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認知症になると銀行口座が凍結される?親が診断を受ける前にやるべき5つのこと

MONEYPLUS / 2024年6月23日 18時0分

認知症になると銀行口座が凍結される?親が診断を受ける前にやるべき5つのこと

認知症になると銀行口座が凍結される?親が診断を受ける前にやるべき5つのこと

高齢化が進むことによって認知症患者も増加し、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予測されています。患者数が増えるとともに「認知症になったら口座が凍結される」この言葉をよく聞くようになりました。

なぜ認知症になると銀行口座を今までのように自由に使用できなくなるのでしょうか。また、将来に備えてどのような準備が必要になるのでしょうか。

認知症とは、さまざまな原因で記憶や思考などの認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすことをいいます。認知症の症状は様々ですが、たとえば何度も同じ話を繰り返したり、約束を忘れたりといった自分が行った行動を覚えていないということが出てきます。そして、自分の行動を覚えていないということは、お金のトラブルに巻き込まれることも増えてくる可能性があるのです。


認知症で増えるお金のトラブル

認知症の高齢者によくあるお金のトラブルとしては、代表的なものとして、「金銭管理ができなくなる」と「消費者トラブル」があります。

金銭管理ができなくなる例としては、

・年金支給と同時に使ってしまう
・紙幣しか使えなくなる
・ATM操作ができなくなる
・金融機関へお金を引き出しにいく回数が増える

といったことが挙げられます。金融機関で、何日も同じ金額を引き出していた顧客を不審に思った行員が声をかけ、家族に連絡を取り認知症が発覚したといったことが起こっています。

高齢者を狙った通信販売、訪問販売、電話勧誘など悪徳商法や詐欺の被害に繰り返し遭うトラブルも増えています。以前に購入した商品のことを覚えておらず同じ商品が家の中に複数見つかるといったことがあるのです。

口座取引が制限されると起こること

こういったお金のトラブルに対して、認知症高齢者の資産を守るために金融機関は口座取引の制限をかけます。これが「口座の凍結」と一般的に呼ばれるものになり、相続が起こった際の「口座の凍結」のような全面停止とは異なります。

年金の振り込みや公共料金の口座引落は継続して行われますが、引き出しができなくなる可能性があります。また、年金の受取口座を変更するには本人からの届出が必要ですが、判断能力がない状態では変更することができません。

金融機関は、客の判断能力に大幅な低下があることを知ったとき、取引を制限するとされています。どのような状況になると取引の制限をかけることになるのかは、各金融機関によって異なります。

65歳以上の約5人に1人が認知症になると言われる状況を踏まえて2021年2月に全国銀行協会が「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方」を発表しており、基本的には成年後見制度の利用を求めています。しかし、預金者本人の生活費、入院や介護施設費用のため困っている場合、は親族が代わりに預金を引き出せるとの考えが公表されました。

この方針を受けて金融機関では親族からの依頼に柔軟に対応できる可能性がでてきました。

認知症の診断を受ける前にやっておきたいこと

口座が凍結される前に、認知症の診断を受ける前に準備しておきたいことは次の5つです。

(1)元気なうちに財産の棚卸をする
(2)使用していない口座の整理をする
(3)現在預けている金融機関で認知症に備えた商品があるかどうかを確認する
(4)「財産管理委任契約」「任意後見契約」を利用できるようにしておくのか検討する
(5)預けている金融機関が「財産管理委任契約」「任意後見契約」に対応しているか事前に確認する。

順番に見ていきましょう。

(1)元気なうちに財産の棚卸をする

具体的には、
・不動産はどこに何を所有しているのか
・預貯金・有価証券・生命保険等の財産はどこの金融機関等と取引をしているのか

これを現在わかる範囲で財産目録にまとめて一目でわかるようにします。そして、動産の名義は自分の名義になっているか確認し、生命保険の受取人の確認をしましょう。

(2)使用していない口座の整理をする

現在使用していない預貯金口座があれば解約します。

(3)現在預けている金融機関で認知症に備えた商品があるかどうかを確認する

最近、代理人を選任しておくことができる金融機関も出てきました。高齢の預金者の預金引き出しに関しては柔軟な対応や、専用の金融商品を利用するなど口座の凍結を防ぐ手段も出てきました。そのような商品があるかどうか、ご利用の金融機関を確認してみてください。

「財産管理委任契約」と「任意後見契約」

(4)「財産管理委任契約」「任意後見契約」を利用できるようにしておくのか検討する

金融機関は取引制限を避けるために、「成年後見制度」の利用を勧めています。

成年後見制度を利用すると「後見人」という登場人物が出てきます。後見人とは判断能力が衰えてきた際に財産管理(不動産や預貯金、有価証券等の管理、手続き等、財産を守ること)や身上監護(各種契約の締結など)を代わりに行う人のことです。

判断能力が無くなったあとに利用するのは「法定後見制度」です。家庭裁判所が後見人を選任します。

判断能力があるうちに利用できるようにしておくのは「任意後見制度」で、自分自身が将来判断能力が無くなった際にお願いする人を決めて契約しておくことができるというものです。実際は任意後見契約を単独で締結するよりも「財産管理委任契約」とあわせて契約することが多くあります。

後見制度は判断能力が無くなってからでないと利用できないのに対して、財産管理委任契約は判断能力があるうちから利用することができます。足腰が悪く銀行まで行くことがしんどいなど、身体の事情を理由として預貯金の引き出し等をお願いすることができます。

お願いする事項は委任者と受任者が契約書内で自由に決めることができます。受任者に特別な資格は必要ありません。例えば信頼できる家族や友人、知人を受任者にすることができます。また、弁護士、司法書士、行政書士などの専門職を受任者にすることも可能です。

ただし、家族のだれか1人が預貯金の管理をしているとなると将来相続が起こった際のもめごとになる可能性も含んでいます。預金者のためではなく私的流用の疑いが出てきますのでレシートや領収書を取っておく。出納帳で出し入れを明確にするなどの管理は必ず行うようにしましょう。

(5)預けている金融機関が「財産管理委任契約」「任意後見契約」に対応しているか事前に確認する。

利用している金融機関が、「財産管理委任契約」「任意後見契約」に対応しているか確認しましょう。対応していないということであれば取引の金融機関の変更も視野に入れます。

子供から親へ話をするのはなかなか難しいこともあると思います。そのような場合は、終活・相続の専門家と相談しながら「このままなにもしないとどうなるか」を家族で認識してもらえるようにしましょう。

終活カウンセラー・行政書士 藤井利江子

(アクセス相続センター)

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