私立中学、子どもに行かせたいのは「男女別学」それとも「共学」?

MONEYPLUS / 2019年6月13日 18時0分

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私立中学、子どもに行かせたいのは「男女別学」それとも「共学」?

中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。

初夏が近づくにつれ、今年も私立中学における学校説明会が増えてきました。

子どもに向いている学校は、「男女別学か、それとも共学か」と悩むご家庭も多いと思います。親の考えと子どもの考えが違うケースもあることでしょう。中高の6年間を過ごす場所だからこそ、学校で過ごす友人が同性か異性かで人格形成にも大きな影響を与える可能性があります。

実際、別学と共学には、どのような環境の違いがあるのでしょうか。お二人に紐解いてもらいます。

今回の中学受験に関する数字…男子校47校、女子校93校


都内私立中学、全体の3分の1は女子校

<タカの目>(高橋真実)

首都圏には男女別学の私立中学校が数多くあります。1都3県で男子校47校、女子校は93校です。特に多いのは都内の女子校で、都内私立中学全体の3分の1に相当します。

別学に多いのは宗教校です。明治維新後、海外からキリスト教布教のために来日した外国人が開いた学校や、そうした外国人に影響を受け信者となった日本人によって開かれた学校が数多くあります。特に神奈川県の別学はキリスト教の学校が多く、女子校21校のうち15校が布教を目的としたミッション・スクール、あるいはキリスト教の教えに基づく学校です。

宗教校としては仏教系の学校もあります。仏教系の男子校は、ルーツが僧侶の養成機関だったところもあり、こうしたところは非常に長い歴史があります。

男子校の中には、戦前の陸軍・海軍士官学校の予備校だったところもあり、創立時の社会的な背景を色濃く映していると言えます。

当時の裁縫学校は女性の自立を目指した学校だった

社会的な背景という点では、女子校の変遷はその時代の価値観を反映していると言えるかもしれません。

明治初期創立の女子校は、近代国家にふさわしい女子教育の確立を目指し、教養教育を中心としていました。一方、女子校の中には、創立当時、裁縫学校だったところもあります。

裁縫というと良妻賢母教育に通じると思われるかもしれませんが、家の外で働く機会が限られていた戦前の女性にとって、裁縫は自立のための重要なスキルの1つでした。そう考えれば、裁縫学校は女性の自立を目指した学校であったとも言えます。

現在の女子校は自立した女子の育成を目指し、進学実績では男子の進学校にも引けを取らない学校や、国際的に活躍する人材を輩出している学校もあります。

心置きなくオタクになれる?

別学の環境とはどんなものなのでしょうか。

男子校の学校説明会では、校長先生が「うちにくれば心置きなくオタクになれるよ。」とおっしゃる学校があります。一方、女子校も、役割意識にしばられず、のびのびと存分に力を発揮して将来に備える環境があると校長先生方はおっしゃいます。

先日、ある女子校の学校説明会で、今年難関私大に進学した卒業生が「女子校は人間関係がほんと楽でした!」と笑顔で話していました。女子校というと、人間関係がドロドロするのではと思う方もいるようですが、どうやらそうとも言えないようです。

最近、別学校の共学校が進んでいます。ここ数年首都圏では、女子校を中心に毎年1,2校が別学から共学校へと変わっていっています。共学化の波が押し寄せている今日この頃ではありますが、ステレオタイプで別学をとらえることなく、「別学の真実」を見に行ってみてはいかがでしょうか。

埼玉と千葉には私立女子中学校が少ない

<モリの目>(森上展安)

タカの目さんにあげて頂いた男子校、女子校の校数をみると女子校は男子校の倍もあって、しかもしれが100校近くある!ということですね。いかに東京・神奈川中心に女子校が多いことか、と改めて思います。

ちなみに埼玉は浦和明の星と淑徳与野、大妻嵐山だけが女子校、千葉も国府台女子と和洋国府台、聖徳大学付属女子の3校のみです。

千葉県にはキリスト教主義教育の学校が「ない」のが特徴です。埼玉にある浦和明の星はカトリック校で、カトリック修道会が設立母体ですが、この修道会は少し都市部から離れたところに学校をつくる方針であると聞きます。

淑徳系列の淑徳与野にしても、国府台女子にしても、明治の終わりから大正にかけて創立された仏教系の学校の系列です。かくして2つの女子校はあるべくしてある宗教系の学校ばかりであることがおわかり頂けると思います。

東京、神奈川も宗教系、とりわけカトリックは男女別学が通例で、立教系列にようにイギリス国教会系でも別学です。

宗教系は共学が少ないは過去の話?

