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公的年金だけでは心もとない老後資金…NISA、iDeCoではなく「投資型年金保険」は老後の備えとしてあり?なし?

MONEYPLUS / 2024年6月9日 7時30分

公的年金だけでは心もとない老後資金…NISA、iDeCoではなく「投資型年金保険」は老後の備えとしてあり?なし?

公的年金だけでは心もとない老後資金…NISA、iDeCoではなく「投資型年金保険」は老後の備えとしてあり?なし?

セカンドライフもお金の心配なく生活したい。そのために、老後資金の準備をどのような方法で始めようかと悩んでいる方もいらっしゃるのではないのでしょうか。

老後の資金作りの方法として、NISAやiDeCoが注目されていますが、保険を活用することもできます。そして、保険のなかでも運用して将来のお金が増える可能性のある投資型年金保険は、「保険会社から契約を提案された」「最近契約した」という話を伺うこともしばしば。

しかし、投資型年金保険は、契約期間が長期に及ぶこと、短期間での解約だと手数料が取られるケースもあること、などの理由から加入時には慎重に検討する必要があります。今回は、投資型年金保険について、FPが事例をまじえて確認すべきポイントについて解説します。


投資型年金保険ってどんな保険?

投資型年金保険は、「変額個人年金保険」とも呼ばれます。株式や債券などの投資信託で資産を運用し、運用実績によって将来受け取る年金額や死亡保険金額、解約返戻金が変動する個人年金保険です。

投資型年金保険には、受け取る年金総額に最低保証があるものとないものがあります。また、契約期間中に解約した場合、解約返戻金には最低保証のないものがほとんどです。年金受取り開始前に死亡したときの死亡給付金は最低保証があるものが多いですが、ないものもあります。

保険料の払い込み方法は、一括払いや年払い、半年払い、月払いなどを選択できます。保険を比較する際には、細かな条件について、各保険会社の契約内容を詳しく確認するようにしましょう。

投資型年金保険への加入前に抑えるべき3つのポイント

投資型年金保険への加入を検討する際、抑えるべきポイントは3つあります。

1.コスト
投資型年金保険は、契約にあたって諸費用がかかります。契約初期費用や保険関係費用、運用関係費用、年金関係費用、解約控除などがかかります。契約初期費用はかからず、解約控除がかかるものや、反対に契約初期費用が引かれて、解約控除がかからないものなど、保険会社によってかかる費用に違いがあります、契約前にどういった諸費用がかかるのか、しっかりとチェックしましょう。

2.中途解約しづらい
投資型年金保険は中途解約した場合、払い込んだ保険料が最低保証されない場合がほとんどです。また、その時の運用実績や解約控除などの諸費用により元本を下回る場合があります。逆を言えば、使わないようにお金に鍵をかけてくことができる点はメリットです。なるべく受け取り開始までは使わない予定の余裕資金で始めるようにしましょう。

3.運用実績によって受取金額が変わる
投資型年金保険は保険会社が決めた資産配分で株や債券といった投資信託で運用する金融商品です。そのため将来受取ることができる金額は運用実績によって変動します。想定よりも年金額が下回る可能性があることは肝に銘じておきましょう。

事例でみる投資型年金保険加入の適正バランスとは

前述の通り、投資型年金保険は運用実績によって受け取れる年金が変わります。そのため、どれだけ投資型年金保険で老後への生活に備えるかのバランスは慎重に検討すべきです。

投資型年金保険を複数契約している、あるご家庭の事例をもとに、投資型年金保険加入の適正バランスについて考えます。

<プロフィール>
【家族構成】
夫Aさん(会社員・42歳)、妻Bさん(パート・40歳)、長男(小学生・10歳)、長女(小学生・8歳)

【収入】
年間の手取り収入合計:年間約500万円
世帯の手取り収入額:年408万円(月34万円)
年間の世帯の手取りボーナス額:年70万円(年2回)
その他の収入:児童手当 年24万円(月2万円、子ども2人分)

【年間の世帯支出の目安】
生活費合計:年間474万円
(内訳)
生活費:年180万円(月15万円。食費・日用品費・通信費)
子ども費:年64万円
住宅費:年14万円(固定資産税・火災保険)
住宅ローン:年98万円(月8万1千円返済。ボーナス返済なし)
車輛費:年26万円(ガソリン代・自動車保険)
自動車ローン:年44万円(残り5年220万円返済)

保険料;年48万円(自動車保険・火災保険除く)
(内訳)
医療保険(夫Aさん名義):年6万円
医療保険(妻Bさん名義):年6万円
投資型年金保険(妻Bさん名義):年36万円(月払い3万円。Bさん)
※夫Aさんの投資型年金保険2本、妻Bさんの投資型年金保険2本は払い済み。

【世帯の資産状況】
普通預金:400万円
(既契約保険):
① 投資型年金保険(夫Aさん名義):120万円(一時払い。Aさん60歳から70歳まで毎年20万円受け取り)
② 投資型年金保険(夫Aさん名義):180万円(一時払い。Aさん65歳から75歳まで毎年30万円受け取り)
③ 投資型年金保険(妻Bさん名義):150万円(一時払い。Bさん60歳から70歳まで毎年30万円受け取り)
④ 投資型年金保険(妻Bさん名義):月3万円(月払い、70歳まで30年間払込み。Bさん70歳から85歳まで毎年120万円受け取り)
※①~④の投資型年金保険は、国内外の株式に約80%投資した積極運用コースを選択し、将来の年金額は運用実績によって変動する可能性があります。

Aさんご夫婦は、親の勧めで独身時代から個人年金保険に積立をしていました。しかし、契約時の利率が低いため、見直しをしようと思っていた矢先、たまたま紹介された保険会社の担当者に投資型年金保険を提案され、複数契約をしたとのことでした。

投資型年金保険は、利回りによって将来受け取る年金額も変わります。そのため、契約時に提示される利回りなどは、あくまでも参考程度と考えておく方がいいでしょう。

契約前に「お金のかかり時」を把握しておくことが大切

投資型年金保険は契約期間が長く、中途解約もしづらい商品です。途中で保険料が払えなくならないよう、「お金のかかり時」を把握しておくことが重要です。

Aさんご夫婦もライフプランを作成し、今後の収支をシミュレーションしたところ、子ども2人の高校入学から大学を卒業して独立するまでの期間が、「お金のかかり時」だとわかりました。子ども2人が大学生の時期には、投資型年金保険を除いた金融資産が300万円を下回ります。

シミュレーションでは、子どもが小学校から高校まで公立、大学は私立文系に進学することを想定しています。実際には、中学校や高校から私立に進学する、大学で理系に進学したり、一人暮しをしたりするなど、想定外の選択をすることもあるでしょう。その場合、さらに教育費がかかる可能性もあるため、手元資金が300万円を下回るのは心もとなく感じます。

子どもが小学生くらいまでは、一般的にはお金が貯めやすい時期だといわれています。まだ家計に余裕のある時期に保険加入を検討する場合、その時点での家計状況だけで大丈夫だと判断し、加入してしまうことがあります。長い人生のなかでは、どうしてもお金がかかる時期があります。加入時だけではなく、将来的にも保険料の支払いが継続可能か、長期的な視点で確認しましょう。

投資型年金保険の適正バランスの目安

投資型年金保険は老後の資金準備として活用しやすい商品と思われるかもしれません。なぜなら、あらかじめ受け取り開始年齢を決めておくことができ、資金計画を立てやすいからです。しかし、運用実績によって受取り金額が変動すること、中途解約しづらいことを踏まえ、資産全体に対して投資型年金保険の割合が高くなりすぎないよう注意しましょう。

Aさんご夫婦の場合、投資型年金保険が金融資産の50%以上を占めていました。参考までに金融広報中央委員会によると、将来のために蓄えている金融資産のうち、保険が占める割合は平均で資産全体の約20%です(参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2023年))。平均データと比較しても、Aさんご夫婦の金融資産はバランスに偏りがあることがわかります。

Aさんご夫婦にもその旨を説明し、月3万円支払っている投資型年金保険を解約し、自由に払い戻しができる投資信託での積立投資(NISAを利用)に変更することにしました。すぐに現金化できる資産を増やすことで、手元資金が少なくなる不安も解消できました。

適正バランスを考えるにはライフプランを作り、全資産のバランスを見る必要がありますが、資産全体の約20%というのは1つの目安になりそうです。

少子高齢化が進む日本において、自助努力として老後資金の準備をすることは、ますます必要になるでしょう。投資型年金保険を活用するのであれば、保険の特徴を理解し、望まない途中解約で損をすることがないように、家計に合った無理のない保険料で加入するようにしましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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(南真理)

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