新型iPhoneの審査に落ちる人が続出してしまう根本理由

MONEYPLUS / 2018年10月16日 6時30分

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新型iPhoneの審査に落ちる人が続出してしまう根本理由

毎年ほぼ恒例となっている、9月のiPhone新機種の発売。今年も9月21日にiPhone XSが発売されましたが、例年とは別の側面が話題となりました。

今年は、分割払いの審査が通らず、買えない人が出ているということがインターネット上で話題になったのです。なぜ、今年に限ってそんなことが起きているのでしょうか。

キャリアはクレジット会社でもある

まずは、ユーザーがスマートフォンを手に取るまでの仕組みをひも解いてみましょう。下図は、通信キャリアから分割払いで購入した場合の流れです。キャリアとは、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクのことを指します。

実はキャリアには、通信会社としての顔以外にもう1つ、クレジット会社としての顔があります。ユーザーがiPhoneの端末代金を一括払いする場合、端末はアップル→キャリア→販売代理店→ユーザーへと渡り、代金はその逆の流れになるだけですから、キャリアのクレジット部門とは基本的にかかわりません。

しかし、分割払いになった途端、かかわってきます。キャリアは先に販売代理店に、ユーザーの代わりに代金を立替払いし、その後2年間に渡ってユーザーから分割で回収します。当然、2年間払い続けられるかどうか、審査します。

この審査が通れば、販売代理店はユーザーに端末を売り、キャリアに立替払いしてもらった代金を、キャリアからの仕入れ代金の支払いに充てるわけです。

キャリアとクレジット会社の違い

キャリアのクレジット部門は、オリコやNICOSといったいわゆるクレジットカード会社と少しだけやっていることが違います。

いわゆる普通のクレジットカードには、ショッピング機能とキャッシング機能が付いています。どちらもあらかじめ利用できる枠が決まっていて、その範囲内なら、滞納などしていない限り、審査なしでいつでも何度でも繰り返し使えます。

お店でカード払いしようとすると、カード会社と通信しているので、審査されているように思う人もいるかもしれません。あれはカードが止まっていないかどうか確認しているだけで、審査しているわけではありません。

このように、枠を決めてその範囲内であれば繰り返し利用できる契約形態のことを「包括方式」の信用購入あっせん契約と言います。クレジットカード会社がお店に対し、「後日、私があなたに一括払いしますから、この人に今すぐモノを売ってください」と薦める契約なので「信用購入あっせん」なのです。

これに対し、買い物のたびに審査をするのが「個別方式」です。包括方式と個別方式では、別々に業者登録をする必要があり、いわゆるクレジットカード会社は包括方式であるのに対し、キャリアは個別方式で業者登録をしています。

携帯端末の分割払いは、ユーザーがキャリアとの間で個別方式の信用購入あっせん契約を締結することなのです。

今年はほとんどの人が審査対象に

端末代金の支払い方法には、キャリアとの分割払い契約以外に、現金、クレジットカードの一括払いがありますが、クレジットカードのリボ払いは認められていません。なぜかというと、キャリアは分割払いを使ってユーザーが他の通信会社に乗り換えてしまうことを防いでいるからなのです。

通常、クレジットカードのリボ払いを使うと、その分の金利をとられます。これを「分割手数料」と呼んでいるのですが、キャリアは分割手数料を取りません。この点はユーザーにとって大変お得ではあるのですが、その一方で、分割払いが終わるまでの2年間、他のキャリアに乗り換えることができなくなります。

販売代理店に販売報奨金を支払い、分割払い手数料も免除してもなお、通信料を長期間採り続けるほうがキャリアは儲かる、ということなのでしょう。

ここからが本題です。なぜ今年に限って「審査でハネられた」と言っている人が増えたのでしょうか。答えは単純で、昨年は審査の対象になる人がほとんどいなかったのに対し、今年はほとんどの人が審査対象になったからです。

(写真:ロイター/アフロ)

支払総額10万円超で審査対象に

消費者金融会社は金融庁の監督を受けていますが、信用購入あっせん業の登録をしている業者は経済産業省の監督を受けています。その監督指針の中で、経産省は「ユーザーの支払い能力をちゃんと審査しなさい」としています。


一体どんな人が審査を通らなくなっている?

ただし、例外があって、個別信用購入あっせんの場合、「耐久性を有し定型的な条件で販売するのに適した支払い総額が10万円以下の生活必需品」は審査対象から除外することができます。

つまり、昨年までは支払総額が10万円以下になる人が多かったのに対し、今年はiPhoneの端末価格が一気にハネ上がったことで、10万円を超える人が急激に増えたのです。

審査不通過の理由はブラック情報にあらず

それでは、一体どういう人が審査を通らなくなっているのでしょうか。審査に当たって最初のハードルになるのが、本人申告の収入状況、つまり定期的な収入があるかどうかです。次が、その定期収入が分割金を2年間支払えるだけの額かどうか、です。さらに、過去に滞納歴がないかどうかを、信用情報機関に照会します。いわゆる「ブラック照会」です。

信用情報機関は3つあります。銀行が加盟しているのが全国銀行個人信用情報センター(JBA)、消費者金融会社が加盟しているのが日本信用情報機構(JICC)、そして信販会社やクレジットカード会社など、信用購入あっせん業者が加盟しているのがCICです。このうち、キャリアが加盟しているのはCICになります。

ネット上では「通信料金を滞納している人が審査でハネられる」と言われていますが、実情は少し違うようです。

通信料金は滞納すると即、督促が来て、払わないと通信を止められてしまいますから、そもそも滞納したままでは新しいスマホを買う意味はありません。何度も滞納している人の場合だと、審査に影響が出る可能性がないとはいえないのですが、審査に通らない人が急増した理由は別にあるようなのです。

どんな人が審査でハネられている?

経産省によれば、「学生やフリーターなど安定収入がない人の場合、そもそも入口でハネられているケースがある」といいます。

未成年であれば、そもそも親権者の同意が必要なので、最初から親の同意を取って申し込みますが、成年で安定収入がない人の場合、言われなければ、たとえば親の保証を付けて申し込むということはしません。

キャリアも、親の保証が付けば売ることができるユーザーでも、そういった説明をせず、ブラック照会うんぬん以前の段階で機械的にハネているらしいのです。今のところ、キャリアが細かいフォローをする予定はないようです。

もっとも、安定収入がないからといって、高額のスマホを持つ資格までないわけではありません。クレジット会社の尺度では「払えない」と見なされただけですから、お金を貯めて現金一括払いで購入すべきでしょう。

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