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【新NISA】「人気だから」投資すると思わぬリスクの可能性も…全世界株、米国株、高配当株ファンドはどう違う?

MONEYPLUS / 2024年6月3日 11時30分

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【新NISA】「人気だから」投資すると思わぬリスクの可能性も…全世界株、米国株、高配当株ファンドはどう違う?

2024年の株式市場は、新NISA開始も後押しし、日経平均株価・S&P500などが史上最高値を更新するなど盛り上がりを見せています。

本稿執筆時点では、株高が一服した感がありますが、投資信託は依然、多くの人に買われる状況が続いています。ウェルスアドバイザー「投資信託への資金流出入速報」(2024年5月)によると、2024年4月の国内の株式投資信託(ETF除く)の純資金流入は1兆5,379億円。4か月連続で1兆円を超えているそうです。それだけ、投資信託が買われている様子がわかります。

中でも人気は「全世界株インデックスファンド」「米国株式インデックスファンド」「高配当株ファンド」。どれかに投資している方も多いでしょう。でも、しっかりと内容やリスクを理解して選んでいるでしょうか。「人気だからなんとなく買っている」では、思わぬリスクをとっている可能性もあります。

今回は、全世界株式インデックスファンド、米国株式インデックスファンド、高配当株ファンドがそれぞれどんなタイプの投資信託なのか、どんなリスクかを解説します。


全世界株式インデックスファンドとは?

全世界株式インデックスファンドは、全世界の株式市場に低コストで分散投資ができる便利な商品です。世界全体の経済成長に合わせてお金を増やせる投資信託です。

代表的な全世界株価指数には「MSCI All Coutry World Index」(以下MSCI ACWI)がありますが、こちらは先進国23か国と新興国24か国の大型株で構成されており、世界株式市場の時価総額約85%をカバーしています。

MSCI ACWIに連動するインデックスファンドには「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)[信託報酬:年0.05775%]があり、「オルカン」の愛称で人気ですね。

MSCI ACWIは、次の地域に資産を分散しています。

<MSCI ACWIの投資先の地域の割合>

MSCI All Country World Indexのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

MSCI ACWIは合計47か国に投資していますが、投資先の地域の約6割は米国になっています。また、投資先の約9割が先進国、新興国は1割ほどです。各国の資産は各国の通貨で購入するため、通貨も全部で37に分散されています。

MSCI ACWIの投資先の業種や組み入れ上位銘柄は次のようになっています。

<MSCI ACWIの投資先の業種・組み入れ上位10銘柄>

MSCI All Country World Indexのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

もっとも多い業種は情報技術になっています。実際、組み入れ上位10銘柄にはマイクロソフト、アップル、エヌビディアといった大企業が並びます。MSCI ACWIは2840銘柄で構成されていますが、上位10銘柄だけで約20%を占めています。

MSCI ACWIのリターンとリスクも確認してみましょう。

<MSCI ACWIのトータルリターンとリスク>※ドルベース

MSCI All Country World Indexのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

トータルリターンは投資によって得られた収益率。リスクはリターンの変動幅の大きさを示します。直近10年のトータルリターンは年率8.75%、リスクは年率14.80%です。

米国株式インデックスファンドとは?

米国株式インデックスファンドは、1本で複数の米国株に低コストで投資できます。

米国株価指数にはいくつかありますが、人気の高いのが「S&P500」です。S&P500は、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)に上場する銘柄の中から、主に時価総額の大きな主要500社の時価総額をもとに算出される株価指数。米国株式市場の時価総額約80%をカバーしています。

S&P500に連動するインデックスファンドには「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」[信託報酬:年0.09372%]などがあります。

S&P500の投資先は次のようになっています。

<S&P500の投資先の業種・組み入れ上位10銘柄>

S&P500のファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

S&P500でももっとも多い業種は情報技術です。全世界株のMSCI ACWIよりも割合は6%ほど多くなっています。多少の割合の違いこそありますが、全世界株とは業種の差はあまりないことがわかります。組み入れ上位10銘柄も、TSMCが抜けてバークシャー・ハサウェイが入った程度で、大きくは違いません。

<S&P500のトータルリターンとリスク>※ドルベース

S&P500のファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

一方、違いがあるのがS&P500のトータルリターンとリスクです。3年・5年・10年の期間で見ると、MSCI ACWIよりもS&P500のほうが年3〜4%ほどトータルリターンが高くなっています。それでいて、リスクは1%ほどしか変わっていません。MSCI ACWIの場合、成長力の面で米国を下回る国にも投資しているのに対し、S&P500は米国株式に100%投資しています。その結果がトータルリターンの差になっています。

しかし、言い換えてみれば、米国に集中投資した結果ということでもあります。さらにあくまでも過去の結果であり、今後も上回る保証はないことは付け加えておきます。

高配当株ファンドとは?

