がいいことや、心掛けた方がいいことを解説してきましたが、今回は少し別の視点から「お金を減らさない」について考えてみましょう。

資産運用はしたいけど、投資は自分にはハードルが高い、危ない気がするという人にも、身近に潜む話なので、すんなりと理解しやすいと思います。


お金を育てる3つの方法

お金を育てる方法は主に3つあります。「増やす」、「貯める」、「減らさない」の3つです。これまでの記事では1つ目の「増やす」に焦点を当ててきました。投資をして増やすだけではなく、転職して今よりも高い収入を得たり、副業をして収入減を増やしたりすることも可能です。2つ目の「貯める」は言葉の意味そのままで、主に収入の一部を銀行口座に貯めることを指しています。

今回のテーマは3つ目の「減らさない」ことです。そのためには何をすればいいでしょうか。「無駄な出費をしない」、「節約する」といったことが頭に浮かんだかもしれません。それはもちろん正解なのですが、もう1つは「騙されない」ということです。

具体的には詐欺には引っかからないようにすること。自分は詐欺には引っかからないから大丈夫と思った方は要注意です。行動経済学のなかで「正常性バイアス」や「楽観バイアス」などの人間の心理現象を表す言葉があるように、多くの人が自分は大丈夫と無意識のうちに思い込んでいます。昨今は詐欺も組織化され、マニュアルが作りこまれています。詐欺に対しての認識が甘いと、気付くと騙されていたということになりかねません。実際に、日本での詐欺被害の状況を見てみましょう。

詐欺被害が深刻な日本

詐欺といっても様々な種類がありますが、ここでは「特殊詐欺」についてみてみましょう。特殊詐欺とは、「面識のない不特定の者に対し、電話などを用いて、預貯金口座への振込みその他の方法により、現金等をだまし取る詐欺」を指します。俗に言う「オレオレ詐欺」などが該当します。

警察庁が発表した「平成30年における特殊詐欺認知・検挙状況等について」によると、認知件数は平成22年以降、平成29年まで7年連続で増加していましたが、平成30年は前年から9.4%減少し、1万6,493件となりました。被害総額も前年比で9.6%減少し、356.8億円となりました。こちらは4年連続で減少となっています。前年比では認知件数も被害総額も減少していますが、依然として恐ろしいほど特殊詐欺の被害が大きいことが分かると思います。

電話で嘘の話をして振り込ませるオレオレ詐欺以外にも、スマホでアプリを使ったり、ウェブサイトを閲覧している時に「バナーをタップすると数百万円もらえます」などの広告をクリックさせ、そこからお金を振り込ませたり、詐欺の手法も年々進化しています。通常の感覚であれば、あり得ないとわかるような詐欺が多いため、警察に届け出るのが恥ずかしく、実際には泣き寝入りしている件数も相当あると思われ、実際の被害総額は400億円を超えるかもしれません。

この世においしい話はない

詐欺に引っかからないための方法はいろいろあると思いますが、まず「この世においしい話はない」ということを念頭に置いた方がよいでしょう。これまでの連載でも書いてきましたが、将来を正確に予測できる人はいません。それはつまり、将来のことに対して「絶対に」や「必ず」といった言葉を使う人は怪しいということです。

また、ある程度、数字が出てきたら自分で計算して、その数字が現実的なものかどうかを計算してみましょう。最近ニュースになっていた詐欺事件では、「月3%の配当を約束」していたそうですが、まず前述の通り、将来の配当を約束している時点で怪しいわけです。

さらに、月3%の運用がいかに非常識な数字かを考えましょう。3%という数字自体が大きくないので、そのまま素通りしてしまう人もいるかもしれませんが、1万円を毎月3%で複利運用すると、2年後には2万328円になります。つまり、月利3%というのはたった2年で元本を倍に出来る程の利回りということになります。本当にそんなことができるのであれば、ちまちまと個人をだますことなどしなくても、世界中の富裕層から資産運用を依頼されるでしょう。

この世においしい話が絶対にないかと言われれば、正確には多少はあるのかもしれません。しかし、得てして、おいしい話は情報の非対称性によって引き起こされます。ネット社会の今、おいしい話はスグに共有されてしまい、瞬く間においしくなくなってしまいます。そう考えると、やはりおいしい話はないと思っておいた方がいいのです。

平日のカフェに行ってみると…

減ったといえども昨年も1万6,000件以上も特殊詐欺が認知されています。それでも自分は経験したことがないから、そこまで注意する必要はないと思う人はいるかもしれません。そういう人は平日にカフェに行ってみるといいでしょう。

筆者はミーティングの合間にカフェで原稿を書くことが多いのですが、平日のカフェにはさまざまな人がいます。その中でも、かなりの確率で何かしらの勧誘や営業をしている人達と隣の席になることが多いのです。特に盗み聞きをしているのではないですが、たまに耳に入ってくる会話内容が、まさに前述のように「絶対に」とか「必ず」といった言葉を使い、利回りや儲かることを保証しています。

世の中を生きていく上で、お金はとても重要なものです。手軽に増やしたい気持ちもわかりますが、必ずリターンとリスクは共存しています。異様に高いリターンを示されたら、つい気持ちが浮ついてしまうかもしれませんが、同時に高いリスクを取ることになると心にとめておいてください。また、投資であれば、このようにハイリスク・ハイリターンになりますが、そもそも詐欺の場合はハイリスク・ノーリターンの場合がほとんどです。やけにおいしい話が舞い込んできたら、スグには受け付けず、一度周りの家族や友人に相談してみるのがいいでしょう。

(森永康平)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング