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コロナ特需が一段落ついた「しまむら」、再上昇のカギは100万足を売った“スリッパ”?

MONEYPLUS / 2024年6月27日 7時30分

コロナ特需が一段落ついた「しまむら」、再上昇のカギは100万足を売った“スリッパ”?

コロナ特需が一段落ついた「しまむら」、再上昇のカギは100万足を売った“スリッパ”?

先日6月24日にファッションセンター「しまむら」が決算発表を行いました。しまむらといえば、2009年に、しまむらの服を愛用する人を指す「しまらー」という言葉が、流行語大賞に選ばれるほど大旋風をおこしたアパレルです。その後も着実に売り上げは伸ばすものの、eコマースへの対応が遅れるなどで、2018年2月~2020年2月期は3期連続の減収減益となっていました。


コロナ以降はパッとしない印象

しかし、おもしろいことに、コロナ禍真っ最中の2021年、22年は、前年比で二桁の増益を記録しており、外出規制で大打撃を受けた他アパレルとは一線を画しています。これは、しまむらの店舗のつくりが、広々とゆったりしていたため、密を気にせず買い物ができこともあったのでしょう。また、遅れを取っていたeコマースへの対応を急速にすすめ、デジタル販促の強化とともに売り上げに寄与しています。

ただ、コロナ特需といってもよい派手な営業利益の伸びは、22年2月期で終え、その後は一桁の増益率でパッとしない印象です。今期2025年2月期の通期予想は、売上高6,596億円(+3.9%)、営業利益563億円(+1.9%)とかなり小幅な増益。そんな控えめな予想もあって、4月1日に新年度予想が発表された翌日の株価は、7.2%の大幅下落となりました。

画像:しまむら「2025年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

期待値はそれほど高くない中での第1四半期決算は、①売上高164,466(百万円)②前年同期比+4.7%、③営業利益14,579(百万円)、④前年同期比+0.3%と、想定範囲内の数字です。株価上昇のきっかけになるほどの力強いインパクトは到底ありません。日本でも、じわりじわりと物価が上昇し、消費者マインドが冷え込みつつあります。洋服がバンバン売れるといった環境ではないのがつらいところです。

いまの売れ筋は「スリッパ」?

しまむらの強みは、洋服だけではなく、インテリアやアパレル雑貨など商品展開が多岐に渡るところです。今現在、当社の売れ筋商品は、意外なことに”スリッパ”です。

決算説明資料には「FIBER DRY さらっとドライスリッパは売れ行きが好調で、今期の累計販売数は 100万足を突破しました」とあります。たった3ヶ月で100万足売れるスリッパ! スリッパでそれほど差別化ができるものかと思いますが、 さらっとドライスリッパは、その名のとおり、通気性が非常に高い機能性スリッパ。甲の部分は吸水速乾性を持つメッシュ素材を採用し、ムレにくい仕様で、スリッパの底の裏側にも通気口があります。また、スリッパにしては厚底で履き心地にも配慮。さらに年間100種類以上のデザインを扱っているため、子供から年配の方まで、多様な好みに応えています。2024年度の販売数目標は、当初110万足でしたが、すでに100万足を突破していますので、167万足に切り上げたそうです。

こういったヒット商品があると、それを求めて店頭に訪れる人が増え、相乗効果でほかの商品への購買にもつながります。スリッパは消耗品なので、シーズンごとにリピートする人も多くいそうです。

そのほかにも付加価値の高いPB商品の売り上げは好調です。たとえば「CLOSSHI PREMIUM」シリーズの婦人肌着「FIBER DRY チューブタンクトップ」は、高い吸水性と速乾性を実現。また、抗菌素材を使用することで細菌の繁殖をおさえ、防臭効果を持たせています。そのほか、「CLOSSHI」シリーズのTシャツ「コットンフロムUSA」は、「襟のよれ・汚れを抑える機能」や「接触冷感機能」を備えており、こちらも好売上となっています。2024年の夏も暑くなるようなので、こういった猛暑対策系の衣服は引き続き売上のドライバーになってくれるでしょう。

今後、さらにしまむらが勢いを増すためには、売上の1%にも満たない海外市場の拡大です。現状では、台湾に日本企画の自社開発ブランドや台湾企画のプライベートブランドを展開する事業部を有しています。台湾現地の人気インフルエンサーと契約し、SNSを使ったデジタル販促をおしすすめることで、第1四半期では、売上高、営業利益ともに過去最高の業績となっています。この調子で、さらに横展開ができれば、国内事業の頭打ちによる伸び悩みを打破してくれそうです。

株価は上昇トレンドにのれるか

画像:TradingViewより

株価は、2020年以降、上げ下げをしながらも週足でみれば上昇トレンドが継続しています。2024年の3月21日に高値9,235円をつけたのちは、調整が続いており、現在は、7,500円程度にあります。13週、26週移動平均線が下向きとなり、上昇トレンドが崩れるかどうかといった微妙なところですが、先日の決算発表以降、反転して52週移動平均線を超えてきそうな雰囲気です。スリッパパワーで、なんとか乗り越えて、ふたたびきれいな上昇トレンドを形成してほしいものです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(藤川 里絵)

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