高配当株とは、配当利回りの高い株のことです。配当利回りは、株価に対して年間でどのくらい配当金を受け取れるかを示す指標。「年間配当金÷株価×100」という式で算出できます。配当利回りは3%を超えると高配当といわれます。

高配当株ファンド・ETFで人気が高いのは、米国高配当株ETF「バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)」です。投資先の業種・組み入れ上位10銘柄は次の通りとなっています。

<VYMの投資先の業種・組み入れ上位10銘柄>

VYMのファクトシート(2024年4月末時点)より(株)Money&You作成

全世界株式や米国株式インデックスファンドとは傾向が違うことがわかります。もっとも多い業種は金融で、情報技術はそれほど多くありません。

組入銘柄上位を見ると、トップのブロードコムは半導体メーカー、JPモルガンは金融業、エクソンモービルはエネルギー、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やジョンソン・エンド・ジョンソンは生活用品という具合に、少し顔ぶれが違います。

なお、多くの高配当株ファンド・ETFは銘柄数が数十銘柄に絞っているものが多いのですが、VYMは大型株のうち配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されていて、投資対象が非常に多いのが特徴です。2024年4月末時点で、557銘柄あり、S&P500よりも銘柄が多い状況です。

<VYMのトータルリターンとリスク>※ドルベース

Morningstarのウェブサイトより作成

リスクは全世界株よりは控えめです。優良な高配当株は下落相場でも安定的に配当を出す傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。そのため、相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。

気になるVYMの分配金利回りですが、2024年5月17日時点で2.81%です。2019年5月以降の分配金利回りの推移は以下の通りです。

<VYMの分配金利回り(2019年5月〜)>

Seeking Alphaのデータより

2020年に急上昇しているのはコロナショックによる株価下落の影響でしょう(分配金利回りは株価下落=投資信託の基準価額の下落によって上昇するため)。基本的には、3%前後で推移していることがわかります。

なお、高配当ファンドにはETFだけでなく、投資信託でも低コストのものがたくさん出ています。「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.1238%]や「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」[信託報酬:年0.192%]はいずれもVYMに投資する投資信託です。

また、「SBI・日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.099%]なら日本の高配当株にまとめて投資が可能。組入銘柄の配当利回りは4.61%(2024年5月8日時点)と高いうえ、初回(2024年4月10日)の分配金は140円。2023年12月に新規設定されたばかりなので、分配金利回りはまだわかりませんが、4%近くは期待できるかもしれません。

投資信託はETFと違って一定額ずつ少額から購入できるうえ、積立投資もしやすいのがメリットです。

全世界株、米国株、高配当株を比較すると

全世界株、米国株、高配当株のトータルリターン・リスクを比べると次のようになります。なおここでは、
【全世界株】バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
【米国株】バンガードS&P 500 ETF(VOO)
【米国高配当株】バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
のデータを比較しています

VTの連動指数は「FTSE All Global Cap Index」ですが、「MSCI ACWI」とリスク・リターンで大きな差はないので、こちらで代替します。

<トータルリターン・リスクの比較表>※ドルベース(2024年5月20日時点)

モーニングスターの情報をもとに(株)Money&You作成

10年で比較すると、トータルリターンは米国株式>米国高配当株>全世界株式の順に多くなっています。それに対し、リスクは米国株式>全世界株式>米国高配当株となっています。米国株式は相応にリスクも高いのですが、リターンも大きくなっていることがわかります。

<価格の推移(直近5年・2019年5月1日=100)>

Investing.comの情報をもとに(株)Money&You作成

<価格の推移(直近10年・2014年5月1日=100)>

Investing.comの情報をもとに(株)Money&You作成

過去5年・10年のVT・VOO・VYMの値動きを表したグラフも見てみましょう。2019年(2014年)5月1日を100として、そこからの値動きを表しています。

値動きの方向性はどれも似ているのですが、S&P500が一番大きく上下していることがわかります。これは、リターンも高いものの、リスクも高いことを示しています。これに比べれば、全世界株式や米国高配当株のリターンやリスクは控えめではありますが、それでも、5年・10年の値動きは総じて右肩上がりで堅調だったことがわかります。

最後に、全世界株式・米国株式・高配当株の特徴・メリットとリスク・注意点をまとめておきました。

<特徴・メリットとリスクの比較表>

(株)Money&You作成

全世界株式か米国株かという議論もありますね。負けない運用を目指すならば「全世界株」、米国が今後も世界株を上回る成長を続けると思うなら「米国株」でしょうか。どちらも相応にリスクがあることは、ここまで見てきた通りです。

高配当株ファンドのメリットは、定期的に分配金が受け取れるということ。下落相場や暴落中も分配金がもらえるのであれば、市場の回復を待ちやすいメリットがあります。ただし、高配当株ファンドの一部には元本払戻金(特別分配金)を出すものもありますが、そういったファンドは資産形成の観点からは不向きです。高配当株ファンドがどういう場合に分配金が出るのかは商品ごとに異なるので目論見書でしっかり確認しましょう。

「人気」という理由で投資するのではなく、それぞれの特徴・リスクを踏まえた上で、自分にあった投資先に投資をしましょう。

※本記事は投資助言や個別のファンドの売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(頼藤太希)

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