年金の不安や疑問、「年金制度が崩壊」「年金が2割減る」「年金はあてにできない」は本当か

MONEYPLUS / 2019年10月23日 18時0分

写真

年金の不安や疑問、「年金制度が崩壊」「年金が2割減る」「年金はあてにできない」は本当か

「老後資金2000万円問題」で、年金だけでは、老後の生活が厳しいと言うことを再認識された方も多いと思います。また財政検証の報告では「年金が2割減る」というニュースが取り上げられていました。

このように年金については、否定的な報道がよくされています。年金のことを心配している人が多く、「はたして自分の年金がキチンと受け取れるのか?」

また、「年金なんかあてにならない」「年金に頼らない方がいい」などと思う人もいるようです。不安なのはわかりますが、本当にそうなのでしょうか?

今回はそんな疑問に答えてみたいと思います。


「年金に頼らない」で、老後生活はできるのか?

「年金は、あてにならない」「年金に頼らない」という人がいますが、それは正しい考え方なのでしょうか? まず年金に頼らないで老後生活を送ることができるのかどうかを考えてみましょう。

もし、20歳から65歳まで働いたとしたら45年間です。そこから90歳まで生きるとしたら、35年間の老後生活があります。そのとき年金に頼らないとしたら、45年間働いたお金で、35年間の生活費もまかなうということになります。それは現実的に可能でしょうか? これが可能な人は、ごく少数でしょう。

公的年金というのは、じつは総額8,000万円近い金額を受け取ることができるのです。たとえば、年金の受給額が月額20万円だとすると年間で240万円。35年間受け取ると、8,400万円です。これがあるから老後生活をなんとか暮らすことができるのです。

実際に65歳の時点までに約8,000万円を貯めるのは、かなり難しいでしょう。ということは結局、老後生活を送る上で、年金に頼らざるを得ない言うことです。

つまり「年金は当てにならない」などと言って、年金の支払いを怠ると、老後生活はとても困ったことになるのです。

年金は崩壊する?

さて「年金制度は崩壊する」という報道もありますが、本当でしょうか? もし、この年金制度が崩壊してしまうと、どういうことになるのでしょうか?
恐らく、生活保護者の数がとんでもないくらいに膨れあがります。

なぜなら、65歳以上の高齢者の人口は3,588万人で、総人口に占める割合の28.4%です(総務省統計局、2019年9月15日発表)。

4人に1人は高齢者で、収入の中心は年金です。もしその年金がなくなると生活保護者が増え、税金の負担はさらに膨大なものになります。そして年金への負担よりもはるかに大きくなってしまうのです。すると憲法25条で保障されている「すべての国民は健康で文化的な生活を営む権利を有する」というのが難しくなるでしょう。

ですから政府としても年金制度は、なんとしても崩壊させないで維持していかなければならないのです。

年金は減っていく?

2019年8月には年金の財政検証が発表され、「年金が2割減る」という報道がありましたが、これも間違いです。「受け取れる年金額が減る」という意味ではありません。また、インフレになって物価が上がって、実質の手取りが2割減ると言うのでもありません。

この財政検証で言っている「2割減る」というのは、所得代替率のことです。つまり現在の所得代替率の61.7%が、2047年には、50.8%に低下すると言うことが書かれています。

所得代替率という聞き慣れない言葉が出てきますが、これは公的年金の給付水準を示す指数で、現役男性の平均手取り収入額に対する夫婦二人の年金額の割合です。年金の支給額は、1割ぐらい増える、または微増という予測になっています。「年金が2割減る」というのは、報道のミスリーディングなのです。

もちろん、この財政検証が本当に信頼できる数字かといわれると、疑問は残りますが…。所得代替率の数字が、現役男性の数字が手取り額で、年金額の方が税込みになっているなどの問題はあります。

老後資金2000万円は本当に必要なのか?

では、「老後資金は、2,000万円必要なのか?」と言われると、これは必要です。というのが私の答えです。しかし、不足する金額というのは、人それぞれで状況によっても異なります。

いずれにせよ、ある程度の老後資金を用意しておくことは必要です。厚生年金保険、国民年金保険などというように、公的年金とは保険なのです。

公的年金は、長生きをしたときのリスクに対応している保険です。それ以外にも遺族年金のように死亡保険の役割や、障害年金のように働けなくなったときの保障の機能もあるのです。老後の生活は、公的年金という長生きの保険と、老後資金の準備という自助努力によって維持していくものなのです。

とはいえ、それだけの資金を貯めることができない人や、年金の受給額が少ない人は、どうすればいいのかというと、その場合には、やはりできるだけ長く働く必要があります。

年金を正しく理解して賢く利用して楽しい老後を過ごす

ただ「年金は、本当に信頼ができるのか?」という疑問はなかなか払拭できません。

先ほどいったことと矛盾しますが、いずれ少子高齢化が進んでいくので、年金財源は厳しくなります。そして、マクロ経済スライドがありますので、物価上昇よりも年金の受給額が上がることはありませんから、実質の手取りは少なくなります。

だからといって、年金制度は崩壊しませんし、年金に頼らざるを得ないのというのも事実です。では、私たちはどうすればいいのでしょうか?

まず、老後資金の準備です。そして長く働くことも必要になってきます。そして、大切なのが、年金制度をよく理解して、賢く使いこなすことが求められています。

賢く使うというのは、たとえば、繰下げ受給をすると年金額が42%増額することができます(逆に繰上げ受給をすると年金額が減ってしまいます)。とすればできるだけ繰下げ受給をするのが、金額的にいいと考えられます。他にも特別支給の老齢厚生年金や加給年金、振替加算などさまざまな制度があります。ただし、自分で手続きをしないと受け取ることはできません。手間を惜しむと損をします。大切な年金です。損をしたくはありませんね。

もちろん、政府による年金制度の改正も必要なことではあります。そして政府には正しい情報を伝えることを要望していきたいです。年金についての正しい知識を持つことで「損」をせず、「得」を取ることができます。

長い老後生活は豊かに幸せに暮らしたいですね。ぜひとも年金などのお金のリテラシーを高めることをお勧めします。それこそが近道になると私は考えます。

( 長尾義弘)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング