短・中期で結果を出したいなら…【新NISA】成長投資枠の銘柄選びは参入障壁の高い7業界に注目!
MONEYPLUS / 2024年6月22日 7時30分
短・中期で結果を出したいなら…【新NISA】成長投資枠の銘柄選びは参入障壁の高い7業界に注目!
新NISAで投資をされている方には、長期投資を想定されている方が多いと思います。そのような中、お子さんの学費や住宅購入の頭金など、数年単位での投資を考えている方や、すでにリタイヤをされていてあまり投資に時間をかけるつもりはない方もいらっしゃるようです。
今回は、NISAの成長投資枠で、長期だけでなく、短・中期的に銘柄を探すためのアイディアの一つとなる「Moat(モート)」について紹介します。
Moatは参入障壁のこと
「Moat」という言葉は米株式市場で使われており、“投資の神様”と言われるウォーレン・バフェット氏が使っていることでも知られています。
元々は“堀”という意味を表しますが、投資の世界では、“参入障壁”という意味で使われます。
バフェット氏は投資の鍵について、耐久性のあるMoat、つまり競争障壁を有する製品やサービスを選ぶことが重要であると述べています。企業の競争優位性を見極め、競争優位性の耐久性を重視しているようです。確かに、競争優位性が高く、競合他社がその市場に入りにくい状態が続くなら、企業はそのビジネスで高い収益性を維持しやすいと考えられますね。
Moatに注目した指数
Moatに注目した指数にはMorningstar ワイド・モート・フォーカス株式指数があります。
この指数は米国の投資調査会社モーニングスター社が算出している株式指数のひとつで、持続的に競争優位なビジネスを持ち、相対的に割安と考えられる米国企業で構成されている指数です。
モート評価と公正価値の見積もりは、モーニングスターエクイティリサーチチームが実施した独立した調査を通じて決定されます、とのことです。
モーニングスター社の株式リサーチでは、長期間にわたって経済的利益が維持でき、構造的に競争優位性がある企業を「エコノミック・モート企業」と定義して、企業がもつエコノミック・モートに対して「ワイド(広い)」「ナロー(狭い)」「なし」の格付けをおこなっています。競争優位性が最もワイド(広い)だと格付けされた企業は、それ以外の企業に比べてより長期間にわたって価値を生み出す可能性が高いと考えられているとのことです。
指数連動を目指したETF・投資信託も
Morningstar ワイド・モート・フォーカス株式指数に連動する投資成果を目指す米国のETFに、【MOAT】ヴァンエック・モーニングスター・ワイド・モートETF(VanEck Morningstar Wide Moat ETF)というのもあります。先週末終値で85.72ドルとなっており、1万円台から投資することが可能です。
また投資信託では楽天・モーニングスター・ワイド・モート・フォーカス・ インデックス・ファンドがあり、新NISAの成長投資枠で投資をすることが可能です。運用管理費用は0.55%、先週末(6月14日)の基準価額は1万785円となっています。
5月末時点での組入上位銘柄は、Googleのアルファベットが3%、防衛・航空宇宙のRTXコーポレーションが2.8%、米金融界で躍進するオンライン証券取引会社の最大手で金融サービスの会社のチャールズシュワブコーポレーションが2.5%など。
かなり分散されていることでも魅力がある投資信託だと思いますし、企業の競争優位性を維持する役割を果たすブランド力やコスト優位性など参入障壁に注目した銘柄が選ばれているので、組入銘柄も個別銘柄を選ぶ際に参考になるのではと思います。
では株式投資において参入障壁が高いとされる業界はどこなのでしょうか。
参入障壁が高い7つの業界
主に参入障壁が高い業界は以下が考えられます。
【1】半導体産業
半導体製造には、数十億ドル規模の高額な資本投資が必要です。工場の建設や最新の製造設備の導入には莫大な費用がかかります。また半導体の設計・製造には高度な技術力と専門知識が求められます。研究開発にも多額の投資が必要です。特許や知的財産権の保護が強く、新規参入者は既存の特許を回避するための技術開発が必要です。半導体は今1番ホットなMoatの業界だといえるのではないでしょうか。日本の半導体ETFであるNEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信(NF・日経半導体ETF)[200A]が上場したことも株式市場で話題となっています。
【2】 製薬・バイオテクノロジー産業
まず研究開発コストがかかることが参入障壁となっています。新薬の開発には数十億ドルと10年以上の時間がかかります。臨床試験や規制当局の承認を得るためのプロセスが非常に長く、コストも高いです。また各国の薬事規制は非常に厳しく、製品の安全性と有効性を証明するための膨大なデータが必要です。加えて特許による保護が強く、新規参入者は特許切れのタイミングを狙うか、革新的な技術を開発する必要があります。ただバイオに関しては、いつ結果が出るか分かりにくい部分もあるので、難易度が高い投資と言えるかもしれません。
【3】 航空宇宙産業
こちらも高額な資本投資がまず参入障壁として考えられます。航空機や宇宙機の開発・製造には多額の資本投資が必要です。また、製造施設や試験設備も高価です。また高度な工学技術と専門知識が求められます。エンジニアリングや製造プロセスが非常に複雑です。そして航空機や宇宙機の製造には、厳しい安全規制と認証プロセスがあります。これらをクリアするためには多くのリソースと時間が必要です。
【4】 通信インフラ産業
資本集約型産業であることが参入障壁として考えられます。通信インフラの整備には莫大な資本投資が必要です。特に5Gインフラの整備には大規模な投資が求められます。また規制が厳しいということも参入障壁になります。通信事業には各国の通信規制当局からの認可が必要です。これに加え、周波数帯の割り当てや使用許可などもクリアしなければなりません。そして大手通信事業者が市場を支配しており、新規参入者が競争力を持つのは困難といえるでしょう。
【5】 エネルギー産業
まず高額な資本投資が必要であることが参入障壁と考えられます。発電所やエネルギーインフラの建設には巨額の資金が必要です。特に再生可能エネルギーへの転換には莫大な投資が求められます。環境規制や安全規制が非常に厳しく、これらを遵守するためのコストも高いです。そしてこちらの業界も寡占が参入障壁の一つとなっています。既存の大手エネルギー企業が市場を支配しており、新規参入者は競争力を持つのが難しいです。
【6】 防衛産業
防衛産業は政府との契約が中心であり、政府の認可や厳しい規制が適用されます。防衛産業は市場が閉鎖的であり、既存企業が強い独占状態にあることが多いです。新規参入者が政府契約を獲得するのは難しいです。また高度な技術力と研究開発が求められます。製品の開発には多額の資金と長期間が必要です。
【7】金融サービス産業
金融業界は厳しい規制が適用されており、ライセンス取得やコンプライアンスの維持が必要です。だからこそ大手金融機関が市場を支配しており、新規参入者が競争力を持つのは難しい状況です。また銀行や保険会社などの金融機関は、厳しい資本要件を満たさなければなりません。これも新規参入者にとって大きなハードルです。
参入障壁が高い業界に投資することは、長期的な視点で見て非常に有益であるとされています。競争からの圧力が少ないため、安定した収益を上げ続けることが想定され、これにより、投資家は安定したリターンを期待できそうです。また、長期にわたって市場シェアを維持し、成長期待、株価上昇期待もできるほか、投資リスクの低減にもつながりそうです。
この記事が皆様の投資の参考に少しでもなれば幸いです。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward] ※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
(三井 智映子)
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