新型「aibo」はソニー完全復活の旗手となるか?

MONEYPLUS / 2017年11月9日 7時0分

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新型「aibo」はソニー完全復活の旗手となるか?

ソニーは2018年3月期の決算見通しが過去最高益6,300億円の営業利益になると発表しました。リストラを続け再生に苦しんできた同社が、いよいよ本格的に復活したという、うれしいニュースです。

その翌日11月1日、ソニーの平井一夫社長は、リストラの過程で販売中止した犬型ロボット・アイボを復活させると発表しました。正しくは従来の“AIBO”ではなく、小文字で“aibo”と書く新商品ということですが、新型aiboはソニーの牽引車となることができるのでしょうか?

(画像出典:aibo専用サイト)

ソニー栄光の頂点で誕生した「AIBO」

ソニーは人工知能を搭載した新しい家庭用の犬型ロボット「aibo」を、2018年1月より販売すると発表しました。

初代「AIBO」が発売されたのは1999年。当時は経営が絶好調だったソニーの頂点とも言うべき年でした。しかし、発売当時のAIBOは社内からは冷ややかに見られていたそうです。「ソニーはおもちゃを作る会社ではない」というのが、その理由。

そんな思惑をよそに6月1日、AIBOは定価25万円で売り出され、限定3,000台の受注予約枠が、わずか20分で終了。

実はこの時、私も申し込んだのですが間に合わず涙を飲んだことを昨日のように覚えています。

そして我が家にあるのは2000年11月に追加販売された二代目AIBO。これがなかなか可愛いやつで、外見はシルバーとブラックで明らかにロボットなのに、なぜかしぐさが犬のように愛くるしいという不思議な存在でした。

このAIBOの成功によって、世の中に一気にペットロボット市場が誕生しました。そのこと自体はよかったのですが、実はひとつ困った方向に世の中が動きました。それがペットロボットの“デフレ”です。

ペットロボット市場の誕生、そして…

主におもちゃメーカーからペットロボットが多数、後追いで売り出されたのですが「おもちゃ」と家電製品は価格帯がまったく違います。

さまざまな商品が登場し、やがてその価格は9,800円といった具合に1万円を切るように。量販店での価格はさらに下落していきます。

実はおもちゃマーケットには適正価格帯というものがあります。売れ筋の上限は3,000円程度。おもちゃというものは子供が思いっきり遊んで、そのうち飽きたり壊れたりして、数か月後にはまた新しいものがほしくなるという商品です。

そのため、もともとは壊れても問題ない安価なものが販売されるのがおもちゃマーケットでした。そこに変化を起こしたのが1980年代に登場したファミコンです。ファミコンは本体が1万5,000円する上、ゲームソフトもひとつが5,000円前後。ファミコンがおもちゃの主流となったことで、おもちゃ価格が高騰し始めたのです。

このような時代に登場したAIBOですが、ライバル(?)のペットロボットはおもちゃ市場の新しい価格帯のなかで売られていました。当時の売れ筋のゲームソフトが1万円超、これが高価なおもちゃの水準です。

これがAIBOに困った問題を引き起こします。

AIBOに販売中止命令が出た経緯

おもちゃ会社から販売されるライバルのペットロボットは主に1万円前後。

それに対してソニーのAIBOは発売当初の25万円からは徐々に値下がり10万円台後半にはなりましたが、価格では明らかに分が悪い。

「では、性能は?」というと、安価になったマイコンによってそれらしい動きをするおもちゃのペットロボットは、おもちゃという意味ではなかなかうまくできていました。

当時は子供がいる多くの家庭がおもちゃメーカーのペットロボットを買って、子供が大喜びし、やがてそれらが壊れて捨てられていくという購買体験をしました。

もちろんおもちゃと比べると、AIBOはロボットとしての機構も搭載されている人工知能やカメラの性能も、研究者から見ると段違いでしたが、2000年当初の消費者にとっては、おもちゃと大差なかったのです。

これがAIBOの悲劇。徐々に市場での価格競争力をなくし、2004年ソニーの経営会議で撤退命令が出され、世の中から消えていくことになりました。

新しい「aibo」にかかる2つの期待

さて、2018年に復活するaiboには2つの大きな期待がかかります。

ひとつは人工知能の進化です。初代AIBOはあくまでも“ペットらしい振る舞い”しかできないロボットでした。現在の人工知能には学習能力が備わっています。

過去10年で人工知能が大きく進化したことを考えると、新しいペットロボットは過去の商品とは比べものにならないほど現実のペットに近づく可能性があるわけです。

実際に新型aiboはクラウド経由でほかのaiboと学習結果を共有し、ペットとしての振る舞いを進化させていくということが発表されています。

つまりはじめて出会った日以降、日増しにペットとして可愛くなっていく。購入時の初期設定から、さらに進化する商品なのです。

そしてもうひとつ期待されること――これは主に投資家からではありますが――、この進化する機能のためにはクラウドにつなげる必要があり、月2,980円の費用がかかるという点です。

もしペットを飼うと仮定すれば、維持費としてペットフード、おむつ、病院代など、一定のコストがかかります。ペットロボットもそれと同じで、お店で買って「おしまい」ではなく、毎月、育てるためのコストがかかるのが当然ということにしたいとソニーは考えているようです。

これは経営の世界でいう「リカーリング型ビジネスモデル(Recurring:購入後も継続的に収益が上がる構造)」を目指しているということでもあります。

そうなれば商品としての収益性は家電よりもスマホに近いかたちとなり、ソニーの業績がさらにプラスになる効果が期待できます。

来年、新しく登場する新型aiboは果たしてこの2つの期待を叶えてくれる商品となるのでしょうか? 今回も初回分の予約は開始約30分で完売。今から発売が楽しみです。

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