1ドル106円台に接近、ドル安局面は今後も続くのか

MONEYPLUS / 2019年6月24日 6時0分

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1ドル106円台に接近、ドル安局面は今後も続くのか

注目された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた20日の外国為替市場は、ドル売り一色に染められました。

政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現行の2.25~2.50%で据え置かれたものの、米連邦準備理事会(FRB)は景気を重視する「ハト派」姿勢を強めたとの受け止めが広がり、米金利にさらなる低下圧力が掛かったことが背景です。

中東情勢の緊迫化も重なり、ドル円相場は一時1ドル107円台前半と、今年1月3日にドルが瞬間的な急落を演じた(フラッシュ・クラッシュ)時以来の円高・ドル安水準を付ける場面がありました。ドル円相場は、このまま円高・ドル安の流れが強まっていくのでしょうか。


FRBの本音は小幅な「予防的利下げ」

今回のFOMC会合は、市場が前のめりに米利下げを織り込む中で開催されました。米国の政策金利であるFF金利の先物の動きをみると、市場は年内2回、計0.50%以上の利下げを見込んでいることがわかります。

しかし、FOMC参加メンバー17人の政策金利見通しをみると、7人が今年中に2回(0.50%)の利下げを見込む一方、2020年以降にさらに政策金利を引き下げるとの予測はありませんでした。2021年には利上げ再開をにらむ姿も示されており、本格的な景気悪化を警戒しているわけではなさそうです。

ドットチャート

米景気の現況をみると、ISM製造業景況指数などの水準自体は依然として雇用意欲の減退を招くほど低くはなく、タイトな雇用情勢を映じた賃金上昇を支えに消費者マインドは高水準を維持。金利低下が刺激となり住宅投資にも回復の兆しが出てくるなど、米国の国内総生産(GDP)の7割強を占める家計部門(個人消費+住宅投資)に変調の兆しはほとんどうかがわれません。

これらを踏まえると、FRBが検討しているのはあくまでも景気減速を未然に防ぐための小幅な「予防的利下げ」で、貿易戦争で弱含んだ企業家心理などの立て直しが主な目的とみられます。今週末の米中首脳会談の結果いかんでは、市場が確実視する7月FOMC(30~31日)での利下げが見送られる可能性もゼロではないと思われます。

また、世界の主たる中央銀行が押し並べて「ハト派」的な姿勢に傾いていることから、FRBが利下げに動いても、欧州や日本などに比べた相対的な米金利の高さは維持される公算が高く、ドル売りを進めにくい地合いを形成することになりそうです。

需給要因は引き続き円高抑止力を発揮

こうした環境下、需給要因が円高抑止力を発揮する構図にさほど変化が生じていないことは、特筆すべき事象といえます。

世界的な金利低下を受けて、日本の機関投資家はますます運用難に陥っており、彼らの外貨建て資産運用ニーズに陰りはみられません。年金資金も含め、ドル売り圧力が緩和する局面では、すかさずドル手当ての動きが膨らみ、円高進行を抑える、といった具合です。

さらには、投機筋の円高方向への影響力が一段と低下し、攪乱要因になりにくくなっています。こうしたことも実需筋が動きやすい状況を醸し出しているととらえています。

投機筋ポジション

依然として相応の金利差が存在する中、金利のあるドルを売って金利の付かない円を買う動きは加速していません。一方、将来の円買い戻し圧力に直結する「円売り・ドル買い」ポジションの整理が順調に進んでおり、国内勢が安心してドル買いオーダーを入れる一因になっているもようです。

ドル選好の流れは途切れない?

米通商政策など不透明材料への警戒は今後も怠れないものの、ドル選好の流れは途切れない見通しです。

イタリア懸念を拭えないユーロやブレグジット(イギリスのEU離脱)問題の出口が見通せない英ポンドなどと比べると、実体経済の底堅さやFRBへの信認を背景としたドルへの買い安心感は揺らいでおらず、米国に国際マネーが流れやすい構図は崩れないと判断できます。

リスク回避資産の受け皿として、円はドルと並んで選好されやすい通貨との立ち位置は変わらないとみられます。とはいえ、日米金利差の縮小が伴わなければ、一段の円高・ドル安進行は回避されることになるでしょう。

<文:投資情報部 堀内敏一>

(岩井コスモ証券 執筆班)

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