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上場来高値の3分の1まで下落した「ANYCOLOR」、ストップ高まで株価を押し上げた2つの要因とは?

MONEYPLUS / 2024年6月20日 7時30分

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上場来高値の3分の1まで下落した「ANYCOLOR」、ストップ高まで株価を押し上げた2つの要因とは?

いまいち株価がパっとせず、手離したのち、株価が上昇することはよくあります。そんな時の悔しさは、株式投資をしたことある人なら、誰でも経験したことがあるのではないでしょうか?

先日、まさにわたしにもそれが起こりました。2023年の3月にこの連載で取り上げたANYCOLOR(5032)です。上場来高値から株価が半分まで下落し、そこから這い上がれるかどうか、おもしろい展開になりそうだとその時点では考察しています。

参考記事:上場来高値から半値になったIPOラッシュの注目株…トリプルサプライズで株価はどう動いたのか

取り上げたのがちょうど23年11月期の第3四半期決算発表の直後で株価は3,000円程度でした。その後23年4月期の本決算発表があり、新年度である24年4月期で4年連続過去最高益を更新見通しとなり、株価は4,500円近くまで上昇します。


本決算発表で株価がストップ高に

じつはわたしは、2023年4月から1年ほどこの銘柄を保有していましたが、3,000円から4,000円の間を行ったり来たり。また高値を4,460円→4,150円→3,955円→3,850円と切り下げており、あまり上昇する展開をイメージできなかったため、2024年3月期第3四半期決算の発表日前にすべて売却しました。

その後、第3四半期では、11-1月期の営業利益が前年比で-20%の減益となり、翌日の株価は20%以上下落。売っておいてよかったと自分の判断に満足していました。その後も株価はずるずると下げ、2024年の5月には2,043円の底値をつけています。結局、上場来高値の3分の1まで下落したことになります。

ところが先日、株価がストップ高となりました。きっかけは2024年4月期の本決算発表です。

画像:ANYCOLOR「2024年4月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

6月12日に発表された2024年4月期の①売上高は31,995(百万円)、②前年比+26.3%、③営業利益(12,361百万円)、④前年比+31.4%。これは、従来予想からほんのわずかに下回っておりますが、概ね想定通りでサプライズはありません。

画像:ANYCOLOR「2024年4月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)

同時に発表された新年度2025年度4月予想は、①売上高予想39,000(百万円)、②前年比+21.9%、③営業利益14,800(百万円)、④前年比+19.7%で、7期連続増収、5期連続増益で過去最高の見込みとなります。

当社は、おもに4つの事業セクターを持ちます。売上比率の約60%を占めるのは、「コマース領域」で、VTuverのオリジナルグッズやデジタル商品の販売を行なっています。にじさんじ関連グッズの販売が好調で、これは新年度も続く見込みです。

次に売上比率が高いのは、「プロモーション領域」で、企業からのタイアップ広告、IPライセンス、メディア出演などの案件を扱っています。NBAとのタイアップなど、さまざまな企業案件が実施され、新規やリピート案件の増加が今後も見込まれています。

同じくらいの売上比率をもつのが、「ライブストリーミング」で、YouTubeにおけるライブ配信動画を中心とした活動です。メンバーシップ収益や広告収益が比較的安定していますが、特定のプラットフォームに収益を頼っていると、仕様の変更や、視聴者の好みの変化で収益が急激に悪化することもあります。YouTuberの事務所を運営しているUUUMの低迷を目の当たりにしており、そのあたりは警戒しているのかもしれません。

4つめは「イベント領域」で、音楽をはじめとしたイベントを主催する活動です。当社に限らずですが、コロナ明けでイベント関連は活況なので、今後の成長が期待できそうです。

海外での「NIJISANJI EN」の活動が思ったほど伸びていかないというネックはあるものの、おおむねすべての領域が安定的に成長しており、投資家には好感されました。

ストップ高まで株価を押し上げた別の要因

とはいえ、決算の数字だけでストップ高まで株価を押し上げたわけではありません。強力な追い風となったのは、同時に発表した自社株買いです。

画像:ANYCOLOR「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ

①取得の上限は400万株で、これは発行済株式総数に対する割合は6.40%となります。通常、2%以上あれば多いほうなので、非常にインパクトがあります。資本効率の向上と株主還元強化が自社株買いの目的で、営業キャッシュフローをしっかり稼いでいる当社にとっては、ベストなタイミングでの発表でした。

②取得期間は、6月31日から8月31日の2ヶ月間とわりと短めで、市場買付を行いますので受給がかなり引き締まります。

ただし気をつけたいのは、必ずしも上限いっぱいまで自社株買いを行うわけではないということです。④株式の取得価額の総額は75億円を上限としていますので、もし400万株すべてを買うとしたら、取得株価は、1,875円以下になります。現時点(6月16日)の株価は、2,812円ですので、ここから大きく下げなければ上限いっぱいを買うのは、不可能です。

仮に株価がこのまま2,800円程度で動かないとしたら、267万株程度買うことができますが、株価が上昇すれば、買付できる株数はますます減少しますので、実際の自社株買いによる効果は、発表時のインパクトよりはかなり小さいものです。その点も踏まえておかないと、高値掴みになってしまうので要注意です。

購入タイミングの狙い目は?

画像:ANYCOLOR「2024年4月期 通期決算説明資料

決算説明資料に、わざわざと言っていいような資料がありました。2025年4月期の第1四半期は、前年同期比で減収減益になるという予告です。実際に、減収減益になったときのネガティブサプライズを小さくするための作戦だと思いますが、通常ではあまりないことです。これ以上、株価を下げたくないという会社側の気持ちの現れにも感じますが、その本意は分かりません。

いずれにしろ、この資料は株価購入タイミングのヒントになります。新年度予想の好調を期待して株価が上がっていれば、減収減益の発表でがっかり売りが出るはず。その数字が、当初の想定通りであれば、絶好の買いタイミングになりそうです。

どこまでこの情報を株価が織り込むかによりますが、案外投資家は忘れやすいものです。減収減益のヘッドラインで売られた場合は、即座に拾う心づもりで今から待機しておくつもりです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(藤川 里絵)

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