歳をとると賃貸住宅が借りられないって本当?不安から購入を検討

MONEYPLUS / 2019年6月3日 18時30分

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歳をとると賃貸住宅が借りられないって本当?不安から購入を検討

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、歳をとると賃貸住宅が借りられなくなるというニュースを見て、住宅購入を考えている32歳の未婚女性。とはいえ、転職も検討しているため、このタイミングではなかなか決断ができないといいます。FPの三澤恭子氏がお答えします。

現在シングルで、結婚の予定はありません。家を買うべきか迷っています。就職してからあまりお金のかかる趣味はなく、新卒時代から生活レベルをなるべく変えずにいたら、収入が上がるにつれて貯金ができるようになってきました。ただ、ベンチャー企業に就職したため、退職金などの福利厚生が手薄いことに危機感を覚えています。家を買いたいというのも、最近、歳をとると賃貸で部屋を貸してもらえないというニュースを見たからです。それまでは、賃貸に住み続けるつもりでしたが、急に不安を覚えるようになってきました。このタイミングで家を買いたいと思う一方、仕事面においては大手ベンチャーから小さなベンチャーに移ってキャリア形成したいと考えております。今後の仕事が不安定な場合、貯蓄はあっても家の購入などはあきらめたほうがいいでしょうか。


〈相談者プロフィール〉
・女性、32歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸(一人暮らし)
・毎月の世帯の手取り金額:47万円
・年間の世帯の手取りボーナス額:40万円
・毎月の世帯の支出目安:30万円


<支出の内訳>
・住居費:8.2万円
・食費:4万円
・水道光熱費:1.2万円
・教育費:0.5万円
・保険料:なし
・通信費:1万円
・車両費:なし
・お小遣い:5万円
・その他:10万円


<資産状況>
・毎月の貯蓄額:17万円
・現在の貯蓄総額:710万円
・現在の投資総額:440万円
・現在の負債総額:なし


三澤: ご相談ありがとうございます。ファイナンシャルプランナーの三澤恭子です。家の購入を迷われていらっしゃるのですね。ベンチャー企業でバリバリとお仕事され、キャリア形成の転職も思案中とのこと。

相談者様は将来にどんなビジョンを描いているのでしょうか。なぜ、このタイミングで家を購入するのか、1つ1つ整理していきましょう。

漠然とした不安から住宅購入を決断するのはNG

内閣府の高齢社会白書(平成30年版)によると、2050年には約3人に1人が65歳以上の高齢者になるとされています。おそらく相談者様が60代を迎える頃には日本中、元気なお年寄りでいっぱいになっていることでしょう。

そんな30年後も今と同じように「賃貸住宅がり借りにくい」といった風潮があるのでしょうか。

この高齢社会白書では、“高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現”を目標として掲げ、高齢者が安全に安心して生涯を送ることができるための住宅の改善・供給をはかるとして、以下の政策を明記しています。

<高齢者の居住の安定確保についての支援>
・良質な高齢者向け住まいの供給
・高齢者のニーズに対応した公共賃貸住宅の供給
・高齢者の民間賃貸住宅への入居の円滑化など

また、2017年10月から民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度である「住宅確保要配慮者(高齢者、障害者、子育て世代など)の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度」がスタートしており、全国の登録物件は、セーフティネット住宅情報提供システムから検索することができます。

歳をとったら賃貸住宅が借りられないということがないよう、すでに国も動きだしています。相談者様が高齢者となる数十年先には日本の賃貸事情は大きく様変わりしていることでしょう。漠然とした不安だけで家の購入を決めるのではなく、国の政策を知った上で考えたらいいと思います。

住宅購入資金には貯蓄からいくら回せばいい?

ご相談内容にある「貯蓄があっても家の購入はあきらめたほうがいいのか」という点について検討してみましょう。

まず、家の購入予算額はいくらでしょうか。キャリア形成の転職も考えられており、収入面のダウンもあり得るとなれば、貯蓄すべてを住宅購入費に充てることはできません。緊急予備資金として生活費の3~6ヵ月分、できれば1年分は手元に残しておきたいところです。

そう考えると、相談者様が頭金として出せるのは貯蓄総額710万円のうち600万円ほど。そのうち100万円は購入資金にあてず、すぐに使えるお金として残しておきます。投資総額440万円は、いざという時は現金化する必要がありますが、今は老後資金として運用を継続しておきましょう。

それでは頭金を500万円として、現在の住居費8.2万円をもとに予算額を考えてみましょう。

<前提条件>
・頭金:500万円 
・マンション(月2万円の管理費等をプラスして返済する)、または一戸建てを購入する

図表1

例えば、返済期間を32~65歳までの33年間とした場合、借入額を2000万円(マンション)または2650万円(戸建て)にすると、月々の返済額が現在の住居費に近くなります。ここに頭金500万円をプラスした、2500万円または3150万円を購入予算額として考えることができます。もし、月々の返済額を今より抑えたいなら、借入額を1500万円または2150万円にして、頭金500万円プラスした2000万円または2650万円を購入予算額とすることもできます。

相談者様がどちらの地域にお住まいかはわかりませんが、立地、間取り、築年数(新築か中古か)など条件によって物件価格も異なってきますので、予算額を決める際の参考にしてみて下さい。

また、仕事が不安定となるのであれば、病気やケガで長期的に働けず収入が減ってしまうリスクをカバーしておくことも大切です。会社の福利厚生が手薄いことを危惧して、貯めておいた老後資金を減らさないためにも、リスクヘッジは必要と感じます。住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(団信)はもちろん、民間保険で就業不能保障や三大疾病保障付などの保険加入を検討されたらいいと思います。

まずはキャリアプランを明確にした上でマイホーム購入を考える

「歳をとると賃貸で部屋を借りられない」といった不安は払拭されたでしょうか。

そもそも相談者様はベンチャー企業に就職された段階で、ご自身のキャリアプランをお持ちになっていたのではないですか。まずは、キャリア形成を実現させること。そして、マイホームを購入するという順番でも遅くない気がします。貯蓄を積み上げ、リタイア時に購入という手もありますよ。

求めるキャリアを達成するために再度転職、あるいは海外勤務ということもあるかもしれません。家を手放すことになってしまったら本末転倒です。

結婚や家族構成の変化など、将来のご自身の姿をイメージし、どういう人生を送りたいのか、どう成長していきたいのか具体的に考えてみてください。今どうすべきか自ずと答えがでてくるはずです。30年後の漠然とした不安に惑わされることなく、まずは足元を固めてみてはいかがでしょう。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

(三澤恭子)

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