老後2000万円問題…アラフィフ主婦は扶養内のままで大丈夫?

MONEYPLUS / 2019年7月11日 18時0分

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老後2000万円問題…アラフィフ主婦は扶養内のままで大丈夫?

金融庁がまとめた報告書から「老後2,000万円問題」が国会で大論争を起こしました。

2,000万円という平均値が独り歩きをしている様相ですが、実際に自分の家計ではどうなのか?これからどうすればいいのか?

気になるところではないでしょうか。


アラフィフ主婦たちは、このまま扶養で働いても大丈夫?

筆者はファイナンシャルプランナーとして個人のお金に関するご相談や講座を開催しています。先日「女性向け知って納得!扶養・税金の話」をテーマにお話をさせていただいたところ、参加者のほぼ全員が働き方について悩んでいることを改めて実感しました。

参加者は主に40代・50代のパートで働く主婦たちです。夫が会社員の場合、税金や社会保険で損をしたくないと年収を106万円あるいは130万円以内に抑えて働いている方が多いようです。

しかし本当にそれでいいのか?不安に思われてもいるのです。制度の変化に伴い考えることも増え、どうしたらいいのかわからないために現状維持という状況になっているようです。

夫が5歳以上年上、あるいは早期退職を選んだ場合は要注意

「夫の定年」あるいは「何歳まで会社員として働く予定か」を夫婦で話をされている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。ある民間調査によると夫婦の6割近くが、老後の仕事や生活について配偶者と話し合っていないと回答しています。

つまり、妻としてはあと10年間扶養で働けると思っていたとしても、夫の状況次第では扶養の制度に乗っかることはできないのです。

特に注意したいのは、夫が5歳以上年上の夫婦の場合です。会社員である夫が65歳になった時点(誕生日の前日)で老齢基礎年金の受給資格を満たすときには、妻は第3号被保険者から第1号被保険者に切り替えをする必要があります 。

たとえば、夫が8歳年上の妻のケースでは、夫が65歳になった時点で57歳の妻は第1号被保険者となります。つまり、60歳までの3年間は妻自身で国民年金保険料を納めることになります(夫が老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていないときは、65歳ではなくて資格を満たした月の翌月1日の切り替えとなります)。

また、夫が60歳で早期退職をした場合に妻は52歳で第1号被保険者になるので、60歳まで8年間の国民年金保険料を納める義務が発生します。

今後の働き方に悩まれているアラフィフ主婦は、夫の状況も意識しておかれた方がよいでしょう。たとえば、第二の人生では「脱サラして自営業になる」と夫が考えているケースもありえます。

その場合には、夫婦それぞれが第1号被保険者となり国民年金保険料を個々に納める必要があります。また、国民健康保険には扶養家族という概念がないため、保険料が高くなることも考える必要があります。

アラフィフ夫婦の場合、老後に向けて自分たちのライフプランを話し合ってみることをオススメします。お互いに思っていることをすり合わせることで、案外、今後の働き方の方向を決めることができるかもしれません。

そもそも扶養は"夫が会社員"という条件付きで成り立っているものだと改めて認識しておきましょう。

厚生年金に加入すると将来の年金はどのくらい増えるの?

パートで働き、扶養を外れて厚生年金や健康保険に加入することは損なのでしょうか?損得で考えると、これらの保険料を支払うことになるため「手取りの収入が少なくなる=損」ですよね。実際のところ、どのくらい少なくなるのか見てみましょう。

※健康保険料は介護保険料含む、東京都の協会けんぽのケースで計算

【ケース1】年収100万円のパート収入(社会保険加入なし)
所得税・住民税 0円
社会保険料 0円
手取り収入=100万円

【ケース2】年収106万円のパート収入(社会保険加入)
所得税 0円
住民税 5,000円
社会保険料 158,028円
手取り収入 89万6,972円

【ケース3】年収130万円のパート収入(社会保険加入)
所得税 3,600円
住民税 17,200円
社会保険料 197,532円
手取り収入 108万1,668円

社会保険料を納めることで手取り年収は少なくなることがわかります。せっかく働いても収入が減ってしまうのですから、損をしているという気持ちもわかります。

しかし、いっぽうで年収130万円の場合、手取りは108万円を超えるのですから、「年収100万円の手取りより多い」とあえて前向きに考えることもできます。

他にもお得なところをみてみましょう。まず、厚生年金に加入することで65歳以降の老齢厚生年金の受給額が増えます。以下は簡易に算出できる老齢厚生年金の公式です。

<例>老齢厚生年金 受給額アップの目安
・年収106万円×10年間勤務  5万8,300円/年間 → 145万7,500円 /(65歳〜90歳の受給合計) 
・年収130万円×10年間勤務  7万1,500円/年間 → 178万7,500円 /(65歳〜90歳の受給合計) 

年間での受給額は少ないと思われるかもしれませんが、90歳まで受け取った場合にはまとまった金額になります。働く時間を増やして給与が増えたり、勤続年数が長くなったりすればさらに年金額が増えていくことになるのです。

長寿化が進む中、生涯受給できる年金額が増えるのは心強いものではないでしょうか?

扶養内に固執しすぎない方が良い

他には、健康保険の被保険者になることで、傷病手当金がつきます。傷病手当金は自分がケガや病気で働けない状況で給料が支払われない場合に最長1年6ヶ月までお給料の約2/3の手当を受け取ることができる制度です。扶養家族として夫の健康保険を利用するより保障範囲が広くなるのでお得と言えます。

扶養内で働く場合や扶養を外れる場合のどちらもメリットがあり、正解は人それぞれの考え方によります。ただし、「扶養内」に固執しすぎるのはオススメできません。

今後、扶養の制度がどう変わるのかは不明なこと、また、106万円の壁ができたことで社会保険に加入するパート主婦も増えています。そのことも踏まえて、国の目指す方向も考慮しながら夫婦で話し合うことができれば老後2,000万円問題に振り回されることもないでしょう。

(三原由紀)

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