増える高校募集停止…都内難関校を志望する女子はどうなる?

MONEYPLUS / 2019年8月12日 19時0分

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増える高校募集停止…都内難関校を志望する女子はどうなる?

中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。

ここ最近、都内の公立中高一貫校、私立高校が相次いで高校からの入学者の募集停止を発表しています。特に豊島岡の高校募集停止は、難関校を目指す女子にはインパクトが強いものでした。

相次いで高校募集停止をする理由とは何なのでしょうか。また、それにより、中学受験にどのような影響があると考えられるのでしょうか。

今回の中学受験に関する数字…49/231


高校で生徒募集をしない都内私立高校は49/231校

<タカの目>(高橋真実)

前回取り上げた公立中高一貫校では、この春大きな動きがありました。東京都が、高校からの入学生も迎え入れていた、いわゆる併設型の中高一貫校を完全一貫型に変えると発表したのです。

富士高校、武蔵高校の2校が2021年度入学生から、両国高校、大泉高校が2022年度入学生から、白鴎高校についても2021年度以降に高校からの募集停止を予定しています。これが実現すれば、都立の中高一貫校は全て完全一貫型に移行することになります。

中高一貫校の高校募集停止は、私立でも進んでいます。今回のタイトルである「49/231」は都内の私立高校における高校非募集校、つまり完全中高一貫校の校数を示しています。

人気男子校の1つ成城中学・高等学校が今年から高校募集を停止したのに続き、本郷中学・高校が2021年度からの高校募集停止を発表しました。このニュースは中学入試関係者の間でかなり驚きを持って受け止められました。

高校募集のない49校中33校は女子校

高校からの非募集が多いのは女子校です。49校中33校が女子校です。つい先日、ここにも激震が走りました。豊島岡女子学園が2022年度から高校募集を停止すると発表したのです。

現在、都内の私立女子校で偏差値65以上(Vもぎを主催する進学研究会による)は慶應義塾女子高校と豊島岡女子学園の2校のみ。豊島岡女子学園が高校募集を停止すると、進学校はゼロになるというわけです。共学校を入れてもこの偏差値帯の進学校は2校のみとなります。高校入試において難関校にチャレンジする女子にとっては、難しい選択が迫られるわけです。

都内では、1990年代から私立の女子中学・高校の完全一貫化が進んでいます。我が家で娘に中学受験をさせようかどうか迷っていた10年ほど前には、多くの学校が高校募集を停止しており、先輩ママたちから「女の子は中学から私立に入れちゃう方が楽よ。高校からは選択肢が少なくなるから。」とアドバイスをいただいていました。

こうした流れは男子校や公立中高一貫校にも波及してきているのが最近のトレンドです。このように公立、私立ともに高校募集停止が進む背景とは何でしょうか。また、こうした流れは中学受験が広まる追い風となるのでしょうか。

高校募集をする中高一貫の女子校は少ないという現実

<モリの目>(森上展安)

タカの目さんの今回のトピックは注目の高校募集取り止めの中高一貫校のニュースです。世の親にとって受験は高校でするものという常識をお持ちの方と、いやいや中学でするものという考えの方と、大都市圏では二分されますが、もちろん学齢が若いとどっちにするかと悩む方もいらっしゃるわけで、この判断に影響を与えている者はかねて本欄で指摘しているように1に年収、2に住所地、3に両親の学校歴ということになります。

とはいえ、そもそも男子の話であって女子となると高校募集をする女子校(中高一貫校)自体が少ない。もっというと中学募集もしない聖心女子や田園調布雙葉のようなところもあって…という話になります。

最大の話題はもちろん豊島岡女子の高校募集が2022年から(というと今の中一生です)中止になるというトピック。そうなると現小6生やそれ以下の学年の人で豊島岡女子志望の人はもはや中学受験から入るしかない!というわけで、我田引水ですがモリの企画として10月12日に豊島岡女子にお邪魔して豊島岡女子の入試と入学後の教育について無料公開シンポジウムをします(乞うご期待)!

都内唯一の難関進学校「豊島岡」の高校募集停止はインパクト大

なぜ豊島岡女子の高校募集中止がビッグニュースなのかといえば、タカの目さんも書いている通り上位の進学校の女子高校はここが1校しかないことなのです。

もちろん共学校は筑波大附属や学芸大附属が有名ですが、女子校となると慶應女子のように付属はあっても進学校はない。しかも90名もとってくれるので安心して受験できます。そして何といっても高校受験生にとってありがたいのは豊島岡女子の学費が極めて極めてお安いこと!なのです。

高校受験は都立高や県立校受験が主流ですから安心して併願できるというわけです。仮に学芸大と併願するとしてもこちらも国立大付属ですからかかる費用は教材費、PTA代くらいです。

加えて同校の立地が池袋で、周辺県とりわけ埼玉県からの受験生の集積地(?)ですが、この埼玉も以前ほどではなくなりましたが県立トップクラスは別学校ですので、女子校への進学ニーズがもともと高いものがあり、その意味でも豊島岡女子の立地の良さと学費の安さはいわば最強の路線でもあったのです。

さてご存知のように現状の豊島岡女子は中学受験の最難関の一角を占めていますし、難関大実績においても最上位ですから、高校募集にとって最強の立地と学費は今の同校にとっては必ずしも必要不可欠ということではないのが現実です。

医学部に進学する割合も高いのをみると分かるように豊島岡女子がカテゴライズされる女子中高一貫校最上位に位置する学校群の保護者は総じてアッパーミドルです。高校受験は公立校受験が主ですが、その中核をなす中位所得層とは対象層が違っているのが現状です。学校の事情からいっても中高一貫一本で指導できる方がムダムラムリがないのは実際です。

豊島岡は学費がお得な学校から普通の学校になる?

さて、ここからはモリの目の勝手な分析ですが、豊島岡女子は90名の高校募集分を中学募集に回さないとしています。90名といえば大きな人数ですから(学校によってはそのまま一学年分のところもあります)これをあえてとらないとする判断は完全中高一貫に注力する姿勢として中学受験生から好感されるでしょう。

ただ経営的にそれでは厳しくなるはずですから、私見ですが「お安い」授業料は今後相応の価格に変わるはずだと思います。簡単にいえばごく普通の授業料になるのではないでしょうか。

これから少子化に向かい中学受験人口も次第に減少していくことは間違いないことですから間口は広げず高品質にしてそれに見合った授業料にするという姿勢は中学受験の保護者には受け入れることができる方向だと思います。

総じて中高一貫校の私立の授業料は高校だけの私立より高めで就学支援金の上限を上回っているところが多くあります。豊島岡女子が仮に小生の予想通り授業料を上げたとすると同じように支援金の上限を超えるでしょうから、この傾向は世の親に更に鮮明に意識されるだろうと思います。

それでも日本の私立学校の場合、私学助成金制度のお陰でインターナショナルスクールのように年間200万円以上かかるような事態は避けられています。昭和63年の15才人口減少期に多くの私立は併願中学を復活乃至新設しました。

今回の少子化への私学(公立一貫校も)の対応は高校募集の停止、完全中高一貫化が目にみえた変化かなという気がしています。

開成(と渋幕)は高校から入る生徒について独自に年収の低い世帯の入学生対象に卒業生による寄付金などを基に親の授業料負担がなくても入学進学できるように何年か前から奨学金支給を制度化しています。そのような試みも他方にはあることをお伝えしておきたいと思います。

(森上教育研究所)

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