一方、プロテスタント校は青山学院のように初めから共学のようなところもありますが、それはやはり珍しいといえます。青山学院の新しく系列校になった横浜英和は共学化していますが、系列前はプロテスタントの女子校でした。

来年、共学化する小野学園改め品川翔英は和洋九段や大妻、あるいは豊島岡女子などと同じでタカの目さんがお裁縫学校としてあげているように実学の学校でした。

これまで女子校が共学校化する例はこの品川翔英にみるように非宗教系が主で、案外宗教系は共学化していません。とはいえ、鶴見大付、宝仙学園、昔にさかのぼれば淑徳など仏教系は共学化することは少なからずありました。

ところが最も別学色の強いのがカトリック校と思われていましたが、2020年から聖ヨゼフ学園が共学校化する予定です。

このように従来の流れとは違ってきている共学化を巡る対応の違いは、やはり少子化への抵抗力があるかどうか、ということでしょう。

これは教育面から言いかえればグローバル化する世界にあって、学校がどう変化対応していくか、ということですから、どの学校にとっても課題は同じです。

ただ少子化のスピードが早いため、比較的入り易い学校から受験者入学者が減少しているため、そうした学校ほど対象人口を2倍にして、学校の存続を図る共学化が急がれる事情があります。

従来、男子を受け入れるにあたっては、例えば東京都では一定のグランドの広さなど条件があったようですが、数年前にそのガイドラインはなくなったようです。つまり女子校の多くがそうであるように敷地校舎は狭くともそのまま共学校に転用できるようになったようです。

その初めての適用が八雲学園だったそうで、来年共学になる品川翔英もこれが適用されたのだろうと思います。

その意味で東京は規制緩和もされたので、少子化傾向の強まる数年先から共学化の波が強まるだろうと推測できます。

規制緩和後の東京の女子校の共学化は、近年では文化学園杉並、八雲学園などでありましたが、いずれもたくさんの女子生徒の中に男子生徒が少し混じるといった初年度の様子が、2年度目は男子が増加する、といったような「変化」が観察されます。

これは規制緩以前の共学化を担った大学付属の共学化とはやはり様子が違い、それら(早実、法政一、法政二、明大明治…)の男子校の女子受け入れのようには急速に男女半々の状況とはならないようです。

それぞれの良さを文化祭で感じてみよう

さて、女子校は女子校の、男子校は男子校の学校文化があり生徒文化があります。それにあこがれて入学できるとよいですね。共学は各々の中くらいの感じを出していますので、文化祭、体育祭などではその男女別々の出し物や、男女協調が見ものとなります。

とはいえ面白いのは別学の出し物で、女子校の演劇などは宝塚のような人気者も出たりしますし、映画で有名になったウォーターボーイズが学習院などでも文化祭での企画としてありました。

共学校は互いの目を気にする文化ですから、良い意味で注目されるのは一部にとどまり多くは目立つことを避けます。

共学校はこの壁をどううまく除くことができ、成員が共存共栄できるかについては別学校より少し工夫がされているかもしれません。

一方で、共学は何といっても異性の観察ができます。コミュニケーションのとり方も自然に覚えます。近年、家族に兄弟姉妹がいないことが多くなり、異性とは学外の塾などに限られる中高生も少なくないので、それはそれで共学校はヒューマンな付き合い方が学べる場でもあります。

今後の学校選びは別学校と共学校のどちらかを選べない可能性が高まるでしょうからそこでどう自らを生かせるかを考えることになりそうです。

(森上教育研究所)

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