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将来は実家を建替えしたい30代夫婦「貯蓄からどれくらい投資に回していい?」金額を決める方法をFPが解説

MONEYPLUS / 2024年7月3日 11時30分

将来は実家を建替えしたい30代夫婦「貯蓄からどれくらい投資に回していい?」金額を決める方法をFPが解説

将来は実家を建替えしたい30代夫婦「貯蓄からどれくらい投資に回していい?」金額を決める方法をFPが解説

会社員のAさん(35歳)と妻Bさん(34歳・保育士)には夢があります。それは、退職後にAさん夫婦が生まれ育った故郷の町へ移住することです。移住に向けた資金作りのため、資産運用の必要性を感じていますが、貯蓄額に対してどれくらいを投資していいのかが分かりません。そこでFPである筆者のもとに相談に来られました。


【相談内容】
65歳まで勤めた後、生まれ育った故郷に帰って、生活をしたいと思っています。移住の際には実家を建替える予定で、65歳までに5,000万円貯めることが目標です。そのために資産運用をはじめる予定ですが、金融資産が投資資産に偏り過ぎるのもこわく感じます。預貯金と投資資産の適切な割合を知りたいです。

【相談者プロフィール】
性別:男性
年齢:35歳
職業:会社員
家族構成:妻Bさん(35歳・保育士)、長男(3歳)
住居:賃貸マンション

【収入】世帯収入額:832万円(手取り:660万円)
Aさん年収:460万円(月収30万円、ボーナス年100万円)
Bさん年収:360万円(月収25万円、ボーナス60万円)
児童手当:年間12万円

【支出】
支出額合計:年間533万円

生活費合計:年間156万円
(内訳)
食費:月8万円(年間96万円)
日用品:月1万円(年間12万円)
水道・光熱費:月2万円(年間24万円)
通信費:月2万円(年間24万円)

娯楽費合計:年間116万円
小遣い:月6万円(年間72万円・2人分)
旅行代:年20万円
予備費:月2万円(年間24万円)

住居関連費合計:年間185万円
(内訳)
賃料:月15万円(年間180万円)
更新料:年5万円

教育費合計:年間15万円
(内訳)
保育園代:年6万円(市の政策により無償。給食代等のみ)
習い事代:年9万円

車輛費合計:年間49万円
ガソリン代:月2万円(年24万円)
自動車税:年3万円
車輛保険:年10万円
駐車場代:月1万円(年12万円)

保険料合計:年間12万円
(内訳)
Aさん名義
医療保険:年6万円
Bさん名義
医療保険:年6万円

【世帯の資産状況】
・現在の預貯金総額:500万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債:なし

目的を決めて資産運用を始める

Aさん夫婦が今後も預貯金のみで資産形成をした場合、Aさん65歳時の貯蓄額は約3,800万円となります。移住費用に必要な5,000万円には1,200万円が足りません。そのため、今年から制度改正されたNISAを活用して資産運用を始めることを検討されています。

資産運用を検討しているものの、ご自身に適した投資金額や期間がわからず、資産運用をなかなか始められない方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずはAさん夫妻のように「目的」を明確にしましょう。お金を増やすことはライフイベントを実現させるための「手段」にすぎません。何を実現したいのか、その「目的」が明確にないまま、適切な「手段」を選ぶことはできません。

資産運用の「目的」を明確にするメリット

どんなライフイベントを実現したいのか、お金を増やす目的を明確にすると、適切な資産運用計画が立てやすくなります。

適した制度や運用方法がわかる

資産運用はNISA以外にも確定拠出年金や個人年金保険など様々な手段があります。目標金額と投資期間が明確になれば、利用する制度や運用方法を選択することができます。

お金を使うタイミングを逃さない

目的がないまま資産運用をすると、せっかくお金が増えたとしても、人生の満足度につながらない可能性があります。Aさん夫婦にとっては、実家の建替えをする30年後の65歳が資産運用のゴールとなります。ゴールが明確にあることで資産運用したお金を使うタイミングを逃しません。

