湯山玲子が教える、夢を叶えられる人のお金の使い方

MONEYPLUS / 2017年10月5日 8時30分

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湯山玲子が教える、夢を叶えられる人のお金の使い方

お金を正しく理解して、自ら未来を切り開く女性を応援するウェブマガジン『MaRiche』が、この夏創刊されました。8月3日には、創刊を記念したトークイベントを渋谷で開催。第一部では、今もっともパワフルな著述家、ブロデューサーの湯山玲子さんが、「お金を識らないと損をする! これからの女性の生き方」をテーマに熱弁。『女装する女』(新潮社)、『四十路越え!』(角川書店)などの著書で、生きにくさを抱えた女性たちから圧倒的な支持を得る湯山さんが語る「女のお金の哲学」とは?

生きづらい?日本女性にかけられる呪縛

湯山:私、『四十路越え』という本を出していまして。これは元々30代前半の編集者の発問だったんですけど、このところ人生がしんどすぎる、と。たしかに、女性誌をみると30代女性のお悩み相談は定番です。女性の場合、仕事のキャリアと一緒に結婚・出産、特に出産ですよね、リミットが入ってきますので。そこで考えること、考えること。

それまで大学までずっとみんな一緒のお友達っていう“女子会チーム”が、段々30歳超えたあたりからですね、みんな一人一人違ってきちゃうことも、実は人間関係で体験するひとつの試練かな。みんないっしょ、だったはずが、そうじゃない。昨日までの友達が今日の敵みたいな、結婚してるかしてないかとかね(笑)。

その反面男性の30代は、仕事に向き合っていれば自分の生き方については棚上げしちゃって、リストラや左遷のリアルにぶち当たる50代くらいで大変なことになってるっていう話になってくると、

日本の女にかけられている大きい罠は、「自分の欲望を持つな」なんです。欲望を持つことは、わがままと同義であり、他人を蹴落とす自分勝手、というイメージ連鎖を呼び込んでしまう。日本の男社会は女のワガママが大嫌い。

「そんなことない」と、みなさんの周りの男性は口では応援してくれるかもしれませんが、信用しちゃダメ。女が芯を持って欲望をたぎらせることは、本音ではあまり歓迎されていない。

女に求められているのは、いい妻・いい母・いい介護要員。そういう人さまのために滅私奉公する存在であることです。そういう女は悪口を言われないし、人からエールを送られる。またも「そんなことない」という反論がきそうですが、この「いい」を「悪い」と言い換えてイメージしてみれば、はっきりする。

いい妻でも母でもなく、介護も人任せ、でも自分の欲望と信念に向かって生きている女は悪口の対象でしょう。もし、そういう欲望を貫徹する女がいたとしても、そういう自分の生き方に「引け目」を感じなければいけない、という。それは伝統的に日本にある美学だし、それ自体は悪いとは思いません。けれど、「そういう空気」になっちゃってることが問題なんですよ。

日本を支配する空気のひとつに同調圧力というものがあります。これ「みんないっしょ」が安心でそうでないと何かとバッシングを受ける、というもの。女子会で結婚の話題になると「私も早く結婚しなきゃ」とか焦りませんか? 

でもそれは本当に自分の欲望でしょうか。みんながやってるから自分もやらないとカッコ悪いんじゃないか?って、「世間が推奨する欲望」を信じさせられているだけではないでしょうか。集団で利益を上げる空気がカッチリつくられてしまっている日本のサラリーマン社会では、その集団内の「人並み」であることがまずは最低条件でその同調圧力はやっぱりすごいですよね。

もうひとつの空気、いや、空気というかこのところ目立ってきた人々の気質として、「承認欲求の増大」というものがあります。承認、つまり人から褒められ、認められるということは人間の重大な欲求のひとつですが、そこのところだけを行動のエンジンにするという人たちが目立っている。

言うまでもありませんが、人から評価されることだけをエネルギーにするのは危険です。なぜならそれは、自分の評価を他人に預けてしまっているということだから。それだけを信用していると自分自身を簡単に見失い、ヒドいことになりますよ。他人から今は評価されなくとも、続けて行くことで将来大輪の花が開く、などという健康な「希望」も持ち得なくなるのですから。

「自分の本当の欲望」で火をつけたエンジンは強力ですが、自分の欲望ではない、他人からの評価や評判、人並みでいたいなどという借り物のエンジンでは、大気圏に突入できない。自分の人生にお金をマネージしていくには「自分の本当の欲望」を見つけることが重要です。

切り詰めて切り詰めて、貯めたお金で何するの?

日経新聞の「NIKKEIプラス1」で人生相談をやっているのですが、お金に関する投稿が多いんです。たとえば、「年金生活をしている夫婦です。海外旅行に行きたいけど、お金がかかるし、そんなお金があったら何かあった時のために貯めておいて、孫におカネを残した方がいいんじゃないか」的な質問は本当に多いのです。

最晩年は今までの自分にご褒美を与えるようなお金の使い方をした方がいいのではないか、とも思うのですが、70代だからこそ将来の心配をしてしまうというのが、「不安」に縛られる日本人の心証なのでしょう。

日本人はすごく貯金しますよね。「不安だから」というモチベーションでお金を貯めようとするのはすごく自然な流れです。でも、リアルに考えて、節約して節約して、10年後、20年後に残ったのが節約術だけの人生って、どうなんでしょう? 

結局、お金を貯めた先の「自分の本当の欲望」が何なのかわかっていないのにお金を貯めている、本末転倒がそこにはある。おカネは自分の人生の「こうしたい」を叶えるリソースなのに、「こうしたい」がなくて、貯めてから「こうしたい」を見つける。そういう場合の「こうしたい」は、往々にして、みんないっしょ、の消費になってしまい、実はその人なりの人生の充実とは関係ないことに使われてしまうという図式です。

人生を変えたければ、今晩の居酒屋を真剣に選ぼう

自分の中のエンジン=欲望を認め、強化していくのにいい訓練になるのは、「その選択でどういう対価が得られるか」という思考を日々重ねていくことです。つまり、自分の中にオリジナルの取捨選択癖、つまり、判断と思考のクセを付けること。

たとえば私の場合、適当なワインでもいいけど、適当なスカートじゃダメ。5、6000円のちょっと素敵なビストロに10回行くなら、グランメゾンに1回行きたい。そういう積み重ねが自分の輪郭つまり欲望のかたちをつくっていくんですよ。

私、今50代中盤なんですけど、長く生きてきて面白いのは、20代30代40代と、そういう小さい判断と思考を積み上げていったことが集大成化されていくことですね。自分が選んだ一つひとつことが、たとえば今はめているおかしなトカゲの指輪が全てを語っているわけですよ。語ってどうするかって話なんですけど(笑)、そういうことが世の中を小さく面白くしていくっていうのかな。

ちなみに私、「一人ジョエル・ロブション」というのをやったことがあります。まあ、安くはない金額のグランメゾンですが、ひとりの女客は嫌われて、端っこの目立たない席に通されるのかな、とおもいきや、周りからよく見えるステージみたいな席に座らされて、ソムリエが私専属みたいになっちゃって、どこかの王妃様ですか、ぐらいの扱いをうけた。そして、その体験をガンガン語ってるので、結局、それは「生き金」になりましたね。

やらない理由は、夢を見ていたいから

いちいちジャッジメントを下していくのは、実はかなりメンドくさい。そのメンドくさいことを続ける「心の筋力」が日本人はなさすぎるんだと思います。最初は大変なんですけど、思考する癖をつけておくと、人生に劇的にチャンスが多くなっていくし、思考することは他から情報収集をすることになるわけですから、無駄に怖がることもなくなります。

大人になったからといって不安をなくすことはできません。出来るのは、技術と思考で不安を飼いならしていくこと。よくみなさんは「将来のことが全部不安」っていう病気にかかっていますが、考えないから怖いんですよね。怖い怖い、不安不安、っていうけど、じゃあ不安の正体はなんなの?っていうことを考えずに、ぽわーんとした不安の種だけを持っているという状態。そして、選択を間違えるのが怖いから行動しないというパターンが習慣になってくる。

不安の前にまったく行動しないっていう人は多いですよね。その真相は、やらなければずっと夢を見ていることができるから、なんですよ。まあ、子どもですよね。子供って親の保護下に置かれているから、親のお許しが出て、また、つれていってもらえてディズニーランドに行くわけです。

大人っていうのは、誰かにお伺いをたてる必要がないほど自由なのに、どうしてか、わざわざお伺いを立てる相手を探していませんか? 決めてくれる相手がいないことを、やらない理由にしていませんか?

結婚したい女の人にありがちなのは、それまでお伺いを立てる相手が親だったところを、こんどは夫に任せようとしているパターン。そこにはやっばり判断して思考することが面倒くさい、怖いという思考が横たわっている。自分ができないのに、夫ができるわけないじゃない!(笑) メンドくさいけど、自分のことは一つひとつ自分で決断しないと、いつまでたっても夢は夢のままです。

あとみなさん、学校行っちゃダメ! これも日本人にありがちなことですが、何かをやりたい時に「ちゃんと勉強しなきゃ」と思い込んでしまうんです。これは真面目というよりも、やっぱり夢を現実することが怖いんだと思います。夢をずーっと見ていたい。夢を追っている時だけは、「私、カフェを開こうと準備中なの!」って人様に言えるじゃないですか。そうすると一旦、猶予期間ができるんですよ。でも、それで30になり40になって、50になってまだ猶予期間って「どういう人生だ!」って思いますけどねぇ。

「借金、ダメ、絶対」という常識から抜け出せ

夢を実現させるために、お金は頼れる大きな存在です。けれど、日本の風土では借金ダメ、投資も危険ということになっていますよね。よくビジネス書なんかにも「まずは貯金してから無借金で事業を始めましょう」と書かれています。

それも一理あるとは思いますが、今の社会のスピード感だと、現時点で成功するアイディアでも、十年後には古くなって、幸運のしっぽが逃げちゃっている可能性も高い。どうしても「今、これがウケる」「今、これがやりたい」と思った時は、それをプレゼンテーションして、お金を借り入れることはすごく真っ当な方法です。

投資に関しては、私が劇的に面白いなと思ったエピソードがあります。

友達にアムステルダム在住のアーティスト夫婦がいるんですが、夫は ミュージシャン活動のかたわら、コマーシャル音楽とかファッションショーの音楽を作っていて、ある年大きいクライアントの依頼があって、一気にお金を稼ぎました。そのお金を頭金にしてベルリンの目抜き通りにあるデカいマンションのワンフロアを買った。

ところが何年かした時に、そのマンションを売ったというのです。どうしたのかと思ったら、夫の方がなんと、ミュージシャン活動は休止しての絵描き宣言。当然お金は入らなくなりますから、ローンは払えなくなるし、ベルリンの地価が値上がりしていたこともあって、「売り時だ」って、売り払っちゃった。彼らは今アムステルダムに戻っているんですが、2~3年は絵を描いてられるくらいのお金をそのマンション転売で儲けたんだと思いますよ。劇的でしょ?

私がショックを覚えたのは、とくに資産運用みたいな勉強をやっていない、きままなアーティストライフを送っている彼らが、それほどのダイナミックなお金との付き合い方ができるっていうことだったんですね。「絵を描きたい」「音楽を作りたい」という夢を現実化するために、お金をガーンと絡ませる迫力は凄い。「自分の人生とお金」ということに関してものすごく自立してる感じですよね。

夢をエクセルに落とし込んだ瞬間に、劇的に人生が始まる

夢を見ただけでふわふわ終わる人生もあると思うんですけど、私は30代になったあたりで夢は現実化したほうがいいと考えを変えました。20代まではバカな女子大生上がりだったので、すごいコンサバで、みんなと一緒に上手くやってればいいやっていう、銀座の売れないママみたいな考え方だったんですけど(笑)。欲望をはっきりさせ、その現実化に対して動くようになってからは、人生がダイナミックに、すごく面白くなってきました。

じゃあ実際にどうやって欲望や夢を現実化していくかという時、私は「エクセルを走らせろ」という言い方をします。夢は、エクセルに落とし込んだ瞬間に現実化するんです。

海外に行きたい年金生活の夫婦なら、まずは具体的な目的地を決めること。たとえば、テレビで観て行ってみたいなと常々思っていたトルコのパムッカレに行こうと決めたとしますね。次にやることはエクセルに予算表を作ることです。そして、「どんな旅行がしたいか」「そのためにはどこに重点を置き、何を削るか」と、一つひとつ欲望を具体化して、予算を立てるのです。「時間はかかってもいいから、飛行機代は安くしたい」「このレストランには絶対行きたい」と、細かくやっていくことがポイントです。

この作業は同時に、自分の欲望を細かい判断を通して思考確認していることなのです。そういった細かいことが実はその人の個性をつくっているんですよ。すると、大体の予算が出てくるじゃないですか。あとは、数字を捻出するために毎日の年金生活からその分のお金を捻出するだけですよ。劇的に人生始まった感じがしませんか?

 ふわっと持っている夢をいくつ現実化できるか、1年間に何度の夢を現実化させられるかで、中高年になってからの人生の豊かさに決定的な差が出ると思います。ですから、『MaRiche』の読者のみなさんには、小さなことでもいいから、自分の夢を現実化させるために賢くお金と付き合っていってほしいですね。

「MaRiche」はこちら
https://mariche.jp/

Photo:Bunsaku Nakagawa

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