短期的な相場下落に一喜一憂せず運用を継続できる

資産運用を行ううえで、マーケット変動の影響を受けることは避けられません。相場の下落によって不安を感じることはごく自然なことです。しかし、目的を定め、長期視点をもつことで、短期的な相場変動に一喜一憂せずに資産運用を続けることができます。

家計のお金を色分けして必要な預貯金を把握する

目的が明確になると、資産運用に必要な額もわかります。必要な投資額がわかったら、次に、投資と預貯金の適正バランスを確認するために家計のお金を色分けします。お金は、使う目的と時期によって、大きく次の3つに色分けすることができます。

(1)万が一のときの生活に必要なお金
万が一のときにも最低限の生活が送れるように、「生活防衛費」としてある程度確保しておく必要があります。一般的には3か月~6か月分の生活にかかる費用が必要だといわれており、Aさん夫妻の場合、100万円~200万円ほどになります。生活防衛費は必要になったときにすぐ使えるよう預貯金など流動性の高い資産で準備しておきましょう。

(2)使う予定のあるお金
子どもの教育費、車やマイホーム購入など、使い道と時期が決まっているお金は、使う「時期」が預貯金で備えておくべきかを決めるポイントになります。

4年後に予定している車の買替え代200万円は預貯金で確保しておきたいお金です。一方、Aさん夫婦の子どもは3歳で教育費も当面多くはかかりません。また、30年後に予定している移住にかかる費用が必要になるのは、遠い将来になるので資産運用で準備できるお金に分類されます。

5年以内に使う予定のあるお金は預貯金、それ以上先に使う予定のお金は資産運用で増やすことを目安とされるといいでしょう。ただし、資産運用は元本保証がない点は注意が必要です。

(3)当面使う予定のないお金
当面使う予定のないお金は資産運用できるお金になります。保有する金融資産から(1)と(2)のお金を差引いた金額です。Aさん夫婦の場合、400万円は預貯金で確保しておき、その他は投資に回していいお金と言えます。

ライフイベントによって預貯金で置いておくべき金額には違いがあるので、より個別具体的に知るためには、ライフプランを作成することをおススメします。

預貯金と投資の適正バランスは長期視点で見極める

Aさん夫婦の場合、手元にある500万円の預貯金のうち、100万円(金融資産全体の2割)は投資に回すことができることを知り、投資信託で資産運用を始めることを決断できました。そして、さらに5,000万円の目標を達成するために、新たにNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)をそれぞれで毎月2万円ずつ、計4万円/月の積立投資も始めることにしました。

Aさん夫妻は、移住費用を貯めるにはNISAしか選択肢がないと思っていました。しかし、FPからの助言から、iDeCoは掛金が全額所得控除される等の税制メリットがある点や60歳まで引き出せない点がAさん夫妻のニーズに合っていることがわかりました。

ライフプランを作成し、これからどんなことにお金が必要になるのかを長期視点でクリアにしたことで、預貯金と投資資産の適正な資産割合を確認することもできました。シミュレーションの結果、64歳時に5,000万円の目標を達成することがわかり(NISA、iDeCo共に年リターン5%での運用実績の場合)、安心して資産運用を始めることができそうです。

2024年に入って新NISAが話題となり、資産形成の選択肢がNISA一辺倒になりがちです。しかし、企業型確定拠出年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)、個人年金保険など選択肢は他にもあります。実現したいライフイベントや手元にある預貯金の額によって、適した選択肢も、預貯金と資産運用の適正バランスも異なります。資産運用を始めるなら、まずはその目的を明確にし、家計のお金を色分けして必要な預貯金を把握することから始めましょう。納得感・安心感を持って資産運用をスタートできれば、理想とするライフイベントの実現可能性が高まります。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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(南真理